車椅子で行く国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑 バリアフリー情報

千代田区三番町二番地。皇居千鳥ヶ淵に面した「国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑」は、環境省が管轄する国立の墓苑です。車椅子で墓参できるのか。現地のバリアフリー状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2016年5月の取材に基づいています。

○無料駐車場あり

周囲にマンションが並ぶ住宅立地です。アクセスは九段下駅から約1km。靖国通りを九段上まで上り、内堀通りを進みます。

広い無料駐車場があるので、車椅子利用者は車の利用が便利です。駐車場から墓苑内へは、スロープ利用でバリアフリーに移動できます。

国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑

○施設全体概要

駐車場からの墓苑入口は「西門」。反対側に「東門」があります。

「無名戦没者の墓」である納骨堂の名称は「六角堂」。現在36万柱強の遺骨が奉安されています。

「六角堂」の手前には、昭和天皇と今上天皇の「御製碑」があります。またさらにその手前には「前屋」があり、過去の「拝礼式」などでの皇室の方のご様子を撮った写真が、複数枚掲示されています。

「前屋」から「六角堂」をみて左側のエリアに、2010年「戦後強制抑留・引揚死没者慰霊碑」が建立されました。強制抑留での死者が5.5万人。引揚死没者は20万人。この膨大な犠牲者の鎮魂碑です。

また「管理事務所」の近くには「さざれ石」が鎮座しています。

国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑

○バリアフリー状況

墓苑の敷地は5,000坪。すべての施設を車椅子で周ることができます。

1959年に建設された施設ですがバリアフリー改修済みで、段差はすべてスロープがあります。駐車場からスロープ利用で墓苑内へ。「六角堂」まではすべてフラットな路面。車椅子での移動に問題はありません。「六角堂」では「献花」用のお花が無人販売されています。

公衆トイレに併設されている障害者用トイレは、メンテナンスされて真新しいウォシュレット付きトイレが設置されています。

敷地の奥「管理事務所」の横に車椅子でも利用可能な「休憩所」があり、自由に利用できます。「休憩所」の中には、遺骨に関わる様々な資料の展示があり自由に見学できます。

 

○緑豊かな静かな墓苑

慰霊行事のない日は、とても静かな空間です。墓苑内に植生されている植物は、墓苑設計時に高名な専門家によって、100年先を見据えて配置されたとのことです。墓苑の開設からすでに50年超の年月が流れました。今ではしっかりと成長した静かな森となっています。

 

○墓参時の注意点

年中無休で開園していますが、夜間は閉まります。また、数多くの慰霊行事が開催され、その際には一般の参拝が制限されることもあります。お出かけの際には、事前に行事の予定をご確認ください。

国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑

○千鳥ヶ淵戦没者墓苑の歴史

1950年代になり、米軍からの遺骨送還、政府による遺骨の収集が本格化。身元不明の遺骨が比例して増加し、その取扱いが課題になりました。

憲法の定める政教分離に抵触しない方法で、国家として遺骨を奉安する施設として、この「国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑」が整備されました。現在では、施設の管理は環境省。拝礼式などの国主催の行事は厚労省の主幹になっています。

したがって、ここは政教分離に基づく国立の無宗教のお墓です。宗教法人である靖国神社とは、全く性格が異なります。

 

存在は知っていても、足を踏み入れたことのない人が多いのではないでしょうか。皇居のお濠端のマンション街にある、無料駐車場完備の無宗教墓苑。千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、車椅子で墓参できるバリアフリー施設です。

車椅子で行く九段~昭和館バリアフリー情報

九段下交差点の近くに建つ巨大で特徴的な建物「昭和館」は、「国民公園皇居外苑」にある国立の施設です。実際に車椅子から見たバリアフリー状況を、詳しく紹介します。

なお本稿は2017年の取材に基づいています。

○昭和館の概要

施設のテーマは「国民が経験した戦中・戦後の生活に係る歴史的資料・情報を収集・保存・展示し、労苦を次世代に伝える」ことです。

1Fはエントランスと受付、そして小規模なシアター。2Fは外空間でイベント会場にもなる広場。3Fは企画展の会場にもなる研修室。4Fは自由閲覧できる図書室。5Fは自由視聴ができる映像・音響室。ここまでは無料の施設です。

6Fと7Fは有料の常設展示室ですが、障害者手帳の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。

昭和館バリアフリー

○昭和館はバリアフリー

館内は全域バリアフリー。車椅子での利用に大きな問題はありません。エレベーターは2基。障害者用トイレは、2Fを除き全フロアに設置されています。

建物正面横に、2F企画広場へ向かうロングスロープが設置されています。館内のエレベーターを利用して2Fへ行けるので、無理をして利用する必要は全くないスロープですが、構造的には面白いバリアフリー改修事例です。

昭和館バリアフリー

○車椅子で見る、常設展の利用案内

常設展は6Fと7Fの2フロアで7Fが入口です。エレベーターで7Fへ上がります。7Fが昭和10年ごろから20年まで、6Fが昭和20年から30年ごろまでの、年代別展示です。

7Fを見終わると健常な人は6Fフロアへ階段で下ります。車椅子利用者は、エレベーターに戻って6Fに行くように案内されます。エレベーターで6Fに降りると、常設展の出口から入ることになるので、奥まで先に進み展示をみるように案内されます。

 

○常設展の展示内容概要

常設展の概要です。7Fでエレベーターを降りると目の前に「国会議事堂周辺の焼け跡」という絵画が展示されています。トリックアートの類なのでご覧ください。

7Fの展示は大きく6つの企画。「家族の別れ」「家族への想い」「昭和10年頃の家庭」「統制下の暮らし」「戦中の学堂・学徒」「銃後の備えと空襲」。各企画に関わる実物資料の展示を中心に、データや記録が図表化されて展示されています。

6Fの展示企画は「終戦直後の日本」「廃墟からの出発」「遺された家族」「子どもたちの戦後」「復興に向けて」。闇市、買い出しから、冷蔵庫、洗濯機、テレビの三種の神器まで。

後半に「体験ひろば」があり、一升瓶での米つきや、井戸のくみ上げなどの体験が出来るようになっています。ガイドボランティアが、体験の方法を説明します。

昭和館バリアフリー

○4F・5Fフロアの概要

5Fは映像・音響室。往時の映像ニュース、SP番の視聴ができる無料施設です。自由に使える視聴機があり、その前に長椅子が置いてあります。車椅子で行くと、スタッフの人が長椅子を横にずらしてくれました。車椅子でも利用できる視聴機です。

4Fは図書室。書架に往時の生活に関係する書籍が並び、無料で閲覧できます。6人掛けのテーブルセットが複数置かれ、自由に利用できます。有料のコピー機も配置されています。

 

○アクセス方法

昭和館は九段下駅から至近。地下鉄の利用が便利です。

1Fに有料駐車場があります。5ナンバーサイズ用の古い機械式で、ワゴン車等は入庫出来ません。

 

○修学旅行の定番スポット

昭和館では、修学旅行の中学生をよく見かけます。靖国神社の近くにありますが、宗教施設ではありません。また展示内容に政治的な思想はありません。昭和10年頃から30年頃までを対象にした、国立の“民族博物館”のような性格の施設です。

昭和館バリアフリー

定期的に企画展が開催されるので、スケジュールをチェックしてください。昭和館は車椅子で利用出来る施設です。

車椅子で参拝~靖国神社バリアフリー情報

靖国神社とその関連施設は、バリアフリー化が進んでいます。それでも車椅子では苦労することも。バリアフリー状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2018年の取材に基づいています。

靖国神社バリアフリー

○アクセス方法

九段下駅方面からアクセスすると、舗装路ですが長い上り坂を進むことになります。

飯田橋駅方面からも、最短ルートは急な上り坂を通ります。またJR飯田橋駅は現在改修中で、靖国神社に近い西口改札が階段利用になっています。

市ヶ谷駅方面からも、長い上り坂を進むことになりますが、傾斜がもっとも緩いのは市ヶ谷方面からです。

車の場合は参拝者用の有料駐車場があり、障害者用駐車区画の用意はあります。

靖国神社バリアフリー

○境内は舗装路、スロープ対応有り

境内の主要動線は、車椅子で通行しやすい舗装路が用意されています。「神門」はスロープ対応有り。拝殿へも舗装路とスロープで車椅子での移動は可能。正式参拝も車椅子で可能です。

靖国神社バリアフリー

○障害者用トイレ

境内には2か所の公衆トイレに障害者用トイレがあります。「靖国会館」の前にある「参拝者休憩所」はまだ新しい施設で障害者用トイレが綺麗です。「参拝者駐車場」のトイレは、年季がはいっています。

他に「靖国会館」「参集殿」「遊就館」の中にも、障害者用トイレがあります。「参集殿」は正式参拝の施設。「遊就館」は有料施設です。「靖国会館」と「参拝者休憩所」は、トイレだけではなく、無料で利用できる休憩コーナーがある施設です。

靖国神社バリアフリー

○未舗装の区間

靖国神社境内で未舗装路しかないのは「神池庭園」周辺と、そこから「本殿」の裏側を通り「南門」へ続く道です。この区間の車椅子での移動は苦労します。

「神池庭園」を回遊するには、池に浮かぶ飛び石などを通るので車椅子では無理ですが、池の手前から景観を楽しむ程度なら、未舗装ですが車椅子でも可能です。

靖国神社バリアフリー

○遊就館のバリアフリー状況

「遊就館」は、各種障害者手帳の提示で、入館料が本人と介助者2名まで無料に減免されます。館内は完全バリアフリー対応で、障害者用トイレは3カ所あります。

見学コースは2Fから。車椅子ユーザーは、奥のエレベーターを利用します。すべての展示をみるコースは「120分コース」と案内されています。出口近くにゼロ戦と蒸気機関車の展示があり、そこだけが写真撮影OKです。

靖国神社バリアフリー

靖国神社は、神社のなかでは相対的に車椅子で参拝しやすい、バリアフリーレベルが高い神社です。