皇居外苑北の丸公園 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

日本武道館などがある北の丸公園は、車椅子で散策できる公園です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

なお本稿は2019年10月に執筆しました。

田安門

○車椅子でのアクセス方法

皇居の北側にある一般公開エリアが「北の丸公園」です。

九段下駅方面から「田安門」へ向かうルートと、竹橋駅方面から国立公文書館を越えて向かうルートがあります。どちらも傾斜が強い坂道を上るルートです。車椅子利用者は元気な介助者がいると安心です。

また現時点では、竹橋駅はバリアフリー改修工事中でエレベーターは設置されていません。

「清水門」からのルートは途中に「雁木坂」という江戸城遺構の段差ルートがあり、車椅子では通行できません。

公園内には3カ所有料駐車場があります。駐車場からは園内へはほぼフラットに移動できます。駐車場料金の障害者減免制度はありません。

清水門

○園内散策路と障害者用トイレの状況

園内の主な散策路は、舗装路でアップダウンは少なく、車椅子で通行可能です。

園内の5か所の公衆トイレには障害者用トイレが用意されています。ずれも手入れが行き届いたトイレで、車椅子での園内散策に大きな問題はありません

最も新しいのは北の丸休憩所のトイレです。武道館よりの第三駐車場の近くにあります。

 

○科学技術館利用上の注意

北の丸公園内にある科学技術館は、バリアフリーではありません。

館内に一般利用出来るエレベーターはなく、スタッフの操作で動く業務用エレベーターの利用になります。またエレベーターは地階へはつながっていません。

入館料の障害者減免制度と障害者用トイレはあります。

日本武道館は現在改修工事中が行われています。

北の丸公園

○自然の宝庫

総面積19.3ha。確認されている植物は743種、キノコ類が206種、鳥類57種、昆虫545種、爬虫類8種、両生類3種、陸生貝類が17種と公表されています。

クワガタの生息が確認されている森林です。夏はアゲハチョウが歩道上で舞っています。

ここは環境省管轄の国民公園です。飲酒は禁止。ボール遊び、バトミントンなども禁止です。

 

○園内の銅像や塔

銅像や塔が多数あります。

田安門の横の靖国通りから見える塔は「皇紀二千六百年植樹記念碑」。神武天皇即位から2600年という意味で、1940年のことです。

「品川弥次郎銅像」は明治維新の英雄です。

工芸館近くには「北白川宮能久親王銅像」。幕末の輪王寺宮にして明治の伏見宮。最後は近衛師団長として台湾で亡くなった皇族です。

園中央部に建つ「吉田茂銅像」は戦後の首相です。

吉田茂銅像

○北の丸公園の歴史

開園は1969年。昭和天皇の還暦を記念して整備された公園です。江戸時代からの公園ではありません。江戸時代は武家屋敷でした。

明治から昭和にかけては近衛師団の兵営地で多くの建物があり、戦後に森林公園に改修されました。

芝生や池、里山風の緑地などは、すべて戦後の造営です。北の丸公園の森林はまだ若く、進化と深化を続けています。

 

アクセスルートにアップダウンがありますが、北の丸公園は車椅子で散策ができます。

車椅子で行く国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑 バリアフリー情報

千代田区三番町二番地。皇居千鳥ヶ淵に面した「国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑」は、環境省が管轄する国立の墓苑です。車椅子で墓参できるのか。現地のバリアフリー状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2016年5月の取材に基づいています。

○無料駐車場あり

周囲にマンションが並ぶ住宅立地です。アクセスは九段下駅から約1km。靖国通りを九段上まで上り、内堀通りを進みます。

広い無料駐車場があるので、車椅子利用者は車の利用が便利です。駐車場から墓苑内へは、スロープ利用でバリアフリーに移動できます。

国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑

○施設全体概要

駐車場からの墓苑入口は「西門」。反対側に「東門」があります。

「無名戦没者の墓」である納骨堂の名称は「六角堂」。現在36万柱強の遺骨が奉安されています。

「六角堂」の手前には、昭和天皇と今上天皇の「御製碑」があります。またさらにその手前には「前屋」があり、過去の「拝礼式」などでの皇室の方のご様子を撮った写真が、複数枚掲示されています。

「前屋」から「六角堂」をみて左側のエリアに、2010年「戦後強制抑留・引揚死没者慰霊碑」が建立されました。強制抑留での死者が5.5万人。引揚死没者は20万人。この膨大な犠牲者の鎮魂碑です。

また「管理事務所」の近くには「さざれ石」が鎮座しています。

国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑

○バリアフリー状況

墓苑の敷地は5,000坪。すべての施設を車椅子で周ることができます。

1959年に建設された施設ですがバリアフリー改修済みで、段差はすべてスロープがあります。駐車場からスロープ利用で墓苑内へ。「六角堂」まではすべてフラットな路面。車椅子での移動に問題はありません。「六角堂」では「献花」用のお花が無人販売されています。

公衆トイレに併設されている障害者用トイレは、メンテナンスされて真新しいウォシュレット付きトイレが設置されています。

敷地の奥「管理事務所」の横に車椅子でも利用可能な「休憩所」があり、自由に利用できます。「休憩所」の中には、遺骨に関わる様々な資料の展示があり自由に見学できます。

 

○緑豊かな静かな墓苑

慰霊行事のない日は、とても静かな空間です。墓苑内に植生されている植物は、墓苑設計時に高名な専門家によって、100年先を見据えて配置されたとのことです。墓苑の開設からすでに50年超の年月が流れました。今ではしっかりと成長した静かな森となっています。

 

○墓参時の注意点

年中無休で開園していますが、夜間は閉まります。また、数多くの慰霊行事が開催され、その際には一般の参拝が制限されることもあります。お出かけの際には、事前に行事の予定をご確認ください。

国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑

○千鳥ヶ淵戦没者墓苑の歴史

1950年代になり、米軍からの遺骨送還、政府による遺骨の収集が本格化。身元不明の遺骨が比例して増加し、その取扱いが課題になりました。

憲法の定める政教分離に抵触しない方法で、国家として遺骨を奉安する施設として、この「国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑」が整備されました。現在では、施設の管理は環境省。拝礼式などの国主催の行事は厚労省の主幹になっています。

したがって、ここは政教分離に基づく国立の無宗教のお墓です。宗教法人である靖国神社とは、全く性格が異なります。

 

存在は知っていても、足を踏み入れたことのない人が多いのではないでしょうか。皇居のお濠端のマンション街にある、無料駐車場完備の無宗教墓苑。千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、車椅子で墓参できるバリアフリー施設です。

車椅子で行く九段~昭和館バリアフリー情報

九段下交差点の近くに建つ巨大で特徴的な建物「昭和館」は、「国民公園皇居外苑」にある国立の施設です。実際に車椅子から見たバリアフリー状況を、詳しく紹介します。

なお本稿は2017年の取材に基づいています。

○昭和館の概要

施設のテーマは「国民が経験した戦中・戦後の生活に係る歴史的資料・情報を収集・保存・展示し、労苦を次世代に伝える」ことです。

1Fはエントランスと受付、そして小規模なシアター。2Fは外空間でイベント会場にもなる広場。3Fは企画展の会場にもなる研修室。4Fは自由閲覧できる図書室。5Fは自由視聴ができる映像・音響室。ここまでは無料の施設です。

6Fと7Fは有料の常設展示室ですが、障害者手帳の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。

昭和館バリアフリー

○昭和館はバリアフリー

館内は全域バリアフリー。車椅子での利用に大きな問題はありません。エレベーターは2基。障害者用トイレは、2Fを除き全フロアに設置されています。

建物正面横に、2F企画広場へ向かうロングスロープが設置されています。館内のエレベーターを利用して2Fへ行けるので、無理をして利用する必要は全くないスロープですが、構造的には面白いバリアフリー改修事例です。

昭和館バリアフリー

○車椅子で見る、常設展の利用案内

常設展は6Fと7Fの2フロアで7Fが入口です。エレベーターで7Fへ上がります。7Fが昭和10年ごろから20年まで、6Fが昭和20年から30年ごろまでの、年代別展示です。

7Fを見終わると健常な人は6Fフロアへ階段で下ります。車椅子利用者は、エレベーターに戻って6Fに行くように案内されます。エレベーターで6Fに降りると、常設展の出口から入ることになるので、奥まで先に進み展示をみるように案内されます。

 

○常設展の展示内容概要

常設展の概要です。7Fでエレベーターを降りると目の前に「国会議事堂周辺の焼け跡」という絵画が展示されています。トリックアートの類なのでご覧ください。

7Fの展示は大きく6つの企画。「家族の別れ」「家族への想い」「昭和10年頃の家庭」「統制下の暮らし」「戦中の学堂・学徒」「銃後の備えと空襲」。各企画に関わる実物資料の展示を中心に、データや記録が図表化されて展示されています。

6Fの展示企画は「終戦直後の日本」「廃墟からの出発」「遺された家族」「子どもたちの戦後」「復興に向けて」。闇市、買い出しから、冷蔵庫、洗濯機、テレビの三種の神器まで。

後半に「体験ひろば」があり、一升瓶での米つきや、井戸のくみ上げなどの体験が出来るようになっています。ガイドボランティアが、体験の方法を説明します。

昭和館バリアフリー

○4F・5Fフロアの概要

5Fは映像・音響室。往時の映像ニュース、SP番の視聴ができる無料施設です。自由に使える視聴機があり、その前に長椅子が置いてあります。車椅子で行くと、スタッフの人が長椅子を横にずらしてくれました。車椅子でも利用できる視聴機です。

4Fは図書室。書架に往時の生活に関係する書籍が並び、無料で閲覧できます。6人掛けのテーブルセットが複数置かれ、自由に利用できます。有料のコピー機も配置されています。

 

○アクセス方法

昭和館は九段下駅から至近。地下鉄の利用が便利です。

1Fに有料駐車場があります。5ナンバーサイズ用の古い機械式で、ワゴン車等は入庫出来ません。

 

○修学旅行の定番スポット

昭和館では、修学旅行の中学生をよく見かけます。靖国神社の近くにありますが、宗教施設ではありません。また展示内容に政治的な思想はありません。昭和10年頃から30年頃までを対象にした、国立の“民族博物館”のような性格の施設です。

昭和館バリアフリー

定期的に企画展が開催されるので、スケジュールをチェックしてください。昭和館は車椅子で利用出来る施設です。