旧軽井沢銀座通り 車椅子からみた主な施設のバリアフリー状況

軽井沢の中心地、旧軽銀座は江戸時代に中山道の宿場町として繁栄し、明治時代には外国人の避暑地として、そして別荘族や観光客に愛される商店街として発展してきました。歴史ある観光地なだけに、必ずしもすべての施設やお店がバリアフリー仕様ではありません。主な観光施設や人気ショップのバリアフリー状況を紹介します。

旧軽井沢銀座通り

〇町営旧軽井沢駐車場と「赤バス」のバリアフリー状況

アクセスの状況です。旧軽周辺には数多くの有料駐車場があります。その中で、身障者用駐車スペースがしっかりと用意されているのは「町営旧軽井沢駐車場」です。

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入口の近くに2台分、幅広い区画の身障者用駐車スペースが用意されています。駐車場入口にスタッフがいる場合は、車椅子利用を申告すると誘導していただけます。

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そこが満車の場合は、出口の手前に4台分用意されています。こちらの区画は、スペースはあまり広くはありません。

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身障者用駐車スペースに駐車できれば、駐車場から外まで坂道を通らずに移動できます。ただしこの間の路面は必ずしもフラットではなく、経年劣化によって荒れている箇所、デコボコになっている箇所があります。車椅子を慎重に移動させてください。

旧軽銀座を通り、軽井沢の観光名所を巡る通称「赤バス」は、設備面では車椅子利用への特別な配慮がないレトロ車両です。ご自身あるいはご家族の障がいの状況に応じて、利用の可否を判断してください。

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〇旧軽ロータリー周辺のバリアフリー状況

旧軽井沢銀座通りの入口にある旧軽ロータリー周辺には数多くのお店があります。

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有名店「レストラン酢重正之」は、1F席なら車椅子で利用可能です。出入口は段差解消されています。

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「三面馬頭観世音菩薩」は、荒れた未舗装路面の中にいらっしゃるので、車椅子で近づくことはできません。無理のないところから拝顔します。

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シンボルの電話ボックスも、未舗装段差路にあります。車椅子で中に入るのは困難。手前の舗装路からの記念撮影は可能です。

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〇旧軽井沢銀座通りの路面のバリアフリー状況

旧軽井沢銀座通りに入ります。この通りの路面はレンガ敷風ですが、車椅子にはほとんど衝撃はきません。舗装路面と同じ感覚で通行できます。通りの両脇にある側溝のふたには、部分的に小さな段差がある箇所もあります。

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建ち並ぶ商店のバリアフリー状況はそれぞれです。段差解消しているお店もありますが、出入口に段差があり、車椅子では入店できないお店も少なくありません。

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〇軽井沢観光会館のバリアフリー状況

旧軽井沢銀座通りの中心部にある観光会館は、24時間利用可能なバリアフリートイレがあります。有料トイレですが、開館時間内は障がいのある人は無料で利用できます。スタッフに申告してください。

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銀座通りに面した会館の正面入口は段差があります。

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段差回避ルートはテニスコート通り面したトイレへの入口です。

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館内1Fには軽井沢を紹介する展示があります。車椅子で見学可能です。

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2Fにも展示があります。エレベーターはなく2Fへは昇降椅子を利用します。

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1Fに飲食ができる休憩室が用意されています。フラットなお部屋なので車椅子で利用可能。商店街で買ったものをいただくことができる穴場休憩室です。

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〇チャーチストリートのバリアフリー状況

旧軽井沢銀座通りで一番の大規模商業施設のバリアフリー状況です。

旧軽井沢銀座通り

1Fは段差のないバリアフリー構造。車椅子で問題なく利用できます。

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数多くのお店が入る2フロア構造の大規模施設です。

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ほとんどのお店は車椅子で入店可能です。

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中央広場も車椅子で利用可能。

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広場の横は水車が回っています。

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2Fへの一般ルートは階段路。

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エレベーターもあります。

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1Fに有料のバリアフリートイレが用意されています。

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〇聖パウロカトリック教会のバリアフリー状況

旧軽井沢銀座通りからチャーチストリートの1Fを突き抜けると、聖パウロカトリック教会があります。

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今回取材時はコロナ対策で開堂は中止されていました。外観だけでも数多くの見どころがあります。

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協会の周囲は段差のない舗装路面です。車椅子での礼拝は可能です。

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〇浅野屋とデリカテッセンのバリアフリー状況

最後に旧軽井沢銀座通りを代表する、超人気店のバリアフリー状況を紹介します。

パンの「ブランジェ浅野屋」の出入口は段差解消されています。出入口のドアは手動。店内通路は余裕があるとは言えませんが、混雑していなければ車椅子で買い物ができます。店内のレストラン・カフェコーナーも、フラットで可動式テーブル席なので、車椅子で利用可能です。

旧軽井沢銀座通り

美味しいハムやソーセージが大人気の「軽井沢デリカテッセン」。2か所ある出入口は、全く段差のない構造です。店内は広くはありませんがフラットな構造で、販売台の商品に車椅子から手が届きます。ケース内の商品は、販売スタッフに声をかけて購入するので、車椅子で買い物ができます。

旧軽井沢銀座通り

新しい建物が少ないので、出入口に段差がある店、エレベーターがない2階席中心の店などが少なくありません。特に、旧軽井沢銀座通りで、車椅子で食事をする場合は、事前にお店のバリアフリー状況を個別に確認しておくことをお薦めします。

軽井沢らしい素敵な美術館「軽井沢ニューアートミュージアム」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年6月に執筆しました)

軽井沢ニューアートミュージアム 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

開館は2012年。軽井沢駅と旧軽ロータリーの中間付近に建つ、軽井沢らしい素敵な美術館です。略称は「KaNAM」。2フロア構造で1Fは無料公開のギャラリーとカフェやレストラン。2Fは企画展が開催される有料のミュージアムです。車椅子からみた美術館のバリアフリー状況を紹介します。

軽井沢ニューアートミュージアム

軽井沢駅から徒歩8分の案内です。旧軽方面に伸びる「本通り」はバリアフリー改修された、車椅子で快適に移動できる歩道が整備されています。駅から車椅子でアクセス可能です。

来館者用の無料駐車場は、分かり難い場所にあります。美術館の裏側、側道からさらに横道に入った先にある未舗装砂利路面の駐車場です。駐車場の砂利路面は、力を入れて無理をすれば車椅子が動きますが、激しい衝撃がくるレベルのガタゴト路面です。また駐車場からKaNAMまでは、200ⅿ程度距離があります。KaNAMのスタッフによると、美術館のエントランス付近の路上に停車して、車椅子の人を降ろして、運転者だけで駐車場に行く人が多いそうです。ただし美術館のエントランスに車寄せはなく、交通量の多い片道1車線の車道にハザードランプを点けて停車することになるので、迷惑停車にはなります。

軽井沢ニューアートミュージアム

本通りの歩道からKaNAMの入口にかけて、まったく段差のないバリアフリー仕様です。

軽井沢ニューアートミュージアム

メインエントランスは幅広い自動ドア。車椅子での出入りに問題はありません。

軽井沢ニューアートミュージアム

エントランスの先左側に1F無料公開ギャラリーがあります。ギャラリーは3室あり、それぞれで企画展が開催されます。

軽井沢ニューアートミュージアム

ギャラリーは広々として空間で床面はフラット。車椅子で問題なく観覧できます。展示されている作品は値札が付いています。

軽井沢ニューアートミュージアム

軽井沢ニューアートミュージアム

1Fにはソファーと書棚が並ぶ「アートブックカフェ」があります。ここも無料で座り無料で本を読むことが出来ます。

軽井沢ニューアートミュージアム

ミュージアムショップもあり、様々なアートグッズやオリジナル商品、美術書などが並び、立体アート作品が展示されています。

軽井沢ニューアートミュージアム

2Fミュージアムのバリアフリー状況です。有料企画展の観覧券は、1Fの総合案内で購入します。KaNAMの観覧料は障がい者減免制度があり、本人は無料、介助者1名が半額に減免されます。総合案内で障害者手帳等を提示して減免措置を受けてください。

軽井沢ニューアートミュージアム

エレベーターが1基あります。かごは9名乗車で、一般的な車椅子は入ります。大型の車椅子は苦戦するかもしれません。

軽井沢ニューアートミュージアム

2Fでエレベーターを降りると、展示室1への渡り廊下の横にでます。2Fの展示室は全6室。いずれもスペースに余裕があるフラットなアートスペースです。

軽井沢ニューアートミュージアム

いくつかの展示室には天窓や壁面窓があり、開放的な空間を演出します。

軽井沢ニューアートミュージアム

軽井沢ニューアートミュージアム

窓から見える景色も、軽井沢らしい森とコテージ。

軽井沢ニューアートミュージアム

今回取材時は「自然と対話する 花田和治の世界」展が開催中。

軽井沢ニューアートミュージアム

花田氏の明るい色感がよく似合う展示室です。

軽井沢ニューアートミュージアム

軽井沢ニューアートミュージアム

KaNAMの2Fは、大きな展示室が6室もある、大規模なアートスペースです。

軽井沢ニューアートミュージアム

バリアフリートイレは1Fと2Fにそれぞれ1つ用意されています。

特筆すべきは2Fのトイレ。向井修二氏が2014年に製作した「記号化されたトイレ」というアート作品です。

軽井沢ニューアートミュージアム

このトイレは実際に使用できます。ぜひ1Fではなく、2Fのトイレを利用してください。

軽井沢ニューアートミュージアム

KaNAMのお庭には隈研吾氏設計のガラスのチャペルがあります。有料の見学ツアーは毎日2回、限定10名まで。今回取材時はタイミングが悪く参加できませんでした。1Fのお庭への出入口ドアから眺めた景色です。

軽井沢ニューアートミュージアム

2F館内から撮影した写真です。お庭の名称は「風通る白樺と苔の森」です。

軽井沢ニューアートミュージアム

レストラン&カフェのバリアフリー状況です。1Fには「キーズカフェ」と「リストランテ・ピエトリーノ」が営業しています。カフェとレストランの出入口は緩い傾斜のスロープです。

軽井沢ニューアートミュージアム

ドアは手動が2枚。車椅子では介助者がいると助かる構造です。カフェ・レストランともに可動式テーブル席なので、車椅子で利用できます。

軽井沢ニューアートミュージアム

本通り側にあるテラス席は、スペースに十分な余裕がないので、状況によっては車椅子では手前の席しか利用できないかもしれません。

軽井沢ニューアートミュージアム

来館者用駐車場は離れていて未舗装路面ですが、軽井沢ニューアートミュージアムは、スペースに余裕があり、障がい者減免制度がある、バリアフリーな美術館です。

「軽井沢千住博美術館」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年6月に執筆しました)

軽井沢トラットリアプリモ本店 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

「TRATTORIA PRIMO」はピッツァとパスタが美味しいと、軽井沢で人気の森の中の一軒家レストランです。行列ができることも珍しくありません。車椅子からみたお店のバリアフリー状況を紹介します。

雲場池にも近い森の中にあるので、アクセスは車が便利。お店の周りの敷地が駐車スペースになっています。一方通行指定で、ほぼ一周すべてが駐車スペース。入口の反対側付近に駐車すると、お店を半周して入口に向かいます。

軽井沢トラットリアプリモ本店

写真のような未舗装の砂利路面で、前向き駐車指定。駐車区画の幅は広くはありません。人気店なので満車に近い状態を想定すると、車椅子での乗降と未舗装路面の移動が出来るか否かが、車椅子利用上の問題点です。車椅子利用者が乗降する際は車を移動させられるなど、介助者がいれば利用可能でしょう。未舗装路面の砂利はそれほど深くなく、少し無理をすれば車椅子が動きます。

お店のエントランスはウッドデッキで、そこへは木製の段差回避スロープが用意されています。

軽井沢トラットリアプリモ本店

ウッドデッキに上がれば、デッキから店舗出入口、そして店内まで、目立つ段差はありません。車椅子で移動可能です。

軽井沢トラットリアプリモ本店

店内は可動式テーブル席で、車椅子で利用可能です。取材日時点では、コロナ対策で席数を減らして営業中。そのため店内スペースに余裕があり、どの席へも車椅子で問題なく移動できる通路幅が確保されていました。

軽井沢トラットリアプリモ本店

2つある店内のトイレの1つは、横開きドアで車椅子がギリギリで入る程度のスペースがある広いタイプの個室です。ただし手摺などのバリアフリー設備はありません。この条件で利用できる方は店内トイレを利用できます。

森の中の一軒家レストラン。軽井沢らしい雰囲気が素敵な美味しいお店です。車椅子利用者で条件が合致する人には、お薦めのトラットリアです。

旧軽銀座のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年6月に執筆しました)