諏訪大社 四社を車椅子で参拝 現地のバリアフリー状況

「上社本宮」「上社前宮」「下社秋宮」「下社春宮」。諏訪大社は長野県諏訪湖の周辺に4箇所の境内地があります。

神代からの伝承がある国内最古の神社の一つです。各社ともバリアフリー仕様ではありません。車椅子で参拝ができるのか、四社の現地の状況を詳しく紹介します。なお四社とも車椅子利用者のアクセスは車が便利で、無料駐車場があります。

本稿は2020年1月の取材に基づいています。

諏訪大社 四社を車椅子で参拝 現地のバリアフリー状況

「上社本宮」

○駐車場の選択

東参道側の入口は段差があるので、車椅子では正面北参道から境内を目指します。

上社本宮

「東参道駐車場」が舗装路面で収容台数が多いのですが、正面までやや距離があり、途中のルートは舗装路ですがアップダウンがあります。

東参道駐車場

正面入口に近い「本宮参拝者駐車場」は、未舗装路面の駐車場です。

北参道の先にある「本宮駐車場」と「諏訪大社駐車場」は、やや距離があります。

北参道沿いにある土産屋「杜乃風」の駐車場が、最も近くて舗装路面の駐車場です。「杜乃風」には障害者用トイレがあります。

土産屋「杜乃風」の駐車場

○境内の車椅子ルート

正面北参道から境内へ入ります。入口付近は舗装路ですが、その先境内は未舗装で路面はデコボコがあります。

上社本宮

正面は階段です。神楽殿などがある左手に向かいます。気をつけて進めば、車椅子でも何とかなる未舗装路面です。

上社本宮

その先は雑な急坂の木製スロープを上ります。そしてデコボコが多々ある路面を通行して、本殿エリアにつながる渡り廊下「布橋」に入ります。この区間は車椅子の難所です。おそらく通行できない車椅子利用者もいます。

上社本宮

「布橋」の入口付近は、荒れた路面でデコボコがあります。

上社本宮

「布橋」内の路面は木製で、多少デコボコがありますが、なんとか車椅子で通行できます。

上社本宮

「布橋」の出口付近は、急角度の荒いスロープです。ここが車椅子で一番の難所です。慎重に移動してください。

上社本宮

上社本宮

「布橋」の先は、荒れた未舗装路面が続きますが、車椅子で境内まで無理をすれば移動できます。その先は一部石畳風の舗装路面があります。

上社本宮

上社本宮

「拝殿」は段差の上です。車椅子では段の手前からの参拝になります。

上社本宮

「宝物殿」は段差構造のため、車椅子では見学できません。

上社本宮

上社本宮は、車椅子では移動に苦労する参拝ですが、境内は凛とした神の領域です。無理のない範囲だけでも、訪れる価値はあります。境内入口の舗装路面から「一之御柱」を拝観することができます。

上社本宮

上社本宮

「上社前宮」

○車で本殿の横まで上る

上社前宮は山の中腹に建つ社です。一般の参拝者は、山の下にある道路脇の舗装駐車場か、境内入口の未舗装駐車場を利用して、階段と坂道を上って参拝します。階段を避けての参拝ルートは、車椅子では移動が困難な長い急坂路になります。

本殿がみえる場所に未舗装路面の駐車場があります。そこまでの道はわかり難く、且つ狭い箇所がありますが、舗装された車道です。

車椅子利用者は、車でアクセスして、本殿がみえる最上部にある最後の駐車場まで進みます。ただし正月などは交通規制がかかり、この駐車場は利用できません。

上社前宮

○本殿拝殿周囲の状況

本殿がみえる駐車場はフラットですが、その外はすべて未舗装の傾斜路面や段差路です。

上社前宮

拝殿は段差の上です。

上社前宮

上社前宮は、四本の御柱をすべて拝観できますが、そこに近づくには荒れた路面を通過する必要があります。

上社前宮

境内を流れるご神水「水眼」は飲める清流です。ただし柄杓がある場所に車椅子で行くのは困難です。

上社前宮

車椅子ではどこまで無理をするかですが、駐車場周辺を中心に、障がいの状況、体力に応じて、無理のない範囲からの参拝になります。

本宮より前からあったから「前宮」です。諏訪大社でもっとも古い社と伝承されています。上社前宮は、車椅子での型通りの参拝は困難ですが、本殿近くの駐車場まで行けば、車椅子から古社の凛とした気配を感じることができます。

上社前宮

「下社秋宮」

○障害者用駐車区画あり

境内の横、坂道を上った先に広い駐車場があります。もっとも境内に近い場所に、2台分の障害者用駐車区画があります。区画の幅が広い、本当に使える駐車区画です。

下社秋宮

○駐車場からの20mが深い砂利路面

障害者用駐車区画から境内へ進むルートは、車椅子が進まない深い砂利路面です。距離は短いのですが、ここが車椅子参拝の難所です。

その先の砂利路面から参道に上る箇所に、小さいながらも厄介な段差があります。

下社秋宮

参道に出れば、拝殿まで境内を舗装路で移動できます。

下社秋宮

○神楽殿と拝殿

神木の巨大杉を過ぎると、神楽殿があります。神楽殿には参拝所がありますが、階段の上です。

下社秋宮

神楽殿を右回りで進むと拝殿があります。拝殿は段の上で、車椅子では段の手前からの参拝になります。

下社秋宮

拝殿の両脇に御柱がそびえています。

下社秋宮

そのまま右回りで進むと、砂利路面になります。車椅子では来た道を引き返します。

下社秋宮

下社秋宮は、車椅子で境内を移動するだけで、諏訪大社の凄みを十分に感じられます。ただし駐車場から境内までの短い区間が、車椅子の難所です。

下社秋宮

「下社春宮」

○四社でもっともバリアフリー

参拝者用無料駐車場の出入口に近い場所に、障害者用駐車区画があります。ここから境内入口までは緩い傾斜路ですが、車椅子で苦労少なく移動できます。

境内の入口、大鳥居の下は段差路で、右側に雑なスロープ板が設置されています。車椅子で苦労するのはここです。それでも一般的な車椅子利用者で、元気な介助者がいれば、なんとか通過できるスロープです。

下社春宮

境内に入ると砂利路面の中に舗装通路があります。舗装路を通行して拝殿まで行くことができます。

下社春宮

拝殿は段差の上です。車椅子では段の手前からの参拝になります。

下社春宮

○万治の石仏へのルート状況

石仏に「万治3年(1660年)」と刻まれているのが名前の語源。岡本太郎氏が絶賛したことでブレイクした石仏です。

万治の石仏

「境内から万治の石仏に行くことが出来ます」という掲示がありますが、これは車椅子では無理な、アップダウンに加えて段差のある橋を通るルートです。

車椅子で「万治の石仏」に行くには、いったん元に戻って境内の外に出ます。

大鳥居を出ると「万治の石仏」へは境内から見て右手に進みます。ここから50mほど、歩道がない車の交通量がある道を進みます。路面はそれほど荒れていませんが、ここが車椅子での難所です。

その先は歩道のある道になります。更に進み川沿いの遊歩道に右折します。やや上り坂の遊歩道ですが、車椅子での移動が困難なほどの傾斜ではありません。

万治の石仏

途中に岡本太郎氏揮毫の碑があります。ほどなく「万治の石仏」に到着します。最後の直線10mがキツイ坂になりますが、それでも普通の車椅子利用者なら、なんとか通過できます。

観光情報などで「万治の石仏の周囲は未舗装」と案内されていますが、ここまでは全て舗装路です。未舗装なのは「万治の石仏」のまわりで、未舗装の周囲を廻って願掛けをします。胴回りは11m85cmあります。舗装路からでも「万治の石仏」を正面から拝むことが出来ます。

万治の石仏

諏訪大社の四社は、バリアフリーではありません。車椅子で訪れて参拝する場合は、ご自身あるいは家族の障がいの状況に応じて、無理のない範囲で行動してください。

乗鞍高原バリアフリー情報 車椅子で楽しむ観光ガイド

大自然を楽しむ観光地、長野県松本市の乗鞍高原。バリアフリーな観光スポットは限られますが、「一の瀬園地」の一部と「乗鞍自然保護センター」は車椅子で利用できます。現地の状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2017年5月の取材に基づいて初稿を執筆し、2019年10月に一部加筆しました。

乗鞍高原

○乗鞍高原の概要

乗鞍岳は標高3,000m超の日本で3番目に高い火山です。

もともとの地盤が隆起した地質が2,300m、そこに火山噴火による堆積物が700m乗って3,000m超。乗鞍岳は比率でいえば火山よりも隆起のほうが大きい山ですが、乗鞍高原は火山活動の痕跡で、溶岩の噴出でできた溶岩台地です。

古くから山岳信仰の対象であった乗鞍岳。遅くとも江戸時代には、乗鞍高原で人々の生活がありました。

その後は温泉開発、スキー場開発などによる環境破壊が進み、現在では乗鞍スカイラインはマイカーの乗り入れ禁止です。車椅子利用者にとっては、足を踏みいれるのが大変な環境保護エリアです。

乗鞍高原までがマイカー乗り入れ可能区域で、松本ICから1時間ほどです。ここまでなら車で簡単に行くことができます。

乗鞍高原の概要

○車椅子観光のガイドライン

乗鞍高原内は、一般車両が通行できる車道があり、また各所にハイキングの起点になる駐車場があります。

ただしほとんどのハイキングコースは、車椅子での通行は無理なデコボコルートです。駐車場からまわりを見渡す程度しか出来ません。唯一「一の瀬園地」は、舗装路と木道が整備されています。

観光施設としては「乗鞍高原観光センター」があり、山頂へのシャトルバスの発着地で、食堂やトイレがあります。そのすぐ近くに乗鞍の自然を紹介する「乗鞍自然保護センター」があります。

乗鞍高原観光センター

車椅子で無理なく出来る乗鞍高原観光コースは、車でアクセスして「乗鞍高原観光センター」で休憩をとる。「乗鞍自然保護センター」で乗鞍の自然を学ぶ。そして「一の瀬園地」内を無理のない範囲で散策する。以上のコースをお薦めします。

車椅子観光のガイドライン

○乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況

乗鞍高原の中心部にある長野県立の施設です。広い無料駐車場には障害者用駐車区画があります。

建物エントランスはスロープ対応で、設備は古いながらも障害者用トイレがあります。

入館無料の施設です。冬季は閉館。4月から11月が開館期間です。

乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況

館内の展示は特別天然記念物ライチョウから始まります。ライチョウの生態をパネル展示。高山帯に住む孤高の鳥。絶滅危惧種です。

乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況

乗鞍には推定で100羽ほどが生息しているということ。生息域には車椅子では絶対にいけません。

乗鞍高原は数種のコウモリの生息域。そのなかでも「クビワコウモリ」が希少種。集団繁殖しているのは、乗鞍高原だけということです。

そこで繁殖用のコウモリ小屋「バットハウス」が、センターの横に建てられました。高層丸太小屋のような建物です。繁殖させて生態の調査、種の保護を行っています。見学は外観を見るだけです。

 

○一の瀬園地のバリアフリー状況

頑張ると車椅子でミズバショウが鑑賞できる、乗鞍高原の真ん中ある湿原域です。

「ネイチャープラザ一の瀬」を目指します。その前にある広い無料駐車場を利用します。

「ネイチャープラザ一の瀬」横の公衆トイレに、障害者用トイレがあります。

一の瀬園地のバリアフリー状況

未舗装駐車場でデコボコな路面です。駐車場から30mほど頑張って移動すると、舗装歩道が始まります。

1.6kmほどある歩道で、300mほど進むと、歩道の脇の水の流れの淵に、最初のミズバショウ群生があります。

遊歩道はキャンプ場まで続きますが、アップダウンはかなりきつい舗装ルートです。無理のない範囲での散策をお薦めします。

遊歩道はキャンプ場まで

ガイドブックに紹介される大きなミズバショウの群生地は、舗装歩道の終点地キャンプ場の更に1.5km先にあります。そこまでは車椅子では行けません。

「一の瀬木道」は、「ネイチャープラザ一の瀬」駐車場から南方面に1.5kmほど進んだ「まいめの池」駐車場が起点になります。木道の傷みが激しいため、2019年から2021年(予定)の間、木道はリニューアル工事のため通行止めになります。

一の瀬木道

乗鞍高原は「一の瀬園地」の一部と「乗鞍自然保護センター」は、車椅子で観光ができます。

信玄と謙信の一騎打ち 川中島古戦場史跡公園 バリアフリー情報

長野県長野市の「川中島古戦場史跡公園」は、想像するよりも車椅子で利用できる公園です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

なお本稿は2014年の取材で初稿を執筆し、2019年8月に加筆修正しました。

川中島古戦場史跡公園

武田信玄、上杉謙信の合戦で有名な古戦場の公園です。高速のICから便利な立地で、古戦場ながらある程度はバリアフリーに楽しめます。

公園には古戦場のシンボルの神社、美味しいお蕎麦屋さんがあり、市立博物館もあります。

川中島古戦場史跡公園

アクセスは車です。約150台収容の無料駐車場があり、障害者用駐車区画が用意されています。

この駐車場の公衆トイレに障害者用トイレが併設されています。このトイレはとても綺麗で、清掃が行き届き、広く、設備が新しい使いやすいトイレです。冬場でも暖房が効き暖かく利用できます。

古戦場跡のシンボルが「八幡社

古戦場跡のシンボルが「八幡社」。この付近まで、舗装路や固い路面の未舗装路を通り、車椅子で移動可能です。戦争で破壊された社を信玄が再興したという伝説が伝わり、信玄と謙信の一騎打ち伝説の場面を再現したモニュメントがあります。

古戦場跡のシンボルが「八幡社

川中島の合戦には、後世の創作が入った話が多いのですが、そのあたりの解説をしてくれるボランティアスタッフの方がいれば、川中島の歴史を教えていただけます。

古戦場跡のシンボルが「八幡社

「領土拡大意欲に燃える武田信玄が北進し、信州全体を治める要所としてこの川中島に進出してきました。困ったのは川中島の地場の侍たち。これが上杉謙信に援軍を依頼し、義侠に燃える謙信がやってきた・・・。」話の入口の口上のイメージです。

古戦場跡のシンボルが「八幡社

信州と言えばお蕎麦。この公園内に、お蕎麦屋さんがあり、なんとか車椅子でも利用ができる構造になっています。名物は大盛りのお蕎麦です。

長野市立博物館があります。専用の駐車場があるので、そちらに車で移動した方が便利です。この地の古来の歴史が展示解説され、信玄・謙信の解説展示もあります。障害者用トイレやエレベーターはあるので、車椅子でも利用はできます。

戦国時代の史跡ですが、川中島古戦場史跡公園は車椅子で楽しめる公園です。