千葉県南房総市の施設です。1993年に千葉県で最初に登録された道の駅なので、今どきのバリアフリー設計ではありません。車椅子で利用する際に、知っていると役立つ現地の状況を紹介します。
冨浦ICに近く、現在では商業集積エリアとなった場所にある道の駅です。道の駅に並び、2軒の観光客向け大型店があり、事実上駐車場が共用されています。
道の駅とみうら枇杷俱楽部の駐車場には、身障者用駐車区画が2区画あります。1区画目は、施設敷地の出入口の近くに屋根なしで1台分。ブルーラインの区画はEV充電スペースで、その隣の赤カラーペイントの区画が、やや幅広の身障者用駐車区画です。もう1区画は少し先に進んだ場所に屋根付きで1台分あります。屋根付きの駐車区画は2台分ありますが、赤カラーペイントの身障者用駐車区画はその内の1台分です。屋根付きですが、施設棟やトイレ棟までの屋根ではありません。駐車区画の上だけに屋根があります。
施設棟内の屋内トイレは階段の下にあり、バリアフリートイレはありません。24時間利用の独立棟トイレが駐車場の奥にあります。
バリアフリートイレはこのトイレ棟に1つあります。スペースは余裕のある個室で、ウォシュレット付き便器が備えられています。
施設棟内への出入口は3か所あります。身障者用駐車区画がある高さに2か所、半地下に1か所です。
中央出入口は自動ドアで、車椅子で出入りがしやすい構造です。そこから入るとインフォメーションがあり、その奥の物販ショップコーナーが展開します。同じ高さにあるもう一つの出入口からは、「びわマルシェ」に入ります。この出入口のドアは手動で、マルシェ内のスペースは狭く、さらにもう1枚の手動ドアを通過して物販ショップコーナーに向かいます。車椅子では中央出入口の利用が便利です。
施設棟2Fのギャラリーへのアクセスは階段のみです。半地下にあるアトリウム及びカフェレストランへも一般的には階段を利用しますが、車椅子利用者のために事務室へ向かうスロープとその先のスタッフ専用ドアが解放されています。
ただしスロープは角度があり、さらに小さな段箇所や、急角度の簡易スロープ箇所があるので、あまり快適なバリアフリールートではありません。
半地下の高さにある出入口は自動ドアです。
車椅子で半地下に向かう場合は、むしろいったん外部に出て、施設横の屋外坂道を下るほうが便利だと思います。
道の駅とみうら枇杷俱楽部には、素敵なお庭と短い散歩道があります。
半地下出入口付近から、花壇が広がります。お庭の中の散策路は、傾斜の少ない舗装路です。車椅子で散策できます。
お庭の横に車椅子で利用できる「月見台」があり、周囲の風景を楽しむことができます。
お庭の先に川が流れています。川沿いまでは折り返しのスロープ路が整備され、川にはフラットで舗装された橋が架かります。ここまで車椅子で散策可能です。川には鯉が群れて泳いでいます。
川を渡ると上り坂のスロープ路があります。やや傾斜はきつくなりますが、介助者がいれば車椅子で移動できます。川の土手まで上がると、その先は菜の花畑が広がります。そして振り返ると、春なら川面と菜の花そして桜と共に、道の駅とみうら枇杷俱楽部を眺めることが出来ます。
古い施設のため、道の駅とみうら枇杷俱楽部は今どきのバリアフリー設計ではありません。車椅子では施設の構造を理解して利用する必要があります。
(本稿は2021年3月に執筆しました)