重度重複障がい者の家庭での入浴介助 家族の注意事項

重度重複障がい者の家庭での入浴介助 家族の注意事項

一人では入浴することが出来ない、重い障がいのある人を、家族が自宅のお風呂に入れる。特に体重の重い人の介助はたいへんです。

日常の家庭内介助で、障がい者と介助者の双方に事故が無いように、注意すべきことを紹介します。

○マニュアルは20kg以上で2人介護

介助の一般的なマニュアルでは「体重20kg以上の人の移動は必ず2人で・・」と書かれています。

体重40kgの人を一人で入浴させることは、そもそも無理をしています。介助者が体を痛める、障がい者を間違って落とす、などの事故が起きるリスクは多分にあります。

介助者は自分が無理をしていることを正しく自覚することが重要です。

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○小さな改修で大きな効果がある

自宅のお風呂を全面的にバリアフリー改修すると、一般に多額の費用がかかります。

障がいのある人と介助者、個々の状況次第ですが、一本手すりをつける、ドアを折り戸に替えるなど、部分的な改修で毎日の介助が楽になることがあります。

改修案を企画するのは家族の役割です。上手に企画して手続きを行えば、改修費用が行政から助成させるケースもあります。

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○介助ヘルパーを頼む

家族で面倒を看たい、他人が家庭内に入るは苦手など、様々な理由で入浴介助ヘルパーを利用しない家族がいます。

自分が無理をしていると自覚がある方は、入浴介助を他人に頼むことも有効な手段です。

ただしヘルパーによって、介助の巧拙はあります。そのチェックは家族の役割です。

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○冬季は寒暖差に気を付ける

重度の身体障がいがある人は、冬季は寒暖差を小さくする工夫が必要です。

脱衣する場所が寒い、お風呂が寒い場合は、ストーブの使用、入浴前にシャワーを出して浴室内を温めるなどの配慮が望まれます。逆に湯温はぬるめが基本です。

重度重複障がい者の家庭での入浴介助 家族の注意事項

○浴槽内で大発作がおきた場合の対処方法

最後に筆者が失敗した経験を紹介します。

浴槽内で温まっている時に、障がい者に大発作がおき、そのままでは溺死するリスクに直面しました。

あわてて力任せに浴槽から引き揚げて、脱衣所に移動させました。発作の経過は幸い順調でしたが、後でみると体に複数箇所、アザやキズがありました。

後日、救急隊の方にアドバイスを受けました。家庭の浴槽内で倒れた場合は、すぐに浴槽のお湯を抜き、落ち着いて状態を確認するとよいそうです。

重度重複障がい者の家庭での入浴介助 家族の注意事項

家庭での入浴は、障がい者と介助者の双方が大変です。そもそも無理をしていることを自覚して、リスクを最小化する努力が必要です。

(本稿は2020年1月に執筆しました)

別稿で「歩行困難者の家屋内移動を支える福祉器具 天井走行リフト」を掲載しています。ご参照ください。