重厚な雰囲気が漂う古い石造りの建物「横浜開港資料館」。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。

横浜開港資料館は、横浜港大桟橋の付け根、日本大通り駅の近くにあります。一般公開されていない旧館は旧イギリス総領事館です。

そしてここは、日米和親条約締結の地。寒村であった横浜の、開港以来の発展の歴史を紹介する目的で、1981年に開館した資料館です。

資料館の前は広場になっています。

噴水が整備されています。

建物全体が趣のあるデザイン。敷地内への入口は2か所あり、どとらかでも車椅子で入ることができます。

建築デザインを鑑賞しながら資料館内へ入ると中庭があり、取り囲む様な回廊通路は車椅子で通行できます。

中庭中央には大木「たまくすの木」。江戸時代から漁民が港の目印にしていたという大木ですが、関東大震災で焼失。現存する木は二代目ということです。
「たまくすの木」の横に設けられた応接所で日米和親条約が締結されました。中庭で旧イギリス総領事館と「たまくすの木」を観ることができます。屋外は無料ゾーンです。

資料館は常設展示室が1Fと2F。企画展示室が2F。1Fにバリアフリートイレがあるバリアフリー設計ですが、資料館の内部は広くはなく、混雑時は車椅子では展示の観覧にやや苦戦します。
展示室は有料ですが、障害者手帳の提示で本人と介助者の入館料が無料に減免されます。

中庭から資料館内部へ。入口に受付があるので障害者手帳を提示して入館の手続きをします。
最初の展示室は1F。黒船時代からの横浜が紹介されています。1F展示室の通路はフラットですが広くはありません。混雑時は車椅子では観覧に苦戦します。
エレベーターが1基あり車椅子で2Fへ上がることができます。
2Fの常設展示室は、文明開化以後の横浜の紹介。2Fは1Fに比べてスペースに余裕があり、少々の混雑状態なら車椅子で見学できます。
渡り廊下の展示を見ながら、2F企画展示室へ。廊下の窓から「たまくすの木」が見学できます。

その企画展の内容によりますが、大型展示ケースの配置は通路幅に余裕があるので、企画展示室は車椅子で見学できます。
展示物の高さは、いずれの展示室も車椅子目線見やすい高さ。車椅子で展示が見やすい工夫があります。
横浜開港100年を記念して実施された、横浜市史編集事業の資料をベースにして設けられた施設で、次の世代に歴史を伝える「近代都市横浜の記憶装置」という役割があります。ほぼすべての展示に英語案内が付記されています。

一部通路が狭い箇所があり、混雑時は車椅子で苦戦することもありますが、横浜開港資料館は車椅子で見学できます。
クイーンの塔がシンボルの横浜税関の「横浜税関資料展示室」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年1月に加筆修正しました)