横浜港大桟橋の近くにある博物館です。アクセスは日本大通り駅から徒歩3分の案内。来館者用の駐車場はありませんが、近隣に有料駐車場が複数あります。
シルク博物館は横浜開港百年記念事業として、シルクセンター内に昭和34年に開館しました。ビルの設計はモダニズム建築様式で名高い坂倉準三氏。シルクセンタービルは、現在でも昭和30年代と同じ姿です。したがってバリアフリー設計の施設ではありませんが、シルク博物館は車椅子で見学できます。現地の状況を紹介します。
シルクセンター全体のバリアフリー概況です。この地は横浜開港当初、英国商社ジャーディン・マセソン商会があり、その建物は「英一番館」と呼ばれていました。その後は横浜市の所有地になり、主に神奈川県が建築資金を負担し、シルクセンターが誕生しました。
現在、シルクセンターのメインエントランスは港側にあり段差解消されています。シルクセンターはB1から8Fの本棟と別館で構成される構造で、そこに中一階(M1F)と中二階(M2F)があります。シルクセンター開館当初は、1Fから4Fが貸事務所や会議室のフロアで、5F以上は「シルクホテル」でした。
1Fのエレベーターホールから、B1とM1への階段があります。B1はショッピングアーケード「英一番館」です。
バリアフリートイレはシルク博物館内にはありません。シルクセンター1Fエレベーターホールの横にあります。男女別トイレの中に個室がある構造なので、異性介護では利用できません。
今回取材した時点では、懐かしい細長い便器が備えられていました。
シルク博物館はシルクセンター2Fと3Fの2フロアにあり、各フロア面積の約半分を占有しています。
シルクセンター2Fがシルク博物館の1F。センター3Fが博物館の2Fになります。シルク博物館の受付は博物館の1Fです。博物館内の1Fと2F間は、階段で移動します。博物館内に1Fと2F間を移動できる、エレベーターや昇降機はありません。
通常の来館ルートは、海側からシルクセンター2Fまで階段を上がり、シルク博物館の1Fのメインエントランスから入館します。
車椅子利用者は、シルクセンター1Fからエレベーターで2Fへ上がります。
シルクセンター2Fのエレベーターホールから、シルク博物館のサブエントランスまで、7段の階段構造です。ここが車椅子にとってのバリアポイントです。この段差を回避する昇降機が別の場所に用意されています。車椅子利用者は、階段の下のブザーを押して、博物館スタッフを呼び出します。
シルク博物館の2Fは、シルクセンター3Fエレベーターホールから段差なく移動できる高さです。ただし3Fエレベーターホールからの出入口は、通常は鍵がかけられています。したがってスタッフの誘導を受けて出入りします。
このような構造の博物館のため、車椅子での見学ルートは以下の順になります。
①センター2Fエレベーターホールの横から昇降機で上がり、シルク博物館の1Fへ移動。
②博物館1F見学後、同じ昇降機で下がり、センター2Fエレベーターホールへ移動。
③センターエレベーターで2Fから3F へ移動。
④シルク博物館2F出入口を開錠していただいて、シルク博物館の2Fへ移動。
⑤博物館2F見学後、同じ出入口を再度開錠していただき、センター3Fエレベーターホールへ移動。
⑥シルクセンターエレベーターで3Fから1Fへ移動。シルクセンターのメインエントランスから退館。
シルク博物館1Fのバリアフリー状況です。シルクセンター2Fエレベーターホールの横にある博物館のサブエントランス下から、スタッフの誘導を受けます。エレベーターホールの裏側にまわり、施錠されているドアを開けていただくと、昇降機があります。
今回取材時は、昇降機の操作のために2名の博物館スタッフに対応していただきました。
シルクセンターの2F、シルク博物館として1Fのフロア内は段差のないバリアフリー仕様です。車椅子で問題なく移動、展示の見学ができます。
シルク博物館の入館料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。受付で障害者手帳等を提示して減免措置を受けてください。
1Fの展示は「ふしぎファーム」と「しらべライブラリ」で構成されます。
蚕がつくる繭から糸ができるまでの工程、そして織と染めの過程を学ぶことができます。
シルクと横浜の歴史も紹介されています。
ミュージアムショップは2Fにあります。車椅子の場合、3Fからまた2Fに戻るのはたいへんなので、3Fに移動する前にミュージアムショップに寄ることをお薦めします。ショップではスカーフやネクタイなど各種の絹製品が販売されています。
シルク博物館2Fのバリアフリー状況です。博物館1F見学後はスタッフに声をかけ、誘導していただき、昇降機で下りて、シルクセンター2Fのエレベーターを利用して、シルクセンターの3Fへ上がり、シルク博物館の2Fへ移動します。
シルク博物館2Fの展示テーマは「シルクのあゆみ」。古代から現代までの衣装の展示が中心です。
シルク博物館2F内は段差のないバリアフリー仕様。車椅子で問題なく展示の見学ができます。
良く出来た展示です。
復元時代衣装の数に圧倒されます。
映像コンテンツを視聴するコーナーがあります。
高松宮妃殿下ご直筆の「シルクギャラリー掲額」の展示。
博物館の1Fと2F間の階段踊り場には、桃山時代のシルクアート作品が展示されています。
復元時代衣装の展示はまだまだあります。
2F見学後は、シルクセンター3Fのエレベーターホールにでる出入口のブザーを押してください。博物館スタッフが来て、ドアを開錠していただけます。
シルク博物館は、スタッフの誘導を3回受け、昇降機に2回乗りますが、2フロアすべての展示を車椅子で見学できます。
みなとみらい線馬車道駅の近くある「神奈川県立歴史博物館」を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年1月に執筆しました)