青銅製立像で世界一のギネス認定、茨城県牛久市の牛久阿弥陀大仏は、胎内を車椅子で巡りお参りができます。現地のバリアフリー状況を紹介します。
お寺の名称は「本山東本願寺」、浅草の東本願寺様です。大仏様の高さは120m。その胸のあたり、高さ85mの位置までエレベーターで昇ることができます。大仏様は青銅製なので、50年から100年ほどで「青」に変色します。
アクセスは車の利用が便利です。無料駐車場が用意されています。駐車場の誘導スタッフに「車椅子利用」を相談すると、優先スペースに誘導していただけました。駐車場の身障者優先スペースは、大仏様入口に近い場所の駐車区画です。
バリアフリートイレは2箇所あります。駐車場のすぐ横の無料エリアと、有料エリア内です。いずれも独立棟のトイレです。
駐車場から大仏様に向かう途中には、両脇にお土産屋さんが並ぶ、仲見世があります。大仏煎餅や饅頭、数珠や縁起物などが販売されています。食事処もあります。見る限り、いずれもフラットな構造で、車椅子で入店可能なお店です。ここまでは無料エリアです。
この先は有料エリアです。拝観料は障がい者減免制度があり、一般料金よりも減免されます。有料エリア入口で拝観券を求めてください。
車椅子利用をみて、その際に説明されたのは地震が起きた場合のことです。大仏胎内はエレベーターで移動しますが、震度4以上の地震が発生した場合はエレベーターが止まり、専門業者が来て、安全確認をしてからの復旧になるので、エレベーターが動くまでは相当の時間がかかるという説明です。
東日本大震災の時やその後の余震が多かったころ、大仏胎内に数時間閉じ込められた車椅子利用者がいたと思われます。幸いなことに、今回の参拝時には地震は起きませんでした。
なだらかな舗装路を通り、大仏様に向かっていきます。途中には「山門」や「香炉」などがあります。
大仏様の入口は、大仏の後ろ側です。胎内は土足禁止で、靴を脱ぎ袋に入れて持ち運ぶことになります。車椅子での参拝者が多いのでしょう。お寺のスタッフは、車椅子利用者の案内に手馴れています。
車椅子で入口に行くと、スタッフがタオルでタイヤを拭いていただけました。それで車椅子のまま入場可。胎内で車椅子から降りる人は、靴を脱いでくださいという案内です。
大仏様胎内の車椅子ルートです。車椅子利用者は、体内での移動方法が一般参拝者と違うので、スタッフが付き添って入場していただけます。
最初は一般参拝者と一緒に暗い部屋に移動します。部屋に30人前後の参拝者がそろうと、いったんドアが閉まり闇の世界になります。そこで大仏胎内の簡単な案内が流れ、胎内へのドアが開きます。するとそこは「光の世界」、神秘的な空間が広がります。
一般参拝者はそこから階段で2階に上がりエレベーターを利用します。車椅子利用者は1階から特別にエレベーター利用を案内されます。
エレベーターで5階の「霊鷲山の間」へ上ります。仏舎利が安置され、四方に小さな窓があり、外をみることが出来ます。
ここから一般参拝者は階段で4階のお土産コーナーへ移動します。車椅子利用者はエレベーターを利用できます。
次に行くのは地上20mの3階「蓮華法世界」。胎内仏が安置される黄金の空間です。
その次は地上10mの2階「知恩報徳の世界」。有料で写経を行うフロアです。見学だけなら無料。写経の机は堀コタツ形式。見る限り車椅子対応のスペースは無いようでした。
一般参拝者はこのあとは階段で1Fへ。車椅子利用者はエレベーターで1Fに案内していただけます。
大仏様の裏のエリアには、ふれあい動物園があります。ただし「ふれあいゾーン」は段差があり、車椅子での入場は難しい構造です。
そして浄土庭園に戻ります。ルート上には季節のお花が美しいお庭があり、花と大仏様を眺めながらバリアフリー歩道を進みます。
有料エリアの出口は回転ゲートです。車椅子利用者は、入口から出るように案内されました。
参拝の全行程、車椅子をみるとスタッフがすぐに案内をしていただけるので、とても快適でした。
駐車場から大仏胎内までの間は、庇や屋根はまったくありません。移動距離は往復で300mはあります。車椅子利用者は、天候の安定した日の参拝をお薦めします。
車椅子利用者へのスタッフの対応が素晴らしいお寺です。牛久阿弥陀大仏は、車椅子でお参りができます。
自然を楽しむ無料施設「牛久自然観察の森」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2015年9月の取材に基づいています)