ユニバーサルスプーンは障がいある人のために工夫されたスプーン。スプーンの握りのところに、細工があるタイプが主流です。
握りの細工は大きく分けて2種類。太くする細工と、曲げられる細工です。太くして握り易くする素材としては、固めのスポンジが使われています。好みの太さのスポンジを選ぶことが出来、スポンジにスプーンの柄を刺して使用します。スポンジは緑色のものが多く採用されています。
スポンジなので汚れを吸い込みます。長期間使用していると、薄汚れてきます。食事の道具なので、定期的なスポンジの交換が必要です。
曲げられるスプーンの素材は、形状記憶機能があるポリマーが主流です。自分で好きな形に曲げて、その形状で固定されます。スプーンを握ることが難しい人でも、指にひっかける、または乗せる形状にして使用することができます。
形状記憶ポリマーの柄が2本ついているタイプもあります。2本を組み合わせることで、より複雑な造形の柄を創作することができます。
その他には、バンドが付いて腕に固定できるタイプ、柄の途中が曲線的で指での補佐がやりやすいタイプ、柄が途中で大きく曲がってスプーン先端部の角度が柄とは違う方向に向いているタイプ、などがあります。使用する方の障がいの状況によって、使いやすいものを選びます。
先端部がフォーク形状の製品も数多くあります。昔の学校給食で使用された「先割れスプーン」形状もあります。柄の部分が先端部の中心ではなく、わざと右や左にずらして付いているものもあります。どちらかの動きならできる、という人にはこういう形状は便利です。
手に障がいのある人の場合、摂食上の障がい、食道ではなく気管に入ってしまう、嚥下障がいを併発しているケースがあります。嚥下障がいがあり、誤嚥の発生リスクが高い方は、なるべく先端部が小さいスプーンの利用が薦められます。一口一口ちょっとずつ飲んで食べるためです。特に脳梗塞を起こした方は、自覚症状がなくても、嚥下障害の併発確率が非常に高くなります。
障がいのある人にとって、ユニバーサルスプーンは役に立つ道具です。慎重に味わって食事を楽しんでください。
(本稿は2019年12月に執筆しました)