日本のほとんどの一戸建て住宅は、道路から玄関までに段差があり、玄関内が段差構造です。車椅子利用の、それも重度の障がいがある人がいる家庭では、家の出入りが問題になります。
家庭用の車椅子電動昇降機は、日本の一戸建て住宅にマッチした福祉機器です。車椅子のまま住宅内に進入できる、リビングの前などで使用するケースが多いようです。
屋外から駐車スペースなどのフラットな庭を通り、リビング前から電動昇降機で部屋の高さまで上がり、住居内に入る使用イメージです。もちろんその住居によって設置場所は様々です。
設置スペースは最低でも1.2m四方くらいは必要です。出来れば1.5m以上が望まれます。打ち付けて固定するタイプ、簡易的に置くタイプがあり、バラして組み立てが出来るタイプもあります。電源は通常の家庭用100Vのものがほとんどで、電源が引ければ特別な電気工事は不要です。
大きさや機能としては、介助者が一緒に乗るかどうか、直進での乗り降りだけではなく左右L字方向にも乗降可能か、このあたりが選択肢になります。機能選択で大きさも変わるので、スペースとの兼ね合いで検討します。
障がいのある人が使用する昇降機ですから、ある程度利用に時間がかかります。したがって雨対策が重要です。庇の下など雨が避けられる場所での設置が望まれます。
家庭用の車椅子電動昇降機は1基100万円程度しますが、ケースバイケースにはなりますが、介護保険を使うと月々2000円台でレンタルできます。介護保険制度が導入されてから商品が数多く開発され、機能が上り値段が下がり、利用者は増加しました。
実際、ベッドから車椅子に移るのがやっとのレベルの障がいのある人の場合、一般的な日本の一戸建て住宅の玄関を通るのは大変です。また多くの家屋は、玄関から道路までの間に更に段差があります。
庭に面したどこかのお部屋までを何とか段差解消して、そこから昇降機で乗降するのはとても現実的な方法です。
利用されている人が大勢います。贅沢と思わずに、困っているご家庭は家庭用の車椅子電動昇降機の導入を検討してください。
(本稿は2019年12月に執筆しました)