標高約1,200ⅿにある長野県長野市の戸隠高原には、昭和43年に開園した戸隠森林植物園があり、一部の区間はバリアフリー木道が整備されていました。しかし経年劣化による木道の腐食が進み危険なため、令和4年2月から3月期にかけて、木道の多くが撤去されました。残された一部の木道も痛みがあり、車椅子での通行は快適ではありません。
2022年5月時点での、植物園駐車場を起点にした車椅子での散策可能なルートを紹介します。その範囲だけの散策でも、車椅子で大自然の景観と、ネイチャーセンター「戸隠森林館」の見学が楽しめます。
戸隠森林植物園は、林野庁が管理する広大な「戸隠・大峰自然休養林」の中にある自然公園です。
有料の戸隠神社奥社駐車場とは別に、無料の植物園駐車場があり、身障者用駐車スペースが設けられています。駐車場の隣接地から高山植物の宝庫で、今回取材時は水芭蕉が満開でした。
駐車場の周囲には、石像や石碑が建立されています。
戸隠森林植物園は71haの広さがあり、「植物観察園」「モミの木園地」「水ばしょう園」などが整備されています。車椅子で散策可能なエリアは、そのほんの一部です。鏡池方面は悪路を通行するので、車椅子での散策は困難です。
駐車場から舗装路を通行して中央広場に行くことができます。中央広場は「みどりが池」に隣接しています。
「みどりが池」が車椅子で楽に散策できる範囲です。池の周辺は未舗装路面ですが、悪路を避ければ車椅子で池に近づくことができます。
池の畔は水芭蕉の群生です。狭い範囲ではありますが、標高約1,200ⅿの戸隠高原を車椅子で散策し、水芭蕉を楽しむことができます。
「みどりが池」周回路の木道は一部残されていますが、すぐに終点になります。快適な木道ではないので、無理をして進む価値はありません。
中央広場の横に無料で利用できる「八十二 森のまなびや」があります。八十二銀行とのネーミングライツ契約をしているネイチャーセンターで、「ecology Bank82 戸隠森林館」がサブタイトルの施設です。
「八十二 森のまなびや」は、舗装通路を通り車椅子でアクセスできます。
「八十二 森のまなびや」は、靴を脱いで入る土足禁止施設です。エントランスに折り畳み式の屋内用車椅子が数台用意されています。
車椅子利用者は、屋内用車椅子に乗り換えるか、自分の車椅子のタイヤを拭いて入館します。
戸隠高原の自然と動植物、関連資料が展示紹介されている施設です。館内にはバリアフリートイレがあります。
スペースは一般的なサイズの個室で、設備はシンプルなトイレです。
エントランス横が窓口です。今回取材時、記帳は不要でした。
入口正面にある展示は「戸隠・大峰自然休養林」一帯の広域地形モデルです。山々に囲まれた戸隠高原の位置が確認できます。
館内には数多くのはく製の展示があります。迫力ある猛禽類のはく製です。
猛禽類のアート作品です。
ニホンカモシカのはく製がありました。
ウッディな館内には、案外ハイテク系の展示が多々あります。
戸隠の森林を再現したジオラマの展示です。森林の一日が15分で演出されています。動物の行動を紹介するタッチパネルディスプレイがあります。
マルチビジョンシアターでは、戸隠の自然を紹介する大人向きと子供向きの2本のプログラムが交替で上映されていました。
館内には資料等を閲覧する「森の図書室」があります。「八十二 森のまなびや」は、土足禁止ですが車椅子で利用できる施設です。
戸隠高原の森林植物公園は、木道が老朽化したため車椅子での散策範囲は狭くなりましたが、植物園駐車場を起点にすれば、美しい「みどりが池」の風景を車椅子から楽しむことができます。
車椅子で美味しい戸隠蕎麦をいただける「そば処千成」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年5月に執筆しました)