群馬県の富岡製糸場は、段差構造の箇所もありますが、公開エリアの多くを車椅子で見学できます。ただし砂利路面やガタゴトした未舗装路を進む箇所があります。

富岡製糸場は保存整備事業が進行中です。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
アクセスは車が便利です。周辺の駐車場の状況です。富岡駅の近くに市営の無料駐車場がありますが、徒歩10分以上かかります。
一般的によく利用されるのは有料の「市営宮本町駐車場」です。富岡製糸場までは500mの距離で、フラットな舗装路を通行します。「市営宮本町駐車場」には身障者用駐車区画とバリアフリートイレがあります。駐車料金の障がい者減免制度はありません。

富岡製糸場により近い場所に、複数のコインパーキングや、呼び込みをしている民間駐車場があります。
正面入口から敷地内に入ります。入口周辺のアプローチはフラットな舗装路です。

見学料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名の見学料が無料に減免されます。発券所で障害者手帳等を提示して手続きを行います。
解説員による有料のガイドツアーが催行されます。希望する場合は発券所で申し込みます。
その先もフラット舗装路を通行して、「東置繭所」1Fにある最初の展示コーナー「ガイダンス展示」に向かいます。

各施設のバリアフリー状況です。見学コースの最初にある東置繭所1Fは建物内に展示があります。
建物の出入口は段差をスロープ化しています。ラフなスロープですが、車椅子でそれほど苦労せずに出入りは可能です。
ガイダンス展示は、フラットな床面に大きな展示物や映像コーナーがある施設です。車椅子での見学は可能です。
ガイダンス展示の並びに、お土産コーナーがあります。店内のスペースに余裕はありませんが、空いていれば車椅子での立ち寄り、買い物は可能です。
東置繭所1F、反対側の屋内にはシルクギャラリーがあります。ここも車椅子で見学可能です。製糸作業の実演、企画展の開催、そして絹製品の販売コーナーがあります。

東置繭所1Fの見学が終わると、次は隣の「繰糸所」内部の見学です。東置繭所から繰糸所までのルートは、フラットな舗装路です。
スロープを上り繰糸所内部に入ります。内部の床面はフラットで、車椅子で問題なく見学できます。映像コンテンツによる繰糸所の紹介コーナーもあります。

繰糸所内部は一方通行での見学になり、ルートに従って進み外部に出ると、バリアフリートイレがあります。

繰糸所に隣接するバリアフリートイレは、内装がタイル張りのとても広いトイレです。

小型のユニバーサルベッドがあります。

今回12月の取材時、トイレの外窓は空けられていました。トイレには暖房はなく、便器はウォームレット付きです。
富岡製糸場にはもう一か所、「社宅群」にある独立棟トイレに、バリアフリートイレがあります。
東置繭所と繰糸所以外は、外からの見学になります。内部見学はできません。

次の見学コースは「首長館(ブリュナ館)」。繰糸所から先は未舗装路面です。一部ゴムマットが敷かれた箇所がありますが、固く薄い砂利がある路面を車椅子で進みます。

見学コースは「首長館」から「寄宿舎」へ進みます。寄宿舎周辺の路面は、見学コースの中で最も荒れた未舗装路面です。

かなりデコボコがあるので、車椅子を慎重に進めて下さい。

見学コースは元来た道を引き返しながら、「診療所」、「女工館」、「検査人館」などの横を通ります。


繰糸所の近くまで、再度同じ未舗装路を通行します。


そのまま東置繭所前まで戻ります。ここから先はルート順の指定はありません。
東置繭所を通り過ぎて直進すると「社宅群」エリアにでます。このエリアは未舗装路面で、悪路区間の一部にゴムマットが敷かれています。

社宅群を抜けると「ブリュナエンジン(復元機)動態展示施設」があります。古いエンジンを稼働させる新しい建物の施設です。定期的に昔のエンジンを動かしています。
エンジンのまわりを車椅子で一周することができます。エンジンを上から覗き込む台は階段で上ります。

エンジン展示施設から東置繭所へ向かうと、2Fへの階段見学コースがあります。エレベーターはありません。

階段を上ると2Fの巨大な空間が見学できます。


古い施設なので基本構造がバリアフリーではありませんが、見学コース上の決定的な段差箇所にはスロープが設置されています。富岡製糸場の現時点での見学コースでは「東置繭所2F」が車椅子不可。「寄宿舎」前の路面が、車椅子での移動に苦労します。
富岡市「もみじ平総合公園」内にある「群馬県立自然史博物館」の詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2019年12月の取材に基づいています)


























