上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

埼玉県上尾市の荒川沿いにある牧場で、美味しいアイスクリームやヨーグルトなどをいただくことが出来ます。牧場なので完全なバリアフリー構造ではありませんが、上手に利用すれば車椅子でも動物と触れ合い、美味しいものをいただけます。現地のバリアフリー状況を紹介します。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

アクセスは車が便利です。荒川沿いにサイクリングロードが整備されているためか、自転車で訪れる人が大勢います。

駐車場の状況です。牧場の入口から緩い下り坂の先に、舗装路面の駐車区画が13台分あります。身障者用駐車スペースはありません。人気の牧場で、好天の週末は混みます。この舗装駐車場は満車確率が高く、かつ空いていたとして車椅子乗降に必要な十分なスペースを確保するのは難しいことが多いはずです。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

舗装駐車場の先は未舗装駐車場エリアになり、奥に行くほど空きますが、その分デコボコ路面を車椅子で通行する距離が伸びます。

混雑しているときのお薦め駐車スペースは、舗装駐車場の先を右折して荒川方面に入ったエリアです。駐車場は未舗装路面ですが、荒川まで狭い舗装路が整備されているので、短距離の移動で舗装路に上がることができます。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

駐車場から緩い上り坂を通行して牧場のメイン施設方面に向かいます。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

三角屋根の建物がショップです。行列ができているのはジェラート売り場です。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

ジェラート以外の製品、例えばパッケージに入ったアイスクリームやヨーグルトなどは、横の出入口から並ばずに買えました。段差があるので、車椅子で入店するのは苦労するショップです。同行者に買い出しに行ってもらえると助かる構造です。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

メイン施設の前庭のようなスペースに、フリーテーブルが配置され、自由にアイスクリームなどをいただくことができます。ただし、配置されているのはほとんどがテーブルと椅子が固定した構造の、車椅子で利用しにくいタイプのテーブルです。今回取材時に確認できた限り、椅子が可動式のテーブルは2セットだけでした。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

ショップ棟がある同じ高さに、乳牛が飼育されている牧舎があります。出入口に段差がないので車椅子で中に入り見学することができます。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

このほかにも牧舎、あるいは鳥の飼育ケージ、豚もいます。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

いずれもフラットな舗装路面にあるので、無理のない範囲に限られますが、車椅子で近づいて見学できます。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

放牧場は、前出の荒川方面駐車スペースに向かう途中にあります。ここも舗装通路上から乳牛を見学することができます。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

ややラフな造作のトイレではありますが、バリアフリートイレが用意されています。牧舎の横の通路を進みます。路面は荒れているように見えますが、補修されて車椅子で通行可能です。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

バリアフリートイレのドアは横開きです。一般的な車椅子なら通過できる幅はあります。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

ややスペースは狭い個室で、ウォシュレット付きの便器が備えられています。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

榎本牧場から荒川沿いまで、舗装通路が整備され車椅子で散策できます。道を進むとお花畑があります。今回取材時はネモフィラなどが咲いていました。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

ストロベリーツリーは、花摘みOKという案内です。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

車椅子から荒川の景観が楽しめます。

上尾 榎本牧場 車椅子利用ガイド

バリアフリー設計の施設ではありませんが、上尾の榎本牧場は、車椅子で美味しいものをいただき、動物と触れ合い、お花畑を楽しむことができる施設です。

(本稿は2021年5月に執筆しました)

八王子の牧場 磯沼ミルクファーム 車椅子バリアフリー情報

東京都八王子にある「世界で一番小さなヨーグルト工場」磯沼ミルクファームは、バリアフリーではありませんが車椅子での見学は可能です。現地の状況を紹介します。

この地で昭和27年から続く、東京牛乳を生産する牧場です。街中牧場と称されますが、人家もある里山立地です。約90頭の牛を飼育しています。アクセスは車が便利です。場所は少々解り難いところで、狭い路地を入っていく感じです。それでもお客さんは絶えません。

敷地内の未舗装駐車場には4台が駐車可能。敷地内一帯は未舗装路面ですが、車椅子で移動できないほどの荒れ方ではありません。車椅子のための配慮は特にありません。それでも、牛舎を覗き、放牧地を眺めることはできます。

八王子の牧場 磯沼ミルクファーム 車椅子バリアフリー情報

現地で販売しているのは、ヨーグルトと牛乳です。高付加価値品を、それなりの価格で販売しています。

販売しているのは、世界で一番小さなヨーグルト工場の窓。2段ほどの段差を上り、呼び鈴を押すと窓が開き、販売スタッフが顔を出します。「ご注文商品が決まったら、ベルを押してください」という張り紙があります。

販売窓口の横には、自由に使用できるベンチがあります。車椅子から降りて、介助歩行が出来る人なら、ベンチでヨーグルトや牛乳をいただくことが可能です。これらの商品は、ネット通販で販売されています。

磯沼ミルクファームでは、若手が酪農の勉強をして、最先端の技術を取り入れているそうです。紹介されている技術をいくつか紹介します。

飲み水は、純度の高い地下水を汲み上げ、化石サンゴフィルターで浄水。牛たちは、海のミネラルがたっぷりの美味しい水を飲んでいます。

エサは「少量多回給餌」が理想。導入しているには「コンピユータ利用個体識別式自動給餌機アルファフィードⅡ」という機械。これにより、牛たちに24時間エサを与えているそうです。

更に、搾乳バーンには「オートマチック カウブラシ」が設置され、牛の意思で自由にブラッシングを楽しめるそうです。

今後は受精卵移植の最先端技術を用いて、新しい乳牛を生み出すことに挑戦するそうです。

牛舎の牛をみてすぐに気が付くのは、数種類の牛が飼われていること。今回の取材時に確認出来たのは、ホルスタイン、ジャージー種、ブラウンスイスという3種類。牛乳にそれぞれの特徴があり、製品づくりに特性を合わせているということです。

様々な工夫により、牧場は臭くない、という宣伝がありますが、今回訪問した時は、それなりの匂いはしました。日によって、時間によって、条件が違うのかもしれません。

バリアフリーではありませんが、車椅子で利用できないことはありません。ただし苦戦することが想定されるので、磯沼ミルクファームへは、介助者同行でのお出かけをお薦めします。

別稿で「八王子 夕やけ小やけふれあいの里 車椅子バリアフリー情報」を掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2016年11月の取材に基づいています)

日光 霧降高原 大笹牧場 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

栃木県日光市、霧降高原の「大笹牧場」は、車椅子で利用できる観光牧場です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

霧降高原の大笹牧場

全体概要と車椅子で利用可能な施設を紹介します。中心は「レストハウス」とその周辺です。レストラン、ショップ、数多くの屋台があり、車椅子で利用できます。

大笹牧場周辺は放牧場が広がり

アウトドアでは、13の大型遊具がある「フィールドアスレチック」があり、いこいの広場では「乗馬体験」が出来ます。車椅子でそのまわりの散策はできます。

「放牧場」では、ホルスタイン牛とブラウンスイス牛が放牧されています。ただし「レストハウス」から向かうと、すぐに車椅子ではつらい急坂路があります。

大笹牧場周辺は放牧場が広がり

大笹牧場周辺は放牧場が広がり、周りの道路から自由に見学することが出来ます。ドライブをしながら風景を観る、または牛がいる近くに車を停めて見学する人もいます。

「オートキャンプ場」のトイレにはバリアフリートイレが用意されています。

「食の体験工房」はレストハウスの2Fが会場です。エレベーターはなく、階段での移動になります。

食の体験工房」はレストハウスの2F

アクセスは車が便利です。一般駐車場はP1からP3まであります。レストハウスの利用を車椅子観光の中心にする場合、2か所の身障者用駐車スペースがあります。

一般駐車場とは別に、牧場施設内に入ってすぐ左側、レストハウスの横に6台分の身障者用駐車区画があります。

レストハウスの横に6台分の障害者駐車区画があります。

もう一か所は、P1のトイレ棟の近くに2台分用意されています。

レストハウスの横に6台分の障害者駐車区画があります。

レストハウスのバリアフリー状況です。レストハウスは数段の階段を上る構造です。

レストハウスは数段の階段を上る構造です。

正面入口に横に段差回避スロープがあります。

正面入口に横に段差回避スロープ

このスロープは一般的な車椅子利用者なら問題なく利用できます。

正面入口に横に段差回避スロープ

もう一か所、トイレ棟に向かうスロープがあります。こちらのスロープはやや傾斜が急です。

トイレ棟に向かうスロープ

レストハウス館内1Fはフラットな構造です。ショップ、レストランとも、スペースに余裕があり、車椅子で利用できます。

レストハウス館内1Fはフラットな構造

前出の通り「食の体験工房」がある2Fへは階段しかありません。

バリアフリートイレの状況です。レストハウスの横、P1の脇にある独立棟トイレにバリアフリートイレが1つ用意されます。変わった構造のトイレです。

障害者用トイレの状況

トイレ棟の入口は段差があります。それを迂回する折り返しスロープが用意されています。

スロープを上ると男女別トイレの入口がそれぞれあります。その奥にバリアフリートイレが1つあります。つまり男女別トイレの中から、同じバリアフリートイレを利用する構造になっています。

大笹牧場

男女別トイレの入口通路が狭く、一般的な車椅子がギリギリで通行できる幅です。トイレ内は余裕があるスペースで、ウォシュレット付き便器が備えられています。

障害者用トイレの状況

この他に前出の通り、レストハウスから離れた「オートキャンプ場」にあるトイレに、バリアフリートイレがあります。

ジンギスカンハウスのバリアフリー状況です。レストハウス1Fのレストラン「ジンギスカンハウス」は、食券制でセルフサービスです。利用方法の概要は以下になります。

大笹牧場

ジンギスカンハウス入口の左側に食券自動販売機が3台あります。この自販機の操作は車椅子からでも手が届きます。

買った食券をもって、焼肉メニューはレストラン入口に引き返して入口右側のコーナーに並び、カウンターに食券を出し、交換に商品を受け取ります。

蕎麦やカレーの軽食メニューは、食券自販機の先にあるカウンターに行き食券を出し、交換に商品を受け取ります。

商品を載せたトレーを自分で運びながら食事スペースに移動し、そこにいるスタッフから席の誘導を受けます。これが通常の利用方法です。

介助者がいる場合でも、1人で2トレーを運ぶのは辛いので、スタッフに手助けをお願いしてください。今回利用時は、車椅子をみて、スタッフから声をかけていただけました。

席は固定式のテーブルに可動式の椅子席です。一般的な車椅子利用者なら利用できます。

ジンギスカンハウスのバリアフリー状況

お茶やお水はセルフサービスです。レストラン店内のトイレは一般トイレだけでバリアフリートイレはありません。

ジンギスカンハウスのバリアフリー状況

レストハウス周辺のバリアフリー状況です。テイクアウトショップが複数出店しています。レストハウス1Fの外側にあるソフトクリームの店や串焼きの店は、店内のショップから移動すると段差なく利用できます。

レストハウス前の舗装広場とその周囲にある出店は、完全なフラット面ではありませんが、移動が出来ない決定的な段差は無く、概ね車椅子で利用できます。

周辺に広がるアウトドア施設へは、無理のない範囲までなら車椅子で移動は可能です。

レストハウス周辺のバリアフリー状況

日光「大笹牧場」は、ショップやレストランを車椅子で利用できる観光牧場です。

車椅子でニッコウキスゲを鑑賞できる、霧降高原の「キスゲ平園地」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2023年8月に加筆しました)