埼玉県熊谷市の「妻沼聖天山歓喜院(めぬま しょうでんざん かんぎいん)」は、1179年に創建された広い敷地をもつ名刹で、日光東照宮のような装飾彫刻が施された国宝の本殿があるお寺です。境内および周辺は、近年バリアフリー改修がすすめられました。車椅子で参拝して確認した、現地のバリアフリー状況を紹介します。

徒歩圏に駅はありません。熊谷駅からバスで30分の案内です。車椅子利用者は車でのアクセスが便利です。
参拝者用の無料駐車場がP1からP7まで用意されています。「貴惣門」から始まる参道の入口に近いのはP1です。参道の途中にある「仁王門」に近い場所にあるのがP2です。境内に近いのはこの2つの駐車場です。どちらも身障者用駐車区画は発見できませんでしたが、フラットな舗装路面の駐車場なので、混雑していなければ車椅子で利用できます。
P1は全体的に経年劣化を感じる駐車場ですが、P2は近年再整備されたようで、舗装路面が綺麗です。

P2から境内に向かう道路の歩道は、バリアフリー改修が行われています。

境内へは押しボタン式の横断歩道を渡ります。その先の境内の参道は、デコボコを埋めたバリアフリー改修が行われています。

2本の石柱が建つ参道の入口からのバリアフリー状況を紹介します。

最初の門は「貴惣門」。門の下は段差があり、バリアフリー迂回路は門の右側です。

門の中には毘沙門天と持国天の像があります。車椅子で参拝しやすいのは、右側の毘沙門天です。

貴惣門をフラット路で迂回して参道に戻ります。

境内中央の参道は、デコボコを埋めるバリアフリー改修が行われています。

参道の途中に創建者「斎藤別当実盛公」の像があります。

その横には、実盛公を称える唱歌が流れる「サウンドモール実盛公」があります。車椅子で音楽鑑賞が可能です。

長いバリアフリー参道を移動して本殿方面に向かいます。

次に建つのは「中門」です。この門の下は段差があり、右側がバリアフリー迂回路です。

車の祈祷所がここにあります。最も本殿に近い駐車場ですが、ここは祈祷をうける車専用の駐車スペースです。

中門を抜けると、右側は「お祭り広場」です。

ここにトイレ棟があります。

バリアフリートイレが1つあります。スペースは余裕がある個室で、シンプルな設備のトイレです。境内にはこの他に、P1の近くにバリアフリートイレがあります。

この先に「仁王門」が建ちます。仁王門の下は段差があり、かつ門の横にはバリアフリー迂回路が整備されていません。

車椅子では一対の狛犬の手前から右側に迂回して本殿に向かいます。

舗装通路が整備されています。

車椅子でも仁王門の横を通り、仁王像を拝むことができます。

仁王門を超えると本殿エリアに入ります。

本殿エリアのバリアフリー状況です。仁王門と本殿の中間にあるのが「石舞台」。周囲は小さなデコボコはありますが、車椅子で通行可能な舗装路面です。その右側にある寺務所の窓口に行くには、短い距離ですが未舗装路を通過します。

石舞台の左側には、土俵と「大師堂」があります。大師堂まで舗装路面がありますが、出入口は段差で、その段差を回避するスロープが設置されています。ただしスロープを利用するには、短距離ですが未舗装路面を通過しなくてはなりません。なんとか車椅子が動く砂利路面です。

スロープを上がれば、大師堂の中は車椅子で参拝できます。

堂内を車椅子で一周してお参りします。

本殿前までは舗装路が整備されています。拝殿の賽銭箱の手前に小さな段差がありますが、段の手前からの参拝でも違和感のない距離です。また舗装路から少し下りた未舗装路面に、段差回避スロープが利用されています。

国宝鑑賞有料エリアのバリアフリー状況です。本殿の裏側が国宝を鑑賞する有料エリアです。本殿拝殿の前から未舗装路面を通行して受付に向かいます。拝観料の障がい者減免制度はありません。受付で拝観料を支払います。

国宝拝観ルートは舗装路とスロープが用意されています。拝観場所へはスロープを上がりアクセスします。このスロープの傾斜は緩く、車椅子で通過できます。

拝観エリア内の通路は、砂利路面に木製デッキが敷かれた通路です。車椅子1台の通行なら問題の無い通路幅があります。

ここで見事な装飾を鑑賞します。通常期は、一時間毎にボランティアによるガイドツアーがあります。

埼玉日光の彫刻です。

見事な仕事です。

彫刻は三面に飾られています。

本殿の三面を鑑賞すると出口があります。車椅子拝観の問題個所はここです。このスロープは角度が急です。

一般的な車椅子利用者には、怖い傾斜のスロープです。

無理をせずに逆走して入口に戻ることをお薦めします。ただし見学通路の木製デッキの幅は一人分なので、他に拝観者がいると、迷惑をかけながらの逆走になります。

無理をして出口の急なスロープを通過した場合は、その先は多少ゴツゴツのある石畳風の舗装路で、本殿裏側のお末社などの参拝ができます。

裏側は入口からの逆方向からでも参拝可能です。

やや悪路ではありますが、車椅子で移動できないことはありません。

本殿を裏側から鑑賞できます。

路面や段差箇所のバリアフリー改修がすすみ、妻沼聖天山歓喜院は、それほど苦労せずに車椅子でお参りができるお寺になりました。ただし国宝拝観エリア出口の急坂スロープの利用の是非は、慎重に判断して下さい。
(本稿は2020年12月に執筆しました)

















