創建は1471年。富山県高岡市の勝興寺は、破格の規模と形式を備えた本堂を中心にした広壮な大伽藍が今に残る大寺院です。平成10年から23年間にわたり保存修理が行われ、令和4年に「本堂」と「大広間及び式台」の2棟が国宝に指定されました。境内は大伴家持が国守として5年間在任した奈良時代の越中国庁跡と推定されています。保存修理工事と並行して歩道の整備などが行われましたが、勝興寺はバリアフリーな寺院ではありません。車椅子でお参りできる範囲をご紹介します。
アクセスは車が便利。境内の近くに「障害者等専用駐車場」が設けられています。
障害者等専用駐車場の駐車スペースは未舗装。路面はゴツゴツしています。
障害者等専用駐車場の近く、総門の前に「受付・ご案内所」があります。窓口の前の路面は小石が敷かれた路面です。
受付・ご案内所の方のお話では、勝興寺の拝観料は階段で昇り降りする国宝の本堂と大広間及び式台内の参拝者が対象で、車椅子利用者などお参りが出来ない人は、拝観料は不要ということでした。障害者手帳等を持っている人でも、参拝が出来る人は拝観料が必要です。
また境内への入口である「唐門」は段差構造なので、車椅子の人は別ルートをご案内します、と説明されました。唐門の下は段差解消スロープが設置されていますが、その手前に段差があります。
すぐにお寺の方が案内をしてくださいました。車椅子ルートは鼓堂の横から堀を見ながら境内へ向かいます。
そこに境内への車道があり門扉が閉められています。この門扉を開けていただき、車椅子で境内に入りました。
門扉から境内の一部に舗装路が整備されています。
舗装路は大広間の式台入口まで整備されています。そこが本坊拝観入口。ここから靴を脱いで階段を上がります。車椅子では入口までです。
唐門から本堂正面までの参道は未舗装路面です。無理をすれば車椅子が動かないことはありませんが、かなりの悪路です。本堂へは階段を上がります。
手水舎の横から本堂の横にかけて細い舗装路が整備されています。そこから本堂の装飾、そして四隅の猿「天邪鬼」の一部を拝観することができます。
参道の途中にある経堂への参道は、車椅子が動かないタイプの深い砂利路面です。
舗装路から唐門への未舗装路面は、距離が短く、かつ比較的車椅子が動きやすい砂利路面です。
少し無理をすれば、境内から車椅子で唐門に近づくことはできます。
境内の舗装路を通り「式台門」は近づけます。
「三葉の松」も舗装路から見学できます。
「実ならずの銀杏」も舗装路から見学可能。
「天から降った石」は舗装路の横にあります。
お帰りは行と同じルートに戻ります。お寺の方がすぐに門扉を開けてくださいました。
雲龍山勝興寺は、国宝の本殿内や大広間及び式台内の拝観は車椅子ではできませんが、大伽藍の威容を境内からお参りすることはできます。
(本稿は2024年8月に執筆しました)