2022年6月13日に開催された厚生労働省の社会保障審議会(障害者部会)で、「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて」報告書がまとまりました。現状分析を踏まえて今後の障がい者政策の検討の方向性が示されています。
報告書は13の論点から構成される膨大な内容です。その中から、特に注目される検討項目について抜粋して紹介します。
1.障害者の居住支援について
強度行動障害を有する者への集中的支援、ICTの活用による効果的な支援や継続的な支援、一人暮らしを希望する人への支援、地域生活支援拠点の市町村の整備の努力義務化。
2.障害者の相談支援等について
基幹相談支援センターの市町村の設置の努力義務化、協議会の守秘義務の規定。
3.障害者の就労支援について
必要な支援を行う新たなサービス(「就労選択支援(仮称)」)の創設、短時間勤務における就労系障害福祉サービスの一時的な利用、障害者就業・生活支援センターの体制整備の推進、就労継続支援A型の在り方や役割の整理、重度障害者等の職場や通勤における支援の推進。
4.精神障害者等に対する支援について
医療保護入院において人権侵害や虐待がないように、様々な検討が必要。
※ボリュームがある論点で、全97Pの報告書中、36Pから66Pを費やしています。医療保護入院制度について、廃止の方向性が示されているわけではありません。
5.障害福祉サービス等の質の確保・向上について
第三者からの情報提供の仕組みがある障害福祉分野におけるデータベースの整備、不適切な事業所が多いサービス等への実地指導・監査の重点実施、都道府県等の実地指導・監査の取組の好事例集や指導監査マニュアルを作成。
6.制度の持続可能性の確保について
障害福祉サービス事業者等の指定について市町村が都道府県に意見を申し出る制度の創出、事業者へのICT活用やロボット導入の推進。
7.居住地特例について
介護保険施設入所者が障害福祉サービスを利用する場合は居住地特例の対象に追加。
8.高齢の障害者に対する支援について
現行制度と施策の内容を周知徹底。
9.障害者虐待の防止について
自治体間の対応のばらつきを是正。
10.地域生活支援事業について
在り方そのものを検討。
11.意思疎通支援について
地域格差の課題を解消。
12.療育手帳の在り方について
幅広く調査研究を継続。
13.医療と福祉の連携について
成人期の生活に対応した医療的ケアの評価の在り方、入院中の重度障害者の支援の拡充。
障害者総合支援法に関連して、以上の方向性が今後検討されます。
《生きるちから舎ニュース 6月15日付》