東京都港区南青山にある美術館です。施設は建て直されてバリアフリーになりました。また車椅子での庭園散策も可能です。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。

表参道駅から徒歩10分の案内です。「みゆき通り」は傾斜路ですが、一般的な車椅子利用者と介助者であれば、通行できる程度の坂道です。
来館者用の無料駐車場があります。収容台数は9台と少なく、内1台分が身障者用です。ここの身障者用駐車区画は、ドライバーが車椅子を利用する車両専用です。車椅子利用者が同乗している場合は、一般駐車区画の利用になります。このルールは厳格に運用されています。スタッフの誘導に従ってください。
満車の場合は、2台から3台程度までは、敷地内で空くのを待てます。それ以上になると、路上待機は原則禁止です。近隣の有料駐車場やパーキングメーターを利用します。

原則として年間7本の企画展が開催されます。展示替え期間は休館です。観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が200円程度減免されます。減免金額は企画展毎に確認してください。受付で障害者手帳等

現時点では、コロナ対策で入場は事前予約制です。Webで1時間単位の入場時間を予約します。ミュージアムショップ、カフェ、庭園の利用は、美術館観覧者に限定されます。庭園だけを無料利用することはできません。

建物はバリアフリー仕様です。車椅子での利用に大きな問題はありません。エントランス周辺から、全く段差のない構造です。

美術館に入ると正面左手に受付、右側がミュージアムショップ。受付の後ろ側にバリアフリートイレがあります。バリアフリートイレはB1にも1つ用意されています。

展示室のバリアフリー状況です。展示室は1Fと2Fに各3室、合計で6室あり、1Fが企画展示室、2Fが常設展示室です。車椅子で問題なく観覧できます。

上下階移動は1基ある館内エレベーターを利用します。一般的なサイズの車椅子であれば、問題なく収容するエレベーターです。

唯一気になる展示スペースが、2Fの第5展示室に一カ所あります。壁に組み込まれた展示ケースの高さが、車椅子目線とお同じで、真横から鑑賞することになりました。他に気になる展示ケースはありません。

庭園のバリアフリー状況です。車椅子での庭園散策はできますが、傾斜路とゴツゴツした舗装路面の個所があります。庭園マップでは、ピンク色のラインが「車椅子での通行が可能です(要介添者)と説明されています。推奨されている車椅子ルート上の難所を詳しく紹介します。

庭園を右回りで巡る順で紹介します。本館から庭園へ出ます。


その先にあるカフェは、段差のない構造でテーブル席があるので、車椅子で利用できます。



カフェと事務棟を過ぎると、路面はフラットですが、傾斜がきつくなります。このやや急坂路が「天神の飛梅祠」付近まで続きます。



ここから「薬師堂」までの外回り区間は、上り坂に変わりますが、それほど傾斜はきつくはありません。


「薬師堂」へは、つづら折りのデコボコ路面のルートがありますが、距離が短いので、気合を入れれば車椅子で通行できます。



坂のもう少し上から、緩やかな傾斜路で「薬師堂」に向かうルートもあります。

「薬師堂」から池や茶室がある庭園の中央部に向かうルートは、いずれも路面にデコボコがある舗装路です。そしてところどころに傾斜路があります。


決定的な段差を回避しながら、池の横を車椅子で進むことができますが、必ずしもバリアフリールートではありません。また茶室はいずれもバリアフリー仕様ではありません。


「薬師堂」から庭園の外回りで本館に向かうルートも、路面にデコボコがある舗装路です。一部にアップダウンがあり、また幅が狭くなる箇所があります。このルートを進むと、本館B1の「茶室口」に出ます。



どのルートを選択しても、決定的な段差を回避して、庭園内を散策できますが、坂道や路面がデコボコの個所はあります。それでも、見る価値のある庭園です。元気な介助者と共に、無理のない範囲で車椅子での庭園散策をお楽しみください。



中二階ラウンジの状況です。本館には中二階があり、ベンチが置かれるラウンジになっています。エレベーターで中二階に移動できます。


ラウンジから窓越しに庭園を楽しむことができます。

展示室の車椅子観覧は大きな問題はありません。根津美術館庭園の車椅子散策は「要介添者」です。
広尾の「山種美術館」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2020年12月に執筆しました)