シンボルタワー、劇場、コンサートホール、アートギャラリーなどで構成される、茨城県水戸市の市制100周年を記念して1990年に開館した文化施設です。バリアフリーの概念が広まる以前の設計ですが、改修や運用の工夫により、車椅子で利用できる施設になっています。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
水戸駅からは1.6kmの距離。アクセスは車が便利です。
地下有料駐車場がありますが階段の利用になるため、屋外に身障者専用の駐車場があり、利用予約を受け付けていただけます。HPに案内がある、水戸芸術館事務局に電話で申し込みます。
利用日を決めて電話を入れると、スタッフが駐車スペースの空き状況を確認します。空いていれば名字と電話番号を聞かれます。利用時間は問われません。以上で予約が完了します。
利用当日、朝から利用者の名字が貼られたパイロンが駐車スペースに置かれます。それを自分で移動して駐車します。利用時間の制限はありません。1スペース、1日1台の予約システムです。
予約できる駐車スペースがある場所は、シンボルタワーの足元にある、大型バス用の駐車場の奥です。側道から入るアクセスルートになります。
身障者用としてブルーラインになっているスペースが2台分用意されています。どちらも幅の広い駐車スペースです。
車椅子は、身障者用駐車スペースがあるシンボルタワー側からのアクセスが推奨されています。
シンボルタワーの横から広場の横を通行します。
そのまま「カスケード」の横を通過します。
直進すると水戸芸術館入口がありますが、ここは手動ドアです。
その手前のコーヒーラウンジに入るドアが自動ドアです。車椅子はこのドアからの入館が推奨されています。
バリアフリートイレの状況です。バリアフリートイレは2ヵ所あります。1つは身障者用駐車スペースからみて、「カスケード」の反対方向、左方向に進む先です。
もう1つは、館内の2Fにありますが、利用に注意が必要です。2FのトイレはACM劇場の出入口付近、通常時はロープで進入禁止になっているゾーンにあります。
今回取材時はスタッフが同行して案内していただけました。
シンボルタワーのバリアフリー状況です。シンボルタワー「塔」の出入口はスロープがあり、展望室にはエレベーターで上がります。車椅子で利用できる施設です。また入場料の障がい者減免制度があり、水戸市及び近隣の市町村にお住いの障がい者と介助者は、入場料が無料に減免されます。
今回取材時は、コロナ対策で閉館していました。再開時期は未定ということです。
ホールと劇場のバリアフリー状況です。「コンサートホールATM」と「ACM劇場」は、基本的には車椅子利用ができると案内されています。また「車椅子ご利用のお客様、盲導犬、介助犬ご同伴のお客様は、指定の座席へのスムーズなご案内のためご予約時にお知らせください。」と案内されています。詳細はプログラム毎に確認してください。
エントランスホール2Fには、国産のパイプオルガンが設置されています。
現代美術ギャラリーのバリアフリー状況です。今回取材では「現代美術ギャラリー」の特別展を観覧しました。現代美術ギャラリーの観覧料は障がい者減免制度があり、住所に関わらず本人と介助者1名が無料に減免されます。エントランスホール1Fのチケットセンターで障害者手帳等を提示して入館手続きを行います。
現代美術ギャラリーは2Fにあります。ギャラリーの受付は1F。そこから階段で2Fへ上がるのが通常ルートです。車椅子はエレベーターを利用します。エレベーターで2Fへ上がると、乗降口はドアが閉められています。またそこを出ると、会場の出口にでます。したがって、1Fからスタッフの誘導に従い、エレベーターを利用して会場入口に向かってください。帰りも同様に、出口付近のスタッフに声をかけて誘導を受けてください。
現代美術ギャラリーの展示室内は、フラットでスペースに余裕があり、車椅子で問題なく利用できます。一部の展示室は高い天井がガラス屋根で、自然光が入る構造です。
駐車場の手配、会場への案内など、スタッフの手を煩わすことになりますが、水戸芸術館の主な文化施設は車椅子で利用できます。
常陽銀行が無料公開している貨幣や経済の資料館「常陽史料館」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2020年11月に執筆しました)