「港区立みなと科学館」と「気象庁気象科学館」は、東京都港区虎ノ門に移転した気象庁本庁舎内に、2020年に開館した施設です。基本的には子供向きの施設ですが、大人も楽しめる内容です。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
虎ノ門ヒルズ駅から徒歩4分、神谷町駅から徒歩5分の案内です。このエリアは愛宕山に象徴されるようにアップダウンがありますが、両駅からのアクセスルートは、車椅子での移動が困難なほどの坂道ではありません。
来館者用の駐車場はありませんが「歩行が困難な方等」は、事前予約制で本庁舎地下駐車場が利用できます。受付窓口は「港区立みなと科学館」です。
駐車場を利用したい場合は、港区立みなと科学館に電話をして、希望来館日時を伝えます。港区立みなと科学館から、気象庁本庁舎の駐車場管理事務所に当日の利用状況を確認し、使用可能な状況であれば、予約が完了します。今回予約したときの状況では、利用者の氏名だけが確認されました。連絡先、車種やナンバー、障がいの状況などは不問です。今後運用ルールが変わる可能性はあると思います。
車でアクセスする場合、気象庁本庁舎は一方通行路に囲まれているので、駐車場入口の場所を確認して、ルートを研究してアクセスしてください。
下の写真が気象庁本庁舎の駐車場入口です。入口に管理スタッフがいるので、予約した氏名を名乗ります。今回の取材時は、それだけで問題なく通じました。

スタッフの誘導に従い、地下駐車場に向かいます。途中に駐車券が発行されるバーがあります。駐車券は、科学館退館時に港区立みなと科学館のスタッフに渡して、出庫のための処理をしていただく運用です。地下には3台分の身障者用駐車スペースがありました。今回取材時は、到着の連絡をうけた港区立みなと科学館のスタッフが先回りをして待っていて、駐車する場所へ誘導して下さいました。

地下駐車場はB2です。駐車場から手動開閉ドアを通り館内へ。そこからエレベーターで1Fへ上がります。エレベーターは2基あり、かごは一般的なサイズで、普通の車椅子1台と4名程度まで同乗可能です。

気象庁本庁舎の1Fが港区立みなと科学館の常設展示コーナーです。2Fにみなと科学館のプラネタリウムと気象庁気象科学館があります。両科学館とも無料施設ですが、みなと科学館のプラネタリウムは有料です。また現在はコロナ対策で事前予約制が導入されています。
プラネタリウムの観覧券はみなと科学館1Fの窓口で販売しています。プラネタリウムのドームは直径15ⅿ。最新鋭の光学式投影機や4Kデジタルと、ハイテク武装されたプラネタリウムです。観覧料の障がい者減免制度があり、港区在住の障がい者と介助者1名は無料に減免されます。車椅子専用席が2席分用意されています。子供向きプログラム、大人も楽しめるプログラムと、今回取材時は6本のプログラムが順次公開されていました。

バリアフリートイレは1F、2F、そしてB1に用意されています。1Fと2Fのトイレは、ウォシュレット付き便器とオストメイトが備えられています。スペースに余裕がある綺麗なトイレです。

B1のトイレはよりスペースが広く、折り畳み式のユニバーサルベッドも備えられています。

みなと科学館常設展示コーナーのバリアフリー状況です。1Fの展示は「まちの中にある科学を発見しよう」がテーマ。フラットな構造でスペースに余裕があるので、車椅子で大きな問題なく観覧できます。大きな球形の空間に入ります。入口横の壁面には毛利衛氏のサインがあります。

展示はハイテク、そして港区に拘っています。例えば「港区でモグラが確認された地点」などと指定すると、その場が光る地図模型の展示があります。

港区の海を潜る映像展示。指定した深さの海中の様子を見ることが出来ます。

基本は子供向きにアレンジされていますが、内容としては大人も楽しめる「まちの中にある科学」です。

気象科学館のバリアフリー状況です。エレベーターで2Fに上がります。気象科学館もフラットな構造でスペースに余裕があるバリアフリー仕様です。入口にいるのはマスコットの「はれるん」君です。

気象科学館もハイテク系展示物が並びます。

大きなテーマの一つは自然災害。様々な災害を引き起こす自然現象のメカニズムと、その危険性を学びます。

ハイテク体験型の展示が中心です。

展示室の中央部には、津波の発生メカニズムと、陸を襲う状況を再現する「津波シミュレーター」があります。

「うずのすけ」は台風と竜巻を再現するマシン。

スイッチを押すと自然の猛威が再現されます。

もう一つの大きなテーマは「地球温暖化」。360度ビジョンがある「うずまきシアター」で紹介される、棚氷が崩れ落ちる映像です。

「港区立みなと科学館」と「気象庁気象科学館」は、バリアフリー施設です。子供に限らず、幅広い層が楽しめる科学館です。
東京にある公立の面白い施設を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2021年10月に執筆しました)