「道の駅」は車椅子で利用できる施設ですが、現地のバリアフリー状況はそれぞれです。車椅子目線での情報と施設の特徴を紹介します。
本稿は山梨県の国中峡北・峡東(北杜市、韮崎市、笛吹市、山梨市、甲州市)にある「道の駅」情報です。開業年が新しい順に紹介します。
「道の駅こぶちさわ」(北杜市)
2004年開業。日帰り温泉に隣接、アウトレット至近、八ヶ岳の麓にある道の駅です。
2019年にリニューアルオープンし、東京広尾でお店をかまえるシェフが経営するイタリアンレストラン「ブラッチェリーア・ロトンド 小淵沢」がオープンしました。
施設構成は、ショップ&レストランが入る商業棟、そば打ち体験ができる別棟、独立トイレ棟があります。トイレ棟は2014年に改装しています。
身障者用駐車区画は4台分。バリアフリートイレは、独立トイレ棟内と商業棟にそれぞれ用意されています。
商業棟のエントランスは階段で、段差回避スロープで迂回して入館します。
ショップは農産物と物産品が一体になったタイプ。店舗規模は大きく品数は豊富で、お漬物なども揃っています。
ショップの奥にジャム工房「夢の木」があります。手作りジャムを作る工房で、ショップで直売しています。
施設エントランスから入って正面にパン屋「桑の実」があります。小さな店舗ですがとても目立ちます。国産小麦、オーガニックと地元の産物を使ったパンです。
「道の駅南きよさと」(北杜市)
道の駅登録は2002年ですが、供用は2000年から始まっています。山梨県八ヶ岳の麓、清里高原の入口に位置する道の駅です。
農産物直売所、案内所、広場、ドッグラン、収穫体験が出来る農園、車中泊が出来るRVパーク、レストラン、山の展望台に上るリフトカーなどがある複合型の施設です。冬場はリフトカーなどの屋外型の施設はお休みになります。
車椅子が利用できるバリアフリー施設は、農産物直売所と案内所兼物産コーナー、レストラン「ほたる」です。バリアフリートイレは、農産物直売所の横と裏側の2か所にあります。
農産物直売所を中心に見た場合、ちょっと上か、やや下の高さの駐車場があります。どちらからもスロープや斜面を通る設定で、身障者用駐車スペースは、上の駐車場に2台分設置されています。
農産物直売所は小規模な施設で、店内の通路幅はそれほど余裕がありません。混雑時は車椅子での買い物は苦戦します。商品は豊富で、季節の地元の実りと出会えます。
レストラン「ほたる」へは、ブリッジを通りバリアフリーに行くことが出来ます。店内はフラットで可動式のテーブル席。車椅子での利用は可能です。メニューはポールラッシュ氏考案の清里カレー他。デザートは信玄ソフト他。南アルプスの天然水を使用したコーヒーがあります。
「道の駅はくしゅう」(北杜市)
2001年開業。直売所と食事処、休憩施設が入るメイン棟とトイレ棟がある道の駅です。
身障者用駐車区画は屋根付きで2台分あります。場所は一般駐車場奥の場所で、頭から駐車すると出庫時が大変なので、手前で切り返してバックで駐車します。運転に不慣れな人は苦戦する駐車区画です。
道の駅に隣接してスーパーマーケットがあります。こちらの身障者用駐車スペースは、屋根無しですが駐車しやすい一般的な区画です。スーパーでもお買い物をすることを前提に、こちらに停めさせてもらうことも選択肢です。
道の駅駐車場からメイン棟へのルートには、微妙な段差と傾斜があります。スーパーの駐車場からのアクセスも、途中に柵があり迂回する箇所があります。
美味しいお水が名物な山梨の白州。道の駅の入り口には、名水が汲めるコーナーがあります。4本のノズルから名水が流れ、皆さん大型の容器に大量の水を汲み入れています。この水汲み場所はバリアフリーではありません。車椅子で水を汲むのは苦戦します。
バリアフリートイレは、駐車場の横のトイレ棟内と建物内にそれぞれ用意されています。
メイン棟内はゆったり広々して快適なバリアフリー環境です。直売所の通路幅は余裕があり、高い天井と相まって快適な空間。車椅子でゆったり店内を回遊できます。
休憩スペース、お食事処もフラットでスペースに余裕があります。問題なく車椅子で利用できる施設です。
「道の駅花かげの郷まきおか」(山梨市)
2000年開業。牧丘町なので「まきおか」。地元の童謡詩人の代表作になぞらえて「花かげの郷」。素敵なネーミングの道の駅です。周囲はブドウ畑が目立ちます。
小規模な施設で、農産物産直売コーナーと軽飲食コーナーがある商業棟と、トイレ棟があります。
身障者用駐車区画は2台分あります。
バリアフリートイレは、トイレ棟内の男女別トイレ内それぞれに併設されています。異性介護での利用は難しい構造です。
商業棟内の農産物産直売コーナーは小規模で、店内通路幅は余裕が無く、車椅子での移動はギリギリの幅です。
軽飲食コーナーは、カウンター窓口で販売、セルフサービスでカウンター席やテーブル席でいただく、一店だけのフードコートのような形態です。車椅子で利用できる席を確保できれば、飲食が可能です。
施設の横に有料の「牧丘郷土文化館」があります。明治時代の学校を移築した施設でバリアフリーではありません。
施設の裏に「彩甲斐公園」がありますが、未舗装で段差があり、バリアフリーではありません。
「道の駅にらさき」(韮崎市)
1998年開業。道を挟んだ反対側には、温浴施設兼日帰り温泉施設「ゆーぷるにらさき」があり陸橋で結ばれています。道の駅のエレベータで2Fに行き、陸橋を利用すると温泉にもバリアフリーに移動可能です。
「道の駅にらさき」としては商業棟が1棟あり、土産物と物産品、農産物などが販売されているショップスペースと、軽飲食サービスのコーナーがあります。
身障者用駐車区画は2台分。駐車場の一番奥にあります。商業棟への車椅子の入口は、奥にある裏口的な入口から入場する構造になっています。手前の正面部分に駐車して、表口から施設に入ろうとすると段差があります。
裏口近くにトイレがあり、男女別入口付近にバリアフリートイレがそれぞれ一つ併設されています。
ショップの通路幅は並みレベルで、空いていれば問題なく車椅子で店内移動が出来ます。ショップには各種の山梨産品が並び、酒類や漬物が充実。梅干も豊富にあります。試食が多いのも特徴です。
軽飲食サービスも、甲府モツ煮込みなど、山梨名物が用意されています。簡単なテーブルがセットされているだけなので、しっかりとした昼食というよりも、小腹がすいたら利用する感じです。フラットなスペースにテーブル席が配置されているので、車椅子で利用可能です。
「道の駅にらさき」のすぐ裏側は、清流「塩川」が流れます。身障者用駐車区画の近くに、塩川の河原にバリアフリーに下りられるスロープがあります。河原にも若干ですがフラットな舗装スペースが整備されています。道の駅から車椅子で河原に行くことが出来ます。
「道の駅みとみ」(山梨市)
1998年開業。埼玉県との県境にある道の駅で、西沢渓谷の入口にあり、ハイキングの拠点にもなります。西沢渓谷の散策は、車椅子では無理な未舗装の段差ルートです。
ショップ、軽食コーナー、休憩コーナーなどがあるメイン棟と、トイレ棟で構成される施設です。施設は段差のある構造で、スロープを利用します。
トイレは、正面から見て左側の大きなトイレ棟と、メイン棟右側の2か所にあり、それぞれにバリアフリートイレが用意されています。右側にあるバリアフリートイレは車椅子が入らない狭さです。
左側のトイレ棟の男女別トイレ内に、それぞれバリアフリートイレが併設されています。異性介護では利用しにくいトイレです。
農産物と物産品のショップ店内は、フラットで通路幅は並みレベル、混んでいなければ車椅子で買い物ができます。
軽食コーナーはフラットで広さには余裕がありますが、セルフサービス方式で固定的なテーブル席が多く配置されています。車椅子で利用できる席は、奥にあります。名物は「いのぶたラーメン」です。
新緑や紅葉が美しい山の中。春と秋の観光シーズンが人気です。冬季にお出かけの際は、スタッドレスタイヤ、すべり止め装置が必須のエリアです。厳冬の氷点下の世界も独特の雰囲気があります。
「道の駅甲斐大和」(甲州市)
1995年開業。笹子トンネルの上、甲州街道山越えルートの途中にある道の駅です。身障者用駐車区画は2台分。バリアフリートイレは2つ用意されます。
農産物などの直売所、レストラン、軽食コーナーがなどあります。小規模ながら道の駅施設としての機能は揃っています。
山梨県「道の駅」の紹介記事は、別に「山梨県郡内編」と「山梨県国中(峡中・峡西・峡南)編」を掲載しています。クリックすると別稿が開きますので、ぜひご覧下さい。