千葉県千葉市にある加増利貝塚は、約5千年前に形成されたドーナッツ型直径140ⅿの北貝塚と、約4千年前に形成された馬蹄型直径190ⅿの南貝塚がある、日本最大級の貝塚です。
二つの貝塚の周囲約15haが国の特別史跡に指定され、「加曽利貝塚縄文遺跡公園」として公開されています。
加増利貝塚の遺跡の中に、1966年(昭和41年)「千葉市立加増利貝塚博物館」が開館しました。そしておそらくは、開館した当時とほとんど変わらない姿で、現在も開館しています。博物館はとても古い施設ですが、車椅子で見学できないことはありません。アクセスルートと博物館内のバリアフリー状況を紹介します。
徒歩圏に駅はありません。車でのアクセスが便利です。少し離れた場所に70台を収容する臨時駐車場があります。加曽利貝塚縄文遺跡公園入口にある駐車場は、10台程度の収容です。
身障者用駐車スペースは、加曽利貝塚縄文遺跡公園の入口に近い場所にあります。
はっきりとした駐車区画のペイントはない身障者用駐車スペースで、パイロンに身障者マークが掲示されています。上手に駐車すると2台は駐車できるスペースがあります。
駐車場から北貝塚沿いの舗装路を通り博物館に向かいます。途中にある「貝層断面観覧施設」は段差構造です。また「竪穴住居跡群観覧施設」は未舗装路面の先にあります。
駐車場から100ⅿほどで博物館に到着します。エントランスに向かって、段差を削り取ったような、バリアフリールートが用意されています。
出入口に段差はありません。博物館はエントランスの左側にあります。千葉市立加増利貝塚博物館は入館無料の施設です。博物館内は2フロアに近い構造で、角度のあるスロープを通り移動します。
上り坂スロープの両側壁面に展示があります。角度があるスロープなので、車椅子利用者は元気な介助者がいると助かります。
さらにスロープを上がると、上部にある展示室に到着します。スロープの先には、昭和48年に昭和天皇と皇后両陛下がご来館された時の写真が掲示されています。
上部展示室内はフラットな構造です。ケース内展示品の位置は低いので、車椅子から観覧できます。
車椅子から観覧しやすい、前面がガラスの展示ケースもあります。貝塚に関する様々な知識を得ることができる展示です。
上部展示室からスロープを下ります。下りスロープの両側面にも展示があります。下りは車椅子を後ろ向きにしたほうが安全なスロープ角度です。
トイレは博物館内にはありません。外に2つのトイレ棟があり、バリアフリートイレは少し遠いトイレ棟に用意されています。段差解消されたトイレ棟はとても古い施設で、今回取材時「多目的トイレは不調のため一時的に閉鎖しています」「ご利用希望の方は博物館にご相談ください」と掲示されていました。
加増利貝塚は、「貝層断面観覧施設」や「竪穴住居跡群観覧施設」は車椅子での見学は困難ですが、加増利貝塚博物館は急なスロープを通行できれば、車椅子で観覧できる構造です。
(本稿は2022年2月に執筆しました)