資生堂掛川工場「アートハウス」と「企業資料館」バリアフリー情報

資生堂掛川工場「アートハウス」と「企業資料館」バリアフリー情報

静岡県掛川市の「資生堂アートハウス」と「資生堂企業資料館」は、資生堂掛川工場内にある無料公開施設です。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。

「資生堂アートハウス」と「資生堂企業資料館」は、資生堂掛川工場内に隣接して建つ施設です。両施設間は、ほぼフラットな屋外通路を通り、車椅子で移動できます。

「資生堂アートハウス」は、資生堂の美術コレクションを中心に、企画展、常設展が開催される美術館です。

「資生堂企業資料館」は、1872年に創業して以来の、資生堂の歴史を展示紹介する施設です。展示の中心は広告の歴史です。

アクセス方法です。資生堂掛川工場は、掛川駅からは徒歩25分の案内です。車でのアクセスが便利です。

工場内に両施設来館者用の無料駐車場が2か所あります。今回取材した時点では、2か所の駐車場内には身障者用駐車区画はありませんでした。

身障者用駐車スペースは、一般駐車場とは別に「資生堂アートハウス」エントランス前に用意されています。車両で通行してよいのか不安になるような道を車で進み、アートハウス前を目指します。

アートハウスのバリアフリー状況です。アートハウスの屋外には、彫刻家によるアート作品9点が展示されています。散策路などから、車椅子で屋外アートの鑑賞は可能です。

「資生堂アートハウス」の建物自体がアートです。1978年に完成し、1980年には「日本建築学会賞」を受賞しました。建物の外観も鑑賞する価値があります。

「資生堂アートハウス」の館内は変則的な2フロア構造になっています。通常は階段を利用して移動する動線ですが、段差回避できるスロープがあるので、鑑賞する動線は通常とは変わりますが、車椅子で館内全域を移動できます。バリアフリートイレは受付の奥に用意されています。

実際に車椅子で館内を移動すると、以下の点が気になりました。館内展示室の段差回避するスロープの傾斜はやや角度があります。そして贅沢な話ですが、館内の床面にフカフカで毛足が長い絨毯が敷き詰められているので、まるで砂浜を通るときの様に、車椅子が絨毯に絡むような感じになります。車椅子での移動がスッとは出来ずに力が入ります。出来れば元気な介助者と同行することをお薦めします。

アートハウスのバリアフリー状況

アートハウスの展示内容です。「資生堂アートハウス」内は、常設コーナーと企画展コーナーがあります。

今回取材時の企画展は「香水瓶の世紀」。19世紀末から現代に至る100年間に製作された香水瓶の展覧会です。訪れた時は前期展でテーマは「バカラ クリスタルの雅歌」。バカラ製の瓶が約100点展示されています。後期展のテーマは「ルネ・ラリック 幻視のファンタジー」です。

次に「資生堂企業資料館」を紹介します。1992年の開館。基本構造がバリアフリーではありません。館内にバリアフリートイレはありません。2F構造ですが、2Fへは階段のみです。

展示は1Fフロアだけでも十分に見る価値はあります。ただしエントランスから1Fの展示フロアに上るのに、やや強い傾斜のスロープを上ります。

資生堂の歴史、商品パッケージ、ポスターなどの広告資料、そしてビューティーコンサルタントのコスチュームの変遷などが展示されています。

資料館を見学すると、改めて資生堂は日本の産業史にとって、重要な役割を果たしてきた企業であることを認識します。決定的な影響を与えたのは美と広告。この両面において、日本が今の姿であることに、資生堂の企業活動が与えた影響は少なくありません。

企業資料館のバリアフリー状況

資生堂掛川工場内の「アートハウス」と「企業資料館」は、基本構造はバリアフリーではありませんが、車椅子での利用は可能です。開館日がイレギュラーなので注意して下さい。

掛川市の「ねむの木学園やさしいお店」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2015年8月の取材に基づいています)