静岡県掛川市の「ステンドグラス美術館」は、車椅子で利用できる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。
2015年6月に開館したバリアフリー美術館です。掛川市在住のコレクターが個人で収集したステンドグラス70点以上を掛川市に寄贈し、美術館建設を企画しました。作品は19世紀の英国とフランスの工房で製作されたものがほとんどです。
一般にステンドグラスは、教会など建物が先にあって、そこに合せて製作されるものですが、この美術館はコレクションが先にあり、作品に合せて建物が建築されました。ステンドグラス展示の専用設計施設なので、光が取り入れられるように複雑な壁面設計になっています。
アクセス方法です。掛川城の「二の丸美術館」と「竹の丸」の間、「大日本報徳社」の正面に新築された小さな美術館です。掛川駅からは徒歩圏ではありません。
車でアクセスして駐車場を利用する場合は、2015年にオープンした「掛川城公園駐車場」の利用が便利です。58台の収用で内2台が身障者用駐車区画です。
もう一か所「大手門駐車場」の利用も推奨されています。「大手門駐車場」は自走式のパーキングビルで、特別なバリアフリーへの配慮はありませんが、エレベーターがあるので車椅子でも利用は可能です。どちらの駐車場も、駐車料金の障がい者減免制度はありません。
ステンドグラス美術館は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名の入場料が無料に減免されます。
美術館のバリアフリー状況です。建物は大きくはありません。入口へはスロープで下ります。出入口は木製の手動ドアです。館内にバリアフリートイレは用意されています。
展示室はワンフロア構造です。そこに70点超のステンドグラスが展示されています。館内はフラット構造で、狭いながらも車椅子が移動できる幅の動線は確保されています。
全ての作品が外光にあたるように展示されています。したがって、その日の天候や鑑賞時間で作品の印象が変わるはずです。
今回取材したのは晴天のお昼。もっとも鮮やかで派手な色使いの作品群が南面の壁に展示されています。陽光を浴びて輝いていました。
展示作品の多くは教会の窓を飾っていたキリスト教の宗教画ですが、キリスト教に精通していない人でも楽しめる作品です。
鳥を題材にした円形ガラスの絵付部「メダイヨン」。ガイドスタッフの解説によると、この鳥の画は一般家庭の窓にあった宗教とは無縁の作品ということです。
「この羊の画はどのステンドグラスか?」のような設問企画もあり、子供でも探して楽しめます。
運営はボランティア中心で行われているそうです。今回取材時は、受付会計スタッフから展示室内のガイドスタッフまで、6名のスタッフが確認できました。
館内では解説ツアーが定期的に行われます。またミュージアムコンサートなどのイベントが開催されます。掛川市ステンドグラス美術館は、車椅子で利用できるバリアフリー施設です。
2005年に開業した施設「道の駅掛川」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2015年8月の取材に基づいています)