※旧開智学校は耐震対策工事のため休館中です。「令和6年度中の開館を目指す」と案内されています。最新の情報はHPなどで確認してください。
※本稿は2019年1月の取材に基づいています。この時点では「国宝」ではなく「重要文化財」指定でした。
歴史的建造物、明治時代の小学校です。2F構造でエレベーターはありません。明治9年竣工の国宝「旧開智学校」は、車椅子では1Fだけの見学になります。また敷地内の通路は、未舗装箇所、小さな段差がある箇所、デコボコがある箇所があります。総じてバリアフリーとは言い難い施設ですが、車椅子での見学は出来ないことはありません。
アクセスは車が便利です。施設の横に10台程度収容する無料駐車場があり、身障者用駐車区画は1台分用意されています。
今回訪問時は満車でした。施設スタッフに確認したところ、駐車区画以外のスペースに駐車してよいということです。施設横のスペースは広いので、満車の場合は邪魔にならない場所に上手に駐車してください。
施設の敷地内へ進みます。左手5m先に受付棟があります。この5mの区間が車椅子最大の難所です。デコボコや車椅子が苦手なタイプの小さな段差が連続します。受付窓口の手前の箇所が最も厳しい難所です。同行の健常者がいる場合は、受付は任せるのが良いでしょう。
「旧開智学校」は有料の施設ですが障がい者減免制度があり、本人と介助者1名の入館料が無料に減免されます。前出の受付で手続きを行ってください。
「旧開智学校」の建物内への入口は、受付の反対側です。そこまでの敷地内を横断するルートは舗装路です。ただし途中で切れ目があるタイプの舗装路なので、車椅子は慎重に移動して下さい。
建物入口へ進みます。出入口は明治時代の木製手動引き戸です。出入口周辺の段差箇所は、すべてスロープが用意されています。しっかりしたスロープなので、車椅子での利用に大きな問題はありません。
館内は土足禁止です。健常者は靴を脱ぎスリッパに履き替えます。今回訪問時は、車椅子を見ると施設スタッフが雑巾をもってきて「軽く拭かせて下さい」と言って、タイヤを拭いてくださいました。可能であれば、自分で雑巾を持参することをお薦めします。館内には冷暖房がありません。暑さ寒さは自衛して観覧してください。
館内に入ると、すぐに小さなミュージアムショップがあります。ここの品揃えは面白い。「旧開智学校」企画商品が並びます。あまり売れなかった企画商品は、ディスカウントタグが付いています。
ショップの奥にトイレがあり、広いスペースのバリアフリートイレが一つ用意されています。
館内1Fの中央廊下はフラットです。廊下の両脇にある、教室や事務室である展示室への出入口は小さな段差があります。段差は、慎重に進めば一般的な車椅子なら通過できるレベルです。
「旧開智学校」の正面入口上には、オジサン顔のエンジェルがいます。このエンジェルが「旧開智学校」のシンボルであり、アイコンです。館内にはエンジェルと記念撮影が出来る小道具が置かれています。
建物の歴史を簡単に紹介します。明治8年着工、翌9年に竣工。1961年に重要文化財に指定。約90年間校舎として使用され、廃校舎となった1963年に現在の地に移築。新築当時の状態に近づけて復元されました。使用されている建築木材は、廃仏毀釈のために廃寺になった松本藩主の菩提寺「全久寺」の建材が再利用されています。
「旧開智学校」の隣に建つ青い建造物は「松本市旧司祭館」です。明治22年に建てられた宣教師たちの住居で、約100年間使用されました。見学は無料ですが、入口から階段で車椅子での内覧は出来ません。
「旧開智学校」にはエレベーターがなく2F見学は不能。アプローチは快適なバリアフリー状況ではなく、館内は土足禁止です。それでも1Fは車椅子で見学が可能です。
草間彌生氏の作品展示で知られる「松本市美術館」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2022年12月に加筆しました)