北アルプスを眺望 信州まつもと空港 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

長野県松本市にある「日本で一番空に近い空港」です。ターミナルビルは3フロア構造。1Fが到着ロビーで売店などが営業、2Fが出発ロビー、3Fが送迎デッキです。送迎デッキからは、天気の良い日は北アルプスの眺望が楽しめます。

信州まつもと空港

約500台を収容する無料駐車場が用意されています。身障者用駐車スペースはターミナルビルのエントランス近くに設けられています。

信州まつもと空港

駐車場からエントランスまでフラットな構造です。

信州まつもと空港

ターミナルビルの出入口は2重構造の自動ドアです。もちろん館内にバリアフリートイレはあります。

信州まつもと空港

ビル内にエレベーターが1基あり、車椅子で3F送迎デッキへ移動できます。ただしエレベーターホールから送迎デッキへの出入口は押し開くタイプの手動ドアです。ここだけは介助者がいないと辛い構造です。

信州まつもと空港

送迎デッキはフラットな構造。車椅子で移動できます。

信州まつもと空港

フェンス等がありますが、車椅子からの目線で景観を楽しめます。

信州まつもと空港

信州まつもと空港は、送迎デッキから雄大な景観が楽しめるバリアフリー施設です。

(本稿は2024年3月に執筆しました)

2023年に新しく生まれ変わった「松本市立博物館」を別稿で掲載しています。ご参照ください。

乗鞍高原 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

大自然を楽しむ観光地、長野県松本市の乗鞍高原。バリアフリーな観光スポットは限られますが、「一の瀬園地」の一部と「乗鞍自然保護センター」は車椅子で利用できます。現地の状況を紹介します。

乗鞍高原

乗鞍岳は標高3,000m超の日本で3番目に高い火山です。

もともとの地盤が隆起した地質が2,300m、そこに火山噴火による堆積物が700m乗って3,000m超。乗鞍岳は比率でいえば火山よりも隆起のほうが大きい山ですが、乗鞍高原は火山活動の痕跡で、溶岩の噴出でできた溶岩台地です。

古くから山岳信仰の対象であった乗鞍岳。遅くとも江戸時代には、乗鞍高原で人々の生活がありました。

その後は温泉開発、スキー場開発などによる環境破壊が進み、現在では乗鞍スカイラインはマイカーの乗り入れ禁止です。車椅子利用者にとっては、足を踏みいれるのが大変な環境保護エリアです。

乗鞍高原までがマイカー乗り入れ可能区域で、松本ICから1時間ほどです。ここまでなら車で簡単に行くことができます。

乗鞍高原の概要

乗鞍高原内は、一般車両が通行できる車道があり、また各所にハイキングの起点になる駐車場があります。

ただしほとんどのハイキングコースは、車椅子での通行は無理なデコボコルートです。駐車場からまわりを見渡す程度しか出来ません。唯一「一の瀬園地」は、舗装路と木道が整備されています。

観光施設としては「乗鞍高原観光センター」があり、山頂へのシャトルバスの発着地で、食堂やトイレがあります。そのすぐ近くに乗鞍の自然を紹介する「乗鞍自然保護センター」があります。

乗鞍高原観光センター

車椅子で無理なく出来る乗鞍高原観光コースは、車でアクセスして「乗鞍高原観光センター」で休憩をとる。「乗鞍自然保護センター」で乗鞍の自然を学ぶ。そして「一の瀬園地」内を無理のない範囲で散策する。以上のコースをお薦めします。

車椅子観光のガイドライン

乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況です。乗鞍高原の中心部にある長野県立の施設です。広い無料駐車場には身障者用駐車区画があります。

建物エントランスはスロープ対応で、設備は古いながらもバリアフリートイレが用意されています。入館無料の施設です。冬季は閉館。4月から11月が開館期間です。

乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況

館内の展示は特別天然記念物ライチョウから始まります。ライチョウの生態をパネル展示。高山帯に住む孤高の鳥。絶滅危惧種です。

乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況

乗鞍には推定で100羽ほどが生息しているということ。生息域には車椅子では絶対にいけません。

乗鞍高原は数種のコウモリの生息域。そのなかでも「クビワコウモリ」が希少種。集団繁殖しているのは、乗鞍高原だけということです。

そこで繁殖用のコウモリ小屋「バットハウス」が、センターの横に建てられました。高層丸太小屋のような建物です。繁殖させて生態の調査、種の保護を行っています。見学は外観を見るだけです。

次に一の瀬園地のバリアフリー状況です。頑張ると車椅子でミズバショウが鑑賞できる、乗鞍高原の真ん中ある湿原域です。

「ネイチャープラザ一の瀬」を目指します。その前にある広い無料駐車場を利用します。「ネイチャープラザ一の瀬」横の公衆トイレに、バリアフリートイレがあります。

一の瀬園地のバリアフリー状況

未舗装駐車場でデコボコな路面です。駐車場から30mほど頑張って移動すると、舗装歩道が始まります。

1.6kmほどある歩道で、300mほど進むと、歩道の脇の水の流れの淵に、最初のミズバショウ群生があります。

遊歩道はキャンプ場まで続きますが、アップダウンはかなりきつい舗装ルートです。無理のない範囲での散策をお薦めします。

遊歩道はキャンプ場まで

ガイドブックに紹介される大きなミズバショウの群生地は、舗装歩道の終点地キャンプ場の更に1.5km先にあります。そこまでは車椅子では行けません。

「一の瀬木道」は、「ネイチャープラザ一の瀬」駐車場から南方面に1.5kmほど進んだ「まいめの池」駐車場が起点になります。木道の傷みが激しいため、2019年から2021年(予定)の間、木道はリニューアル工事のため通行止めになります。

一の瀬木道

乗鞍高原は「一の瀬園地」の一部と「乗鞍自然保護センター」は、車椅子で観光ができます。

観光客に人気の飛騨高山「高山さんまち」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2019年10月に加筆しました)

松本 旧制高等学校記念館 車椅子見学ガイド バリアフリー情報

長野県松本市にある「旧制高等学校記念館」は、全国の旧制高校を対象にした資料館で、車椅子での見学は可能です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

松本市の「あがたの森」公園内にある施設です。公園内には国の重要文化財である「旧制松本高等学校校舎」が残ります。

「旧制高等学校記念館」は、重要文化財の旧校舎の中にあるのではなく、隣接する現代の建物の中にあります。したがってバリアフリー面での大きな問題はありません。車椅子で利用できる記念館です。

アクセスは車が便利。「あがたの森」公園の無料駐車場を利用します。駐車場は3カ所あり、いずれも公園の北側の道から出入りします。近いのは大正11年に竣工した「旧制松本高等学校講堂」の両脇にある駐車場です。もっとも収用台数が多い広い駐車場は公園の東側にある駐車場で、「旧制高等学校記念館」までは100mほどです。いずれの駐車場にも身障者用駐車区画があります。

駐車場から記念館入口まで、公園内の通路は舗装路でほぼフラットです。記念館入口は自動ドア。段差もないので車椅子での入館に問題はありません。

記念館は3フロア構成で、1Fは無料エリア、2Fと3Fが有料の展示エリアです。入館受付は1Fにあります。旧制高等学校記念館の観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名の入館料が無料に減免されます。

バリアフリートイレは1Fにあります。建物屋内から利用するトイレと、屋外から利用するトイレの2つが用意されています。

エレベーターは1基あります。やや狭いタイプで、一般的な車椅子は入りますが、大型の車椅子はギリギリで入るかどうかです。

2Fと3Fの展示は車椅子で見学可能です。フロア内はフラットで、車椅子から見やすい展示が並びます。

「旧制高等学校記念館」は、「旧制松本高等学校」の記念館ではなく、全国の旧制高校を対象にした資料館です。それでも「旧制松本高等学校」に関わる展示コーナーが、もっとも力が入っています。

館内には「旧制松本高等学校校舎」をバックにした記念撮影スポットがあります。場所は2Fバルコニー前です。パネル他、記念撮影のための小道具の用意もあります。

1Fの無料エリアにミュージアムショップがあります。小規模なショップで、通路幅にゆとりはありませんが、車椅子での利用は可能です。旧制高校や北杜夫さんなどに関連する企画商品がいろいろあります。ぜひ立ち寄ってください。

「旧制松本高等学校校舎」は「本館」と「講堂」が現存しています。「本館」は大正9年の竣工。校舎自体の見学は無料ですが、周囲はあまりバリアフリーではありません。車椅子では無理のない範囲からの見学になります。

「旧制高等学校記念館」は、全館車椅子で利用できるバリアフリー施設です。

松本の国宝「旧開智学校」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2019年1月の取材に基づいています)