乗鞍高原バリアフリー情報 車椅子で楽しむ観光ガイド

大自然を楽しむ観光地、長野県松本市の乗鞍高原。バリアフリーな観光スポットは限られますが、「一の瀬園地」の一部と「乗鞍自然保護センター」は車椅子で利用できます。現地の状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2017年5月の取材に基づいて初稿を執筆し、2019年10月に一部加筆しました。

乗鞍高原

○乗鞍高原の概要

乗鞍岳は標高3,000m超の日本で3番目に高い火山です。

もともとの地盤が隆起した地質が2,300m、そこに火山噴火による堆積物が700m乗って3,000m超。乗鞍岳は比率でいえば火山よりも隆起のほうが大きい山ですが、乗鞍高原は火山活動の痕跡で、溶岩の噴出でできた溶岩台地です。

古くから山岳信仰の対象であった乗鞍岳。遅くとも江戸時代には、乗鞍高原で人々の生活がありました。

その後は温泉開発、スキー場開発などによる環境破壊が進み、現在では乗鞍スカイラインはマイカーの乗り入れ禁止です。車椅子利用者にとっては、足を踏みいれるのが大変な環境保護エリアです。

乗鞍高原までがマイカー乗り入れ可能区域で、松本ICから1時間ほどです。ここまでなら車で簡単に行くことができます。

乗鞍高原の概要

○車椅子観光のガイドライン

乗鞍高原内は、一般車両が通行できる車道があり、また各所にハイキングの起点になる駐車場があります。

ただしほとんどのハイキングコースは、車椅子での通行は無理なデコボコルートです。駐車場からまわりを見渡す程度しか出来ません。唯一「一の瀬園地」は、舗装路と木道が整備されています。

観光施設としては「乗鞍高原観光センター」があり、山頂へのシャトルバスの発着地で、食堂やトイレがあります。そのすぐ近くに乗鞍の自然を紹介する「乗鞍自然保護センター」があります。

乗鞍高原観光センター

車椅子で無理なく出来る乗鞍高原観光コースは、車でアクセスして「乗鞍高原観光センター」で休憩をとる。「乗鞍自然保護センター」で乗鞍の自然を学ぶ。そして「一の瀬園地」内を無理のない範囲で散策する。以上のコースをお薦めします。

車椅子観光のガイドライン

○乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況

乗鞍高原の中心部にある長野県立の施設です。広い無料駐車場には障害者用駐車区画があります。

建物エントランスはスロープ対応で、設備は古いながらも障害者用トイレがあります。

入館無料の施設です。冬季は閉館。4月から11月が開館期間です。

乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況

館内の展示は特別天然記念物ライチョウから始まります。ライチョウの生態をパネル展示。高山帯に住む孤高の鳥。絶滅危惧種です。

乗鞍自然保護センターのバリアフリー状況

乗鞍には推定で100羽ほどが生息しているということ。生息域には車椅子では絶対にいけません。

乗鞍高原は数種のコウモリの生息域。そのなかでも「クビワコウモリ」が希少種。集団繁殖しているのは、乗鞍高原だけということです。

そこで繁殖用のコウモリ小屋「バットハウス」が、センターの横に建てられました。高層丸太小屋のような建物です。繁殖させて生態の調査、種の保護を行っています。見学は外観を見るだけです。

 

○一の瀬園地のバリアフリー状況

頑張ると車椅子でミズバショウが鑑賞できる、乗鞍高原の真ん中ある湿原域です。

「ネイチャープラザ一の瀬」を目指します。その前にある広い無料駐車場を利用します。

「ネイチャープラザ一の瀬」横の公衆トイレに、障害者用トイレがあります。

一の瀬園地のバリアフリー状況

未舗装駐車場でデコボコな路面です。駐車場から30mほど頑張って移動すると、舗装歩道が始まります。

1.6kmほどある歩道で、300mほど進むと、歩道の脇の水の流れの淵に、最初のミズバショウ群生があります。

遊歩道はキャンプ場まで続きますが、アップダウンはかなりきつい舗装ルートです。無理のない範囲での散策をお薦めします。

遊歩道はキャンプ場まで

ガイドブックに紹介される大きなミズバショウの群生地は、舗装歩道の終点地キャンプ場の更に1.5km先にあります。そこまでは車椅子では行けません。

「一の瀬木道」は、「ネイチャープラザ一の瀬」駐車場から南方面に1.5kmほど進んだ「まいめの池」駐車場が起点になります。木道の傷みが激しいため、2019年から2021年(予定)の間、木道はリニューアル工事のため通行止めになります。

一の瀬木道

乗鞍高原は「一の瀬園地」の一部と「乗鞍自然保護センター」は、車椅子で観光ができます。

車椅子で行く松本 旧制高等学校記念館 バリアフリー情報

長野県松本市にある「旧制高等学校記念館」は、全国の旧制高校を対象にした資料館で、車椅子での見学は可能です。現地のバリアフリー状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2019年1月の取材に基づいています。

○記念館は現代の建物

松本市の「あがたの森」公園内にある施設です。公園内には国の重要文化財である「旧制松本高等学校校舎」が残ります。

「旧制高等学校記念館」は、重要文化財の旧校舎の中にあるのではなく、隣接する現代の建物の中にあります。したがってバリアフリー面での大きな問題はありません。車椅子で利用出来る記念館です。

旧制高等学校記念館

○駐車場は3カ所

アクセスは車が便利。「あがたの森」公園の無料駐車場を利用します。駐車場は3カ所あり、いずれも公園の北側の道から出入りします。近いのは大正11年に竣工した「旧制松本高等学校講堂」の両脇にある駐車場です。もっとも収用台数が多い広い駐車場は公園の東側にある駐車場で、「旧制高等学校記念館」までは100mほどです。

いずれの駐車場にも障害者用駐車区画の用意があります。

旧制高等学校記念館

○障害者減免有り

駐車場から記念館入口まで、公園内の通路は舗装路でほぼフラットです。記念館入口は自動ドア。段差もないので車椅子での入館に問題はありません。

記念館は3フロア構成で、1Fは無料エリア、2Fと3Fが有料の展示エリアです。入館受付は1F。障害者手帳の提示で本人と介助者1名の入館料が無料に減免されます。

障害者用トイレは1Fにあります。建物屋内から利用するトイレと、屋外から利用するトイレの2つが用意されています。

旧制高等学校記念館

○やや狭いエレベーター

エレベーターは1基。やや狭いタイプで、一般的な車椅子は入りますが、重度障がいのある方の大型車椅子は、ギリギリで入るかどうかです。

旧制高等学校記念館

○展示はバリアフリー

2Fと3Fの展示は、車椅子で見学可能です。フロア内はフラットで、車椅子から見やすい展示が並びます。

旧制高等学校記念館

「旧制高等学校記念館」は、「旧制松本高等学校」の記念館ではなく、全国の旧制高校を対象にした資料館です。それでも「旧制松本高等学校」に関わる展示コーナーが、もっとも力が入っています。

旧制高等学校記念館

○2Fバルコニー前で記念撮影

館内には「旧制松本高等学校校舎」をバックにした記念撮影スポットがあります。場所は2Fバルコニー前。パネル他、記念撮影のための小道具の用意もあります。

旧制高等学校記念館

○1Fのお土産コーナーは必見

1Fの無料エリアにミュージアムショップがあります。小規模なショップで、通路幅にゆとりはありませんが、車椅子での利用は可能です。

旧制高校や北杜夫さんなどに関連する、企画商品がいろいろあります。ぜひ立ち寄ってください。

旧制高等学校記念館

○校舎の見学は無理のない範囲で

「旧制松本高等学校校舎」は「本館」と「講堂」が現存しています。校舎自体の見学は無料ですが、周囲はあまりバリアフリーではありません。「本館」は大正9年の竣工。車椅子では無理のない範囲からの見学になります。

「旧制高等学校記念館」は、全館車椅子で利用出来るバリアフリー施設です。

車椅子で行く松本 旧開智学校 バリアフリー情報

明治9年竣工の重要文化財「旧開智学校」は、車椅子では1Fだけの見学になります。現地のバリアフリー状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2019年1月の取材に基づいています。この時点では「国宝」ではなく「重要文化財」指定です。

○快適なバリアフリー施設ではない

歴史的建造物、明治時代の小学校です。2F構造でエレベーターはありません。また敷地内の通路は、未舗装箇所、小さな段差がある箇所、デコボコがある箇所があります。総じてバリアフリーとは言い難い施設ですが、車椅子での見学は出来ないことはありません。

旧開智学校

○無料駐車場あり

アクセスは車が便利。施設の横に10台程度収容する無料駐車場があり、障害者用駐車区画は1台分用意されています。

今回訪問時は満車でした。施設スタッフに確認したところ、駐車区画以外のスペースに駐車してよいということです。施設横のスペースは広いので、満車の場合は邪魔にならない場所に上手に駐車してください。

旧開智学校

○受付への5mが車椅子の難所

施設の敷地内へ。左手5m先に受付棟があり、そこに向かいます。この5m区間が、車椅子で最大の難所です。デコボコや車椅子が苦手なタイプの小さな段差が連続します。受付窓口の手前の箇所が最も厳しい難所。同行の健常者がいる場合は、受付は任せるのが良いでしょう。

旧開智学校

○障害者減免あり

「旧開智学校」は有料の施設ですが、障害者手帳の提示で本人と介助者1名の入館料が無料に減免されます。前出の受付で手続きを行ってください。

 

○入口までは舗装路

「旧開智学校」の建物内への入口は、受付の反対側。そこまでの敷地内を横断するルートは舗装路です。ただし途中で切れ目があるタイプの舗装路なので、車椅子は慎重に移動して下さい。

旧開智学校

○館内は土足禁止

建物入口へ。出入口は明治時代の木製手動引き戸です。出入口周辺の段差箇所は、すべてスロープが用意されています。しっかりしたスロープなので、車椅子での利用に大きな問題はありません。

館内は土足禁止。健常者は靴を脱ぎスリッパに履き替えます。今回訪問時は、車椅子を見ると施設スタッフが雑巾をもってきて「軽く拭かせて下さい」と言って、タイヤを拭いていただけました。可能であれば、自分で雑巾を持参することをお薦めします。

旧開智学校

○障害者トイレあり

館内に入ると、すぐに小さなミュージアムショップがあります。ここの品揃えは面白い。「旧開智学校」企画商品が並びます。あまり売れなかった企画商品は、ディスカウントタグが付いています。

ショップの奥にトイレがあり、広いスペースの障害者用トイレが一つ用意されています。

旧開智学校

○展示室出入口は段差あり

館内1Fの中央廊下はフラットです。廊下の両脇にある、教室や事務室である展示室への出入口は小さな段差があります。段差は、慎重に進めば一般的な車椅子なら通過できるレベルです。

館内には冷暖房がありません。暑さ寒さは自衛して観覧してください。

旧開智学校

○エンジェルがアイコン

「旧開智学校」の正面入口上には、オジサン顔のエンジェルがいます。このエンジェルが「旧開智学校」のシンボルであり、アイコンです。館内にはエンジェルと記念撮影が出来る小道具が置かれています。

旧開智学校

○昭和32年まで現役校舎

建物の歴史を簡単に紹介します。明治8年着工、翌9年に竣工。1961年に重要文化財に指定。約90年間校舎として使用され、廃校舎となった1963年に現在の地に移築。新築当時の状態に近づけて復元されました。使用されている建築木材は、廃仏毀釈のために廃寺になった松本藩主の菩提寺「全久寺」の建材が再利用されています。

旧開智学校

○横に建つのは「旧司祭館」

「旧開智学校」の隣に建つ青い建造物は「松本市旧司祭館」です。明治22年に建てられた宣教師たちの住居で、約100年間使用されました。

見学は無料ですが、入口から階段で車椅子での内覧は出来ません。

旧開智学校

旧開智学校

旧開智学校

「旧開智学校」にはエレベーターがなく2F見学は不能。アプローチは快適なバリアフリー状況ではなく、館内は土足禁止です。それでも1Fは車椅子で見学が可能です。