東京都板橋区にある板橋清掃工場の余熱を活用した施設で、入館料は低廉な価格ですが、展示内容は充実している本格派の植物館です。子供から大人まで楽しめます。
開館は1994年。まだバリアフリーの概念が薄い時代の設計なので、基本構造としては各所に段差がありますが、段差回避ルートがあるので車椅子で見学できます。
清掃工場に隣接して「高島平温水プール」「高島平ふれあい館」そして「熱帯環境植物館」がある公共施設ゾーンです。アクセスは高島平駅から徒歩7分の案内です。
高島平温水プール利用者用の19台を収容する有料駐車場があります。この駐車場を利用した場合は、熱帯環境植物館の受付に駐車券と障がい者手帳を提示すると、駐車料金が無料に減免されます。
この駐車場の身障者用駐車区画は、駐車場の中央部に1台分設定されています。知らないと気が付かないほど、意外な位置にある身障者用駐車区画です。
熱帯環境植物館のエントランス前にも、身障者用駐車スペースが用意されています。
ここは事前予約制です。電話予約をした上で、到着してから熱帯環境植物館に連絡をすると、スタッフが来て、車止めの柵を外していただけます。
身障者用駐車区画は、熱帯環境植物館の横に縦列駐車で2台分設定されています。駐車料金は無料です。
熱帯環境植物館のエントランス付近は段差構造なので、車椅子は迂回して歩道から出入口に向かいます。
施設の正面入口も段差構造です。
右側が段差回避スロープに改修されています。
出入口は自動ドア、その先は館内1Fの受付までフラットな構造です。自動販売機で入館券を購入し、受付に提出して入館します。
板橋区立熱帯環境植物館の入館料は、障がい者減免制度があり、本人は半額、介助者1名が無料に減免されます。自動販売機で半額減免券を購入してください。
板橋区立熱帯環境植物館は、東南アジアの熱帯雨林を水面下から山地まで再現しています。施設はB1から2Fまでの構造で、B1は海水、汽水、淡水の水域に分かれた「ミニ水族館」。1Fから2Fが吹き抜け構造の温室で、マングローブなど熱帯河口域を再現した「潮間帯」、大木が生い茂る「熱帯低地林」、食用や薬用に利用される植物を集めた「集落景観」、雨や霧の多い熱帯の山地を再現した「雲霧林」のエリアがあります。海から高山帯までの熱帯環境を立体的に鑑賞できるハイレベルな植物館です。
通常ルートは1Fから階段でB1へ下り、そこから階段とスロープを通行して1Fから2Fへと上がり、2Fから階段で1Fへ下りて退館します。車椅子では1基あるエレベーターを利用します。エレベーターのかごは一般的なサイズで、問題なく車椅子で乗り込めます。1FのエントランスにあるエレベーターでB1に下りて見学を開始します。
B1でエレベーターから出るとミニ水族館の終盤エリアに出ます。通常の階段ルートの下、展示開始エリアまで段差回避スロープ路を逆流して戻ったほうが、B1全ての展示を順番に鑑賞することができます。
展示エリアの手前に、フリーテーブルが配置されているB1ホールがあります。ここは飲食可の休憩コーナーとして開放されています。
バリアフリートイレはB1と2Fに用意されています。B1のバリアフリートイレはホールの横、展示エリアの手前にあります。個室のサイズはやや小さく、設備はシンプルなトイレです。
B1展示エリアの導入部は、巨木の根。B1は地下あるいは水面下の世界です。
小さい展示場ではありますが、内容の濃い水槽が数多く並びます。じっくり観察すると相当の時間が必要です。
世界最大の淡水魚のエイが泳ぐ水槽。B1展示のハイライトです。
その先の1Fへのルートは階段です。車椅子ではエレベーターに乗り、1Fへ戻ります。
温室内は1Fから2Fへ上がるのが通常ルートです。上り坂が苦手な人は、2Fから下りたくなるかもしれませんが、温室内のスロープ通路の幅は余裕がなく、車椅子で逆行すると、他の見学者の迷惑になります。推奨されている通りに、1Fから2Fへと、ジャングルの高度を上げながら進むことをお薦めします。
途中に温室内をつなぐブリッジがあります。このブリッジの側面は高く、車椅子では上空を見上げる見学になります。またブリッジを渡った先は階段路なので、車椅子では引き返すことになります。
「潮間帯」から「熱帯低地林」へと進むと、2Fの手前「集落景観」の横に「マレーハウス」があります。ここは段差回避スロープがあり車椅子でハウス内に行くことができます。
「マレーハウス」を過ぎると、ドアがあります。その先が多湿の「雲霧林」です。
「雲霧林」は食虫植物やランなど、興味深い熱帯性の植物が展示されています。
「雲霧林」の先にもドアがあります。「雲霧林」は高温多湿が維持される空間です。
ドアの先に喫茶室「クレア」があります。営業は土日祝日のみ。テーブル席が4卓ほどの小さなグルメ店です。
熱帯環境植物館の1Fエントランスにも、喫茶室「クレア」のメニューが掲示されていました。カレーなどのアジアンフードが味わえます。
喫茶室「クレア」の先は、2Fの温室内通路です。
通路の先のドアを通過すると、温室外に出ます。そこにミュージアムショップや図書コーナーがあります。
その先に2F展示ゾーンがあります。ここも多々見どころがあります。
熱帯アフリカを描いた作品などの展示もあります。
2Fのバリアフリートイレは、この展示エリアの先、1Fへ下りる階段の横にあります。
2Fのトイレも、B1と同様にシンプルな設備です。
車椅子ではエレベーターで1Fへ下ります。
これですべてを見学しました。現時点での入館料は、一般大人で260円。土日と夏休み期間は、小中学生は無料になります。施設の内容からすると、とてもリーズナブルな料金設定だと思います。
一般的な知名度は高くはありませんが、板橋区立熱帯環境植物館は、低廉な入館料で子供から大人まで楽しめる、お薦めできる穴場施設です。
東京都23区初の区立美術館「板橋区立美術館」の情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2021年12月に執筆しました)