群馬県伊勢崎市指定文化財である明治45年建造の医院が、現在地へと100m曳家移転されて公開されています。
伊勢崎駅の近くで無料公開されているのは、明治45年建造の木造洋風医院建築「黒羽根内科医院旧館」で、公募で名づけられた名称が「いせさき明治館」です。
建物横に10台ほどが収容できる無料駐車場があります。身障者用駐車区画の設定はありませんが、駐車スペースに余裕があるので、車椅子で乗降しやすい場所を選べるはずです。

内部も一般公開されていますが、玄関内部から先は段差構造で、車椅子では外観だけを鑑賞する文化財です。

いせさき明治館の見どころは外観です。中に入れないからといって、車椅子で立ち寄らないのはもったいない施設です。車椅子から外観を見学してください。建物正面の意匠性が見ものです。
以下、やや長くなりますが観光ガイドから引用すると「正面中央に車寄せ風の玄関ポーチを構え、独立柱の柱頭飾りや唐草様の持ち送り、その上のテラス開口部まわりの付け柱の柱頭飾り、さらにその上の櫛形の飾り破風や燭台風の木彫りなど、もっとも手の込んだ洋風建築としての装飾が施されています。また外壁の箱目地の下見(ドイツ下見)板張り、1、2階中間部の胴蛇腹(飾り小壁)、軒下部の軒蛇腹、唐草様の軒を支える持ち送り、外部コーナー化粧柱と柱頭飾り、正面洋風建築部分の上げ下げ窓の山形や櫛形風の化粧破風等、洋風建築としての様式が各所に組み込まれています。さらに中央玄関の両側の壁がわずかに張り出した左右対称の形式は、明治期の洋風公共建築で好んで採用された格式を象徴する外観と言えます。このような質の高い洋風建築としての設えが一民間の医院建築で成されていることは特筆すべきことと思われます。」となります。
2002年に市に寄贈され、伊勢崎市の重要文化財の指定を受け、100m曳家されて現在の場所に移転されました。100mを曳くのに、丸二日間かかったということ。また移転後に、極力建築当初の状態へ復元する改修工事が行われました。これらの努力により、堂々とした明治の建築物を楽しむことができます。
内部の一般開放時間帯はガイドさんが常駐し、「いせさき明治館」の説明をしていただけます。
今回取材時、車椅子で外観を見学していると、わざわざガイドさんが外に出てきて、建物の説明をしていただけました。建物の中には、文化財として価値のある数多くの着物が展示されているそうです。
またガイドさんの説明によると、この医院の主であった黒羽根先生は、貧乏な人からは診療費をとらない「赤ひげ先生」であったそうです。
「いせさき明治館」は車椅子で外観の見学が出来る重要文化財です。

「いせさき明治館」から約200mの場所には、大正5年に竣工した「旧時報鐘楼」があります。

群馬県内最古の鉄筋コンクリート構造の建造物で、高さは14.56メートル、煉瓦が張壁として用いられれいます。大正ロマンを今に伝える市の重要文化財です。周囲はフラットな舗装路面なので、車椅子で近づいて見学できます。

「旧時報鐘楼」は伊勢崎市立北小学校の敷地内にあり、駐車場が用意されています。

駐車場の横には明治15年に建てられた学校の門柱が保存展示されています。

北小学校は明治6年に開校しました。現地にはその歴史を解説する掲示版があります。

「いせさき明治館」と「旧時報鐘楼」は、車椅子で外観見学ができる重要文化財です。
2万4千株の菖蒲が咲き誇る伊勢崎市の「赤堀花しょうぶ園」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2022年7月に加筆修正しました)