インフルエンザが疑われる症状が出ると、医療機関で検査を受け、陽性であれば効く薬を服用してしっかり治す。それが当たり前になりました。多くの医療機関では、感染防止のためにインフルエンザ疑い患者用の待合室があります。
会社でも、インフルエンザの場合は勤務を休むようにルールが徹底されてきています。ただの風邪とインフルエンザでは、扱いが全く変わる会社が多いようです。
学校の場合はもっと徹底されています。ほとんどの小中高等学校では、インフルエンザの場合は欠席扱いにはなりません。また、登校再開には医療機関の治癒証明が必要です。
さて身体障がいのある児童生徒が通う特別支援学校の場合です。体力的に弱い児童生徒が多いので、風邪は大敵です。ましてやインフルエンザは別格扱いです。インフルエンザの発症者がでると、学校長名の公式文書が全校に発信されます。
インフルエンザの発生を連絡する公式文書は「インフルエンザを発症者が出たのでお知らせします。・・・・」という文書です。内容としては、発生日、発生者の属性、スクールバスを使用している生徒の場合はその利用しているバスのコース名などが書かれます。氏名など発生者の属性は、個人情報への配慮のため「高等部の教員」とか「中等部の生徒」などの表現になります。学年や性別の表記もないのが一般的です。
学校でのインフルエンザ発生を知らされた場合、家庭ではどのような対応をするのか。ほとんどの家族は、特別な対応は何もしません。発症者が出た、と知らされても、特別にすることがありません。
自分の子どもが発症者に近い環境にいた場合、ひょっとすると感染していて明日にでも発症するかもしれないと考えて、様子を見るために学校を休ませる家族もいます。でも、そこまで心配する家族は稀です。
出来ることは、発症者がでたことでインフルエンザの流行が迫ってきていることを改めて強く認識して、よく手を洗わせる、早寝早起きしっかりした食事など、健康的な生活に気を配るなど、一般的な予防方法を頑張ることです。
発症を伝える公式文書は、日常の感染予防をより徹底する動機づけにはなります。障がいのある子どもと生きる家族は、感染リスクには日常的に神経質ですが、よりいっそう神経をいきわたらせます。
体力的に弱い、重度の身体障がいがある人にとって、インフルエンザをはじめ各種の感染症はとても怖い病気です。抵抗力が無いため、肺炎まですすむ可能性が高い人たちです。流行期には人ごみには絶対連れて行かないなど、家族は日常的に神経を使っています。
学校も公式文書を出します。インフルエンザの流行期は、重度の身体障がいの人と家族にとって、大変な季節です。
(本稿は2019年11月に執筆しました)