茨城県那珂市の「茨城県植物園」は、車椅子で利用できる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。
隣接する「県民の森」とあわせて総面積は79.5ha。県民の森は昭和43年の開園で、「茨城県植物園」は昭和56年に開園しました。
茨城県植物園は有料の施設で、ツバキ園、ボタン園、水生植物園、カエデ園など、テーマ別の屋外展示と、「熱帯植物館」と「展示室」の屋内施設があります。
また隣接して無料屋内施設「きのこ博士館」があります。
メインの散策路は舗装路で、多少アップダウンがありますが、園内を車椅子で散策することは可能です。屋内施設はすべて車椅子で利用できます。
茨城県植物園は入園料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。受付で障害者手帳等を提示して減免措置を受けます。
園内には2か所にバリアフリートイレがあります。展示室と熱帯植物館にあり、今回取材時の状況では、設備はやや老朽化していました。
無料駐車場が第1から第6まであり、身障者用駐車区画は第1と第2駐車場に用意されています。
施設は段差がある構造ですが、身障者用駐車区画からアクセスすれば、段差回避ルートが用意されています。
「きのこ博士館」の前庭は、身障者の利用に限り駐車できます。ただし、第2駐車場から道を渡った先なので、植物園ときのこ博士館の両方を利用する場合、第2駐車場を利用すれば「きのこ博士館」まで短い移動距離です。
園内通路のバリアフリー状況です。園内で段差構造なのは、料金所から園内に入った付近一帯です。段差回避スロープを2か所通り、園内に進みます。
「展示室」方面が高台で上り坂になります。車椅子で通行可能なメイン散策路は、ほかのエリアでは大きなアップダウンはありません。
熱帯植物館のバリアフリー状況です。熱帯植物館の出入口は自動ドアで段差はありません。
館内は上下移動する鑑賞ルートで、スロープ構造です。それほどきつい傾斜ではないので、スロープ路を通行して車椅子で館内を巡ることができます。
エレベーターが1基あるので、傾斜路が苦手な人はエレベーターを利用することができます。
館内の3Fに相当する高さに「展望室」があります。車椅子では展望室へはエレベーターの利用になります。
展望室は外の景色も眺望できますが、植物館内の展示を上から展望する部屋でもあります。
きのこ博士館のバリアフリー状況です。主要な展示はすべて車椅子で見学が可能で、バリアフリートイレがあるバリアフリー施設です。
資料館入口には益子焼のキノコの造形があり、目を引きます。
資料館の中に入ると、巨大な樹木の造形物が正面にあり、凝った造りの館内の様子が、照明を落とした薄暗い中に浮かび上がります。
資料館内には8つの展示室があり、キノコをはじめ、山菜、うるし、竹などの種類や生態、人との関わり、森林の役割などが学べます。
各展示室はスロープ状の通路に面して配置され、全室を車椅子で見学することができます。
館内には、2F相当の場所に、資料館全体を見渡せる内向きのバルコニーがありますが、ここへは階段だけで、車椅子では室内バルコニーには上れません。
もう一か所、施設の横に併設されている鐘楼は、階段を昇って自由に鐘をたたくことができますが、ここも階段のみで、車椅子では上れません。
茨城県植物園は屋外展示、屋内施設とも、車椅子で利用できるバリアフリー施設です。
石岡市にある「いばらきフラワーパーク」の詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2020年2月の取材に基づいています)