駐車場に身障者用駐車区画の用意があるのが、当たり前の時代になりました。
重度で重複した障がいがある車椅子利用者を、身障者用駐車区画で介助して乗降させる場合に、当事者として現地で感じることを紹介します。
○入口までの距離は絶対条件ではない
身障者用駐車区画は、施設の出入口の近くに用意されます。これは少しでも歩行距離が短いと助かる人には有効です。
障がい者本人は車椅子利用で、元気な介助者が車椅子を押して移動する場合は、フラットな舗装路面であれば、多少の距離は問題なく移動できます。駐車区画に乗降のためのスペース的な余裕があれば、場所はどこでも利用できます。
身障者用駐車区画が満車になることが多い駐車場は、出入口から離れた場所でもよいので、スペースに余裕のある駐車区画を増設していただくと、介助者は助かります。
○屋根付きの乗降スペースは雨天に役立つ
青空駐車場の場合、乗降に時間がかかるので、車椅子利用者は雨天の場合に困ります。
屋根付きの身障者用駐車区画があり、そこから施設の入口まで屋根が続く駐車場があります。ただしそこが満車の場合は困ります。
屋根付きの身障者用駐車区画がある駐車場も、無い駐車場も、施設の入口前に1台分以上の屋根付き乗降スペースがあると、雨天荒天の日にとても助かります。
○車後部のスペースに余裕があると車椅子が出せる
身障者用駐車区画には、車をバックで駐車すると、後部のスペースがほとんどない区画が数多くあります。
車椅子のまま乗車をする車両は、後部から昇降機またはスロープを出して乗降します。
車椅子を畳んで積載している車両も、介助者がいる場合は、通常後部から車椅子をとりだします。
そのため後部スペースに余裕がない身障者用駐車区画に駐車する際は、輪留めの手前で停めるか、バックではなく頭から駐車しています。
なかには「車椅子用」マークを付けた看板を設置して、後部スペースを使えなくしている身障者用駐車区画もあります。
身障者用駐車区画を設置する際は、横スペースだけではなく、後部スペースを確保していただくと、介助者が車椅子を車両から出すことができます。
○立体駐車場は身障者用駐車区画のフロア別空満掲示があると便利
大型商業施設の立体駐車場の多くは、あるフロアにいったん進入すると、他のフロアには移動できない構造が採用されています。
このタイプの立体駐車場の場合、例えば5Fが「空」となっていて進入したものの、2台ある身障者用駐車区画は満車、というケースがあります。
最近できた施設の中には、フロア別の身障者用駐車区画の空満掲示がある立体駐車場があります。この情報は助かります。
○車椅子不可の案内があると駐車場を間違えない
身障者用駐車区画が満車で利用できない場合は、車椅子乗降が出来そうな一般駐車区画を探して駐車しています。この場合は、不便ではあっても、車椅子で駐車場から出ることは何とか出来ます。
古いビルの地下駐車場など、駐車エリアから、段差を越えないと外に出られない駐車場があります。また、日曜日はビルのエレベーターが停止して、階段だけになる駐車場も経験したことがあります。
身障者用駐車区画がある駐車場は、入口に車椅子マークが掲示されています。決定的な段差があり、車椅子では絶対に利用できない駐車場は、入口に車椅子不可の案内を掲示していただくと、間違えずにすみます。
当事者として、駐車場で感じていることを紹介させていただきました。
(本稿は2020年1月に執筆しました)