生まれつきの障がいがある、それも重度の障がいのある人、重複して視覚や聴覚に障がいのある人でも、音楽や映像が大好きな方が大勢います。
ほとんど自分では動けない、発語や一般的なコミュニケーションが難しい、そういう重度障がいのある人が日常生活なかで、音楽や映像を楽しんでいます。
小学生年代から、ずっと演歌が大好きな男の人を知っています。特に北島三郎さんのファンで、サブちゃんの歌がかかると、声を出して腕を動かし喜びを体で表現します。
女の人で、アルプスの少女ハイジが大好きな人を知っています。DVDを沢山もっていて、自宅でよく見ています。
甲子園高校野球の中継が好きな人がいます。高校野球は、ほとんど途切れなくブラスバンドが音楽を奏でて応援します。野球とともに音楽を楽しむ番組です。
自分の聞きたい音楽や見たい番組を意思表示することが出来ない人は、家族がその人の様々な反応をみて、好きだな、という判断をしています。
発語がなく言語による意思表示がなくても、動作や表情で表現できる人は解り易い。それが難しい人でも、いつも一緒にいる家族なら、ちょっとした目の動きなどでも好みが解る場合があります。
重度の障がいがある人の家族は、自宅での日常的な生活の中に音楽や映像をとりいれています。
学校や施設など、障害児・者に対する家庭以外での活動の中でも、音楽や映像は重要な役割を果たしています。
音楽活動をとりいれていない特別支援学校はなく、通所施設、入所施設の活動でも、音楽活動やDVD鑑賞は積極的に行われています。
ボランティア活動をするアーティストもいて、時には生の演奏や演劇に触れる機会もあります。
一流の音楽、多彩なジャンルの芸術に接することは、学校や施設での教育療育の方法として効果があり、日常の活動を豊かにします。
重度の障がいのある人の教育や療育に関わる人は、その活動プログラムに音楽や映像を積極的にとりいれています。
世界中の民族が、音楽や映像芸術を愛しています。重度で重複した障がいのある人も、音楽や映像が大好きです。
(本稿は2020年1月に執筆しました)