発語がない重度障がい者と家族の言語コミュニケーション

発語がない重度障がい者と家族の言語コミュニケーション

生まれつきの重い障がいにより、成長しても言葉がでない人がいます。その原因や状態は様々で、寝たきりにちかい身体障がいがある人、身体能力はあるがコミュニケーションが成立しない人など、発語がない人といっても一括りではありません。

発語がなくても、家族が話しかけることで、その意味に応じた反応がある人がいます。このような人の場合は、その内面には豊かな言語の世界があることが明らかです。喋ることが出来ない重い障がいがある人で、言語を聞いて理解する能力がある人は大勢います。

発語がない重度障がい者と家族の言語コミュニケーション

重度重複した障がいがあり、話しかけても反応がない人がいます。その人の内面に言語の世界があるのか、障がいのある人の家族は様々なアプローチをします。

2002年にNHKで「奇跡の詩人」が放送され、重度障がいのある子どもの指の動きを母親が読み取って書かれた詩が公開、その真偽について話題になったことがありました。

重度障がいのある人のかすかな指の動きを読み取る活動は、現在まで継続して取り組まれています。

操作がしやすいように工夫された文字盤やPCボードなどを使って介助者が指の動きをサポートして字を特定する、かすかに動く指で介助者の手のひらに字を書いてもらい介助者がそれを読み取る、などの方法が実践されています。

NHKの番組で偽物騒動になったのは、指による手のひら書き方式です。

この方法によって、重度障がいのある子どもとのコミュニケーションが成立した、とたいへん喜び、実践している家族を複数知っています。

その一方、実践しても全く読み取れない家族も多数知っています。

発語がない重度障がい者と家族の言語コミュニケーション

言葉を話していた人が中途障がいを負って発語が出来なくなったケースや、話しかけられて明らかに正しい反応がある人は、言語コミュニケーションが成立しています。

発語がない重度障がい者と家族の言語コミュニケーション

話しかけても反応がない人に対しても、多くの家族は話しかけて、言語的なコミュニケーションをおこなっています。

(本稿は2020年1月に執筆しました)

別稿で「重度の知的障がいがある人の想いを分かることは出来るのか」を掲載しています。ご参照ください。