奈良 国営平城宮跡歴史公園 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

国土交通省が主管する「国営平城宮跡歴史公園」は、奈良市内に広がる132haの特別史跡平城宮跡を計画地とした国営公園です。2018年3月に開園した観光情報拠点「朱雀門ひろば」を中心に、現地のバリアフリー状況を紹介します。

朱雀門広場は段差の無いバリアフリー設計です。「天平みつき館」はお土産ショップ。「天平うまし館」はカフェ&レストラン。「天平みはらし館」「天平つどい館」は観光情報施設。いずれもバリアフリーで、綺麗なバリアフリートイレがあります。

平城宮跡歴史公園バリアフリー情報

「朱雀門ひろば」のアイコンは「復原遣唐使船」です。全長30mで、まるで水に浮いているように設置されています。乗船は無料。スロープ乗船なので車椅子で船内へ行くことが出来ます。乗船口にはスタッフが常駐して案内。天平ルックの貸衣装もあります。

船内は精密に再現されているそうですが、甲板を車椅子で巡ることができます。命がけでこの船で唐を目指した人たちは、どのような船上生活であったことか。「復原遣唐使船」を見学する限り、快適ではなかったことは間違いありません。

平城宮跡歴史公園バリアフリー情報

「国営平城宮跡歴史公園」はとても広い公園です。車椅子ですべてを気軽に散策できる規模ではありません。第一次大極殿を見学するなら、その近くの駐車場へ停める行動が必要です。

車でアクセスした場合、平常宮跡には複数箇所無料駐車場がありますが、「朱雀門ひろば」の駐車場は「交通ターミナル」で有料です。この有料駐車場の利用方法が変わっています。詳しく紹介します。

そもそも「交通ターミナル」という名称があるように、路線バスやタクシー用の円形乗降場です。その中央部を一般駐車場に活用しています。有料なのにゲートがありません。

車でターミナルに入ると、すぐにスタッフが手を挙げて「駐車しますか」と尋ねられます。「ハイ」と答えると、その場で駐車券に手書きで時刻を記入して渡されます。

車椅子利用の旨を申告すると「身障者用駐車区画はこちらです」と誘導して下さいました。一般駐車場とは違うエリアにある屋根付き駐車スペースです。

屋根付きの身障者用駐車区画を利用した場合、「天平みはらし館」以外の3棟へのルートは屋根があるので、普通の雨なら濡れずに行けます。ただし暴風雨の場合は吹き込むことが予測される構造です。

料金の精算方法が特殊です。「天平みつき館」と「天平みはらし館」に設置されている販売機で、自分で駐車時間を計算して「時間券」を買います。そして駐車場のスタッフに駐車券と時間券を渡します。

お買い物による駐車料金の減免サービスはありません。そして全く告知されていませんが、時間券販売機には「障害者減免券」がありました。正規料金の半額。駐車スタッフに障害者手帳を提示し、障害者減免券を渡して出庫できました。

まだ開園して日が浅い「朱雀門ひろば」です。駐車場の運用ルールは、今後変わるかもしれません。

平城宮跡歴史公園バリアフリー情報

「国営平城宮跡歴史公園」は、2010年に第一次大極殿の一部が公開。2018年に朱雀門広場開業。そしてこれからも整備が続きます。

順調に進めば、2019年には第一次大極殿を囲む回廊部の公開が始まる予定です。第二次大極殿周辺エリアの整備は、まだまだ先の計画です。

「国営平城宮跡歴史公園」に新しく誕生した「朱雀門ひろば」は、車椅子で利用できるバリアフリー施設です。

(本稿は2018年6月の取材に基づいています)

奈良 興福寺 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

奈良 東大寺 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

大仏様が鎮座する奈良「東大寺」。現地のバリアフリー状況と車椅子での参拝方法を紹介します。

東大寺はバリアフリー改修を進めています。現時点では、大仏殿までのバリアフリー歩道、大仏殿内の車椅子参拝ルート、バリアフリートイレの設置が実現しています。本稿執筆時点ではまだ長期休館中ですが、「東大寺ミュージアム」が2018年9月にリニューアルオープンします。バリアフリー化が進むはずです。

東大寺バリアフリー情報

大仏殿までのバリアフリー歩道について、詳しく紹介します。大仏殿前交差点から東大寺参拝をスタートします。ここから「南大門」を経由して「中門」、左折して「西楽門」までの500m超が「車椅子ルート」です。その正体は、ゴツゴツする石畳みルートの中央部を1mほどフラットな路面に改修した道です。2004年に改修されました。アップダウンもなく、車椅子で移動することができます。

東大寺バリアフリー情報

バリアフリー歩道の通行上の注意点です。参道中央部のフラットなバリアフリー舗装上は、鹿と記念撮影の観光客がいっぱいです。しかもなかなか動かない。車椅子に気が付いて避けてくれる人もいますが、車椅子でバリアフリー舗装上を通行できるとは限りません。もちろん鹿の落し物がバリアフリー舗装上にもあります。

もう一つの課題は、南大門の仁王像の拝観です。南大門を通るには段差を超える必要があるので、車椅子ルートは左右両方に迂回して配置されます。そのまま門の外側を迂回して通ると、仁王像を拝むことが出来ません。車椅子では門の段差の外側から覗き込んで仁王像を拝観します。

バリアフリー歩道は、大仏殿の西楽門まで続きます。ここが大仏殿へのスロープルートの入口です。入口にはスタッフが1名常駐しています。大仏殿は有料ですが観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名の拝観料が半額に減免されます。

スロープルート入口スタッフに、拝観券を提示してスロープに入ります。つまり先にチケットを購入する必要が有ります。拝観券の売り場は階段の上です。

車椅子利用者だけで拝観に来た場合どうするのか、スタッフに尋ねると「私が買ってきます」というお答えです。そのような運営になっています。

東大寺バリアフリー情報

西楽門からスロープで上ると「西回廊」へでます。西回廊から大仏殿までの回廊区間は、一般客は通行できません。ベビーカーも許されません。通行できるのは車椅子利用者と介助者のみです。

東大寺バリアフリー情報

大仏殿への最後のスロープの先には木製の柵があり、自分で開閉します。大仏殿内を一周して大仏様の前に戻ってくると、そこにも木製の柵があり、ここも自分で開閉して西回廊に戻ります。

東大寺バリアフリー情報

東回廊にはスロープがないので、一般参拝者とは逆に西楽門へ向かいます。したがって団体の中で一人車椅子という場合は、行きも帰りも健常者とは違うルートなので、団体行動は出来ません。

東大寺バリアフリー情報

大仏殿スロープルートがある西楽門の近くに、公衆トイレがあります。この男女別トイレの入口に、それぞれバリアフリートイレが設置されています。入口なので異性介護でも利用できます。広さはありますが、現時点では設備はシンプルなトイレです。このトイレの前は喫煙場所なので、煙草が臭うトイレです。

東大寺バリアフリー情報

バリアフリー歩道は、東塔跡方面へも伸びています。芝生広場のような東塔跡周辺を通る散策路は、舗装されてフラットです。ここは観光客が少ないエリア。若草山方面へ、しばらくの間は快適に車椅子で通行できます。

東大寺バリアフリー情報

最後にバリアポイントの紹介です。バリアフリールートは「二月堂」まで届いていません。車椅子で向かうなら、二月堂方面へ向かう車道を通行します。この坂は急坂路ですが、元気な人、元気な介助者がいる人ならクリアできないことはないレベルです。

東大寺バリアフリー情報

この坂道は観光タクシーの通行は認められています。体力のない方はタクシーの利用も選択肢です。ただし二月堂、法華堂(三月堂)、そして戒壇堂には段差があり、車椅子での内部の拝観はできません。

東大寺バリアフリー情報

混雑の問題はありますが、東大寺の大仏様は、車椅子で拝観できます。二月堂、法華堂(三月堂)、戒壇堂は、バリアフリーではありません。

(本稿は2018年6月の取材に基づいています)

奈良 正倉院 車椅子見学ガイド バリアフリー情報

奈良 唐招提寺 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

唐招提寺は意外なほど車椅子への配慮があります。現地のバリアフリー状況を紹介します。

唐招提寺は電車の駅から徒歩圏内です。そして門前に広々した有料駐車場があります。駐車料金の障がい者減免制度はありませんが、身障者用駐車区画が設けられています。

駐車場の奥に独立棟の公衆トイレがあり、バリアフリートイレがあります。設備はシンプルですが、実用に耐えるトイレです。

唐招提寺バリアフリー情報

唐招提寺の入口は「南大門」です。段差のある門ですが段差回避スロープがあります。車椅子での通行が快適なスロープではありませんが、なんとか通行できます。

「南大門」の下にある受付に行きます。拝観料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が半額に減免されます。観覧料を支払い、門からスロープを下りて境内へ進みます。

唐招提寺には価値の高い文化財が数多くあります。鑑真和尚坐像は国宝。金堂、講堂、鼓楼、宝蔵、経蔵はすべて国宝。他に重要文化財の仏像、絵画などが多数あります。

唐招提寺バリアフリー情報

南大門から境内に入ると、正面に見えるのが国宝「金堂」。境内はほとんどが浅い砂利路面で、車椅子での移動はなんとか可能です。金堂内へは階段のみでスロープはありません。

唐招提寺バリアフリー情報

金堂の裏にあるのが、国宝「講堂」です。正面からは見えませんが、講堂は裏にスロープがあります。車椅子で上がり、如来像をはじめ重要文化財の仏様を車椅子で拝観できます。

唐招提寺バリアフリー情報

「講堂」から、境内に建つ国宝の「鼓楼」「宝蔵」「経蔵」などを見ながら「新宝蔵」へ向かいます。新宝蔵に向かう道は一部舗装路になっています。

唐招提寺バリアフリー情報

新宝蔵は別途拝観料が必要な展示館で、障がい者減免制度はありません。新宝蔵のエントランスは、健常者は階段で上りますが、車椅子ではつづら折りのスロープを利用します。

唐招提寺バリアフリー情報

新宝蔵内は土足禁止で靴を脱ぎます。車椅子で行ったところ、スタッフから「そのままどうぞ」という声があり、特にタイヤも拭かず、そのまま館内に車椅子で入りました。

展示されているのは重要文化財級の文化財。受付で展示作品のリスト「展観目録」をいただけました。

決定的に車椅子で行けないのは「鑑真和尚開山御廟」です。ここへ向かうルートは段差路です。また今回参拝時「御影堂」は長期大修理事業中で見学不可でした。

寺務所に併設して小規模ながらショップがあり、ここにしかないグッズが多数販売されています。小さなお店なので、混雑していると車椅子ではやや苦戦しますが、店内はフラットなので、車椅子で立ち寄ることができます。

積極的に広報をしていませんが、「講堂」と「新宝蔵」にはスロープがあります。唐招提寺は車椅子で参拝ができるお寺です。

(本稿は2018年6月の取材に基づいています)

奈良 法隆寺 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報