絢爛豪華な社殿群があり「茨城の日光東照宮」の異名をもつ茨城県稲敷市の大杉神社は、全国に670社ほどある大杉神社の総本宮で、年間約50万人が参拝に訪れる「日本で唯一の夢叶え神社」です。境内には数々のパワースポットがあります。
毎週土日は神崎駅から直行バスが運行されています。
大杉神社は小高い丘の上に境内がある立地で、周辺からのアクセスは階段か急坂を通ります。「かない天狗」「ねがい天狗」が鎮座する「一の鳥居」から「二の鳥居」を通るメインの参道は階段路です。
「二の鳥居」横の傾斜路は、車椅子での通行は苦戦する急坂路です。
車椅子利用者は車での参拝が便利ですが、一般参拝客用の駐車場からは階段路で境内に入ります。
車椅子利用者は車でアクセスして身障者用駐車スペースを利用することをお薦めします。現地には身障者用駐車スペースへのルート案内掲示がありません。場所は「葦舟神社」前の駐車場です。
出入口に近い場所に3台分の身障者用駐車スペースがあります。
身障者用駐車スペースから「安穏寺本堂」横の傾斜路を通り、車椅子で大杉神社の境内に進むことができます。車椅子で境内に入ることができるのは、このルートです。
安穏寺(あんのんじ)は天台宗の寺院です。本堂は明治11年の築と伝えられます。
安穏寺本堂は見事な彫刻装飾があります。大杉神社参拝の前にお参りしてください。
安穏寺本堂の横に、幾つもの供養塔があります。ここも舗装路面からお参りができます。
葦舟神社から安穏寺経由で大杉神社の境内に入ります。ここから先の境内は、ほぼフラットな地形です。このルートで最初に出会うのは「あんば七福神」の「毘沙門天」様です。車椅子でお参りができます。
その横に樹高28ⅿの御神木「三郎杉」があります。巨杉に鎮座する神様が「あんばさま」です。大杉神社の御神木は、霞ヶ浦を航行する舟が灯台のかわりに目印にした巨木です。その「太郎杉」は1778年に倒れました。樹齢1000年樹高40ⅿの「次郎杉」は急坂の先にある一般駐車場の奥にそびえています。
舗装路を進むと左側に「瑞垣」が見えています。孝行に関わる24のレリーフが飾られています。
砂利路面に立ち入る必要がありますが、レリーフの下に、一枚ごとに主人公と孝行に関わる内容の説明があります。
2022年11月にかけて、さらなる工事が予定されているようです。
舗装路を進むと右側に「天満宮」「白山神社」などのお末社が並びます。いずれも車椅子で参拝ができる構造です。
お末社の横の舗装路は屋根付きです。柱と天井に鮮やかな装飾が施されています。
舗装路を本殿側に曲がると、更に鮮やかな装飾になります。天井から下がっている升は、賽銭箱です。100円玉用と500円玉用があり、下から投げいれます。
ここを通り抜けると本殿拝殿前に出ます。色鮮やかに装飾された拝殿です。
賽銭箱は一段の上にありますが、段の手前から参拝しても違和感のない距離です。お賽銭は硬貨と紙幣で分類し、大きな賽銭箱は硬貨用、その上の小さな賽銭箱が紙幣用です。
拝殿の横に「厄除のかわらけ御納処」があります。「悪縁切のかわらけ」という土器を割り、ここに納めて悪縁を切ります。大杉神社には、このような「夢を叶える」作法が幾つもあります。
そのため「参拝前に」いろいろな準備が必要です。先に授与所に行き、必要なものを授かってください。それが大杉神社参拝の作法です。
境内のフラットな舗装路を通り、車椅子で授与所に移動できます。
「悪縁切のかわらけ」は、定められた呪言を心中で唱えながら割ります。
悪縁を切るもう一つの方法は、木製の「悪縁切の人形」を「悪縁切堂」で護摩焚きにします。
願いを叶える「ねがい矢」は、願いを書いた用紙を矢に結び、的に矢を放ちます。
車椅子ではできませんが、健脚・健康を願う自分だけの御守りを作る「碁盤石」です。碁石を踏んで飛び降り、碁石を専用の御守袋に入れます。
健康長寿を願う「兎歩御守」も自分だけの御守りです。
兎歩斎場の路面の指示に従って歩きます。
兎歩御守を持たずに歩くと危険ということです。御守は一年間有効です。
季節によっては茅の輪くぐりがあります。この茅の輪は車椅子では通ることが出来ませんでした。
「御祈祷受付所」の出入口は段差解消されています。その先を進むとお末社とトイレがあると案内されています。
案内に従い、灯籠が並び絵馬がかかる通路を進みます。
稲荷神社からは階段路です。この先に競馬ファンの聖地「勝馬神社」があります。反対側の駐車場からアクセスしても階段があるので、車椅子では勝馬神社の参拝はできません。
大杉神社のトイレはインパクトがあります。
男性用トイレ内の天井と壁面は光り輝いています。
女性用トイレ内は、少しシックな内装です。
バリアフリートイレがあります。一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器が備えられています。
バリアフリートイレの天井は物語が描かれているようです。
バリアフリートイレの壁面には、トイレの神様が祀られています。
境内の他の施設を紹介します。二の鳥居の横に「御膳処縁」が営業しています。メニューは、縁御膳、天狗様御膳などです。
二の鳥居から境内に入る箇所に「神門」があります。段差の無い構造です。
2010年に再建された麒麟門です。素晴らしい装飾で覆われています。
精密な彫り物です。それぞれに意味があります。
現地にはいくつもの解説版があり、理解が深まります。
知識を得てから、改めて麒麟門を見上げると、その世界観が理解できます。
神輿殿の装飾も鮮やかです。
鐘楼は砂利路面の先にあります。
神楽殿も砂利路面の先にあります。
神楽殿は少し傷みがあります。
最後に本殿周辺の装飾を紹介します。後利益がありそうな拝殿の美しい彫刻です。
拝殿は横から見ると、また違う装飾と出会えます。
本殿横の「厄除桃」は、車椅子でお参りができます。
本殿にかけて見事な装飾が連続します。「茨城の日光東照宮」です。
以上で境内を参拝しました。傾斜路を通り葦舟神社前の駐車場へ戻ります。
あんばさま総本宮大杉神社は、車椅子では境内へのアクセス路が問題です。境内に入れば、勝馬神社周辺を除いて、車椅子でお参りができます。
稲敷市に建つ古刹、小野の観音様「逢善寺」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2022年6月に執筆しました)