王子 お札と切手の博物館 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

王子 お札と切手の博物館 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

東京都北区、王子駅の近くにある入館無料の博物館です。国立印刷局の施設で、2フロア構造ですが、2Fへは階段のみで、車椅子では1Fだけの見学になります。現地の状況と歴史を紹介します。

お札と切手の博物館は古い建物で段差構造ですが、改修により出入口にはスロープが設置され、車椅子利用者用の自動ドア開閉スイッチがあり、1Fにはバリアフリートイレが設置されています。

以上のバリアフリー化を進めていますが、エレベーターはありません。車椅子では1Fだけの見学です。

1Fは、主にお札や切手の製造工程について各種の資料を展示しています。1億円分の重さを持ち上げるコーナー、計測器でご自身の身長や体重を金額に換算する体験コーナー、お札の偽造防止技術についてのコーナー、実体顕微鏡でマイクロ文字を探すなど、8種類の偽造防止技術体験装置などがあります。このフロアは車椅子で見学できます。

車椅子では上がれない2Fは、歴代の日本のお札・切手のほか、世界のめずらしいお札、王子が発祥の地である近代製紙産業の歴史などの資料を展示。パスポート・官報・諸証券を紹介するコーナーなどがあります。

「お札と切手の博物館」は、国立印刷局の施設です。受付にいるのは、国立印刷局所属のベテランの方。元気いっぱいに挨拶をして、積極的に展示物の説明を来館者にしています。車椅子をみると「申し訳ありません、1Fだけになりますが、ごゆっくりご覧ください」と声をかけていただきました。

王子は紙の町です。国立印刷局は明治4年、1871年に創設された「大蔵省 紙幣司」が源流。1873年に渋沢栄一が王子に「抄紙会社」を設立。そして1875年には「大蔵省 抄紙局」が王子に設置され、同年に「抄紙会社」が「東京府下王子村」に工場を完成。1876年に「大蔵省 抄紙局」が操業開始となり、王子で紙幣の製造が始まりました。

渋沢栄一が王子に設立した「抄紙会社」の社名が「王子製紙」に変更されたのは1893年です。飛鳥山に「紙の博物館」があるのも、この地理的な歴史からです。

現在でも国立印刷局の工場が周辺にあります。飛鳥山公園より、やや西ヶ原方面の地にあるのが「東京工場」。そして「お札と切手の博物館」の近くにあるのが「王子工場」。この2つの工場は、工場見学を受け付けていません。国立印刷局の工場で、工場見学が可能なのは「小田原工場」と「彦根工場」の2つです。

2003年には国立印刷局は「独立行政法人」に改組されました。国立印刷局の博物館は、1971年に「百周年」を記念して、当時あった市ヶ谷の工場に設けられたのが始まりです。そして2011年に現在の王子に移転しました。

入館無料の博物館です。お札と切手の博物館は、車椅子利用者は1Fだけの見学になる文化施設です。

別稿で「造幣さいたま博物館 車椅子見学ガイド バリアフリー情報」を掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2015年10月の取材に基づいています)