東京都新宿区、東京理科大学神楽坂キャンパスにある施設です。1991年に理科大OBの二村氏の寄付で、明治39年築牛込神楽坂校舎の外観を復元して建てられました。建物は「二村記念館」という名称です。
開館以来、理科大の前身である東京物理学校時代からの、科学の歴史と資料が展示されてきました。そして大規模な改修を行い、2020年にリニューアルオープン。新しい資料館に生まれ変わりました。入館は無料ですが、今回取材した時点ではコロナ対策で事前予約制が導入されていました。
アクセスはJR飯田橋駅から徒歩5分の案内。身障者用も含めて来館者用の駐車場はありません。外堀通りから坂道を上がります。飯田橋駅の詳しいバリアフリー情報は、別稿「車椅子で行く神楽坂~街歩きバリアフリー情報」をご参照ください。
エントランスには段差回避スロープが用意されています。
出入口は手動ドア。今回取材時はコロナ対策で開放されていました。
その内側にもう一つドアがあります。ここも引き戸式の手動ドアです。
その先に受付があります。ここで予約した氏名を申告すると、入館許可の証として赤い紙のリストバンドが渡されます。
二村記念館の地階は、無料公開されている「数学体験館」。近代科学資料館の予約をした見学者は、数学体験館も観覧できます。数学体験館の入口で赤いリストバンドを見せると、入館できるルールです。
ただし数学体験館へは階段を下ります。エレベーターはありません。車椅子では見学が難しい施設です。数学体験館は体験型の教材で数学を学べる施設です。理数好きの子供向けの施設ですが、内容は文系の大人にとっては難しいレベルの数学が扱われています。
近代科学資料館の展示を紹介します。すべての展示室は段差のないバリアフリー仕様です。最初のコーナーは「東京理科大学のあゆみ」。創立から140年の歴史を知ることができます。
フロアの中央部にあるのは「奎運(けいうん)ホール」。理科大の校歌には「いざ奎運の根とならん」と歌われています。学問が普及していく勢いを意味しているそうです。
歴史的な写真が次々に壁面に投影されます。
明治20年頃作られた「屋井乾電池」の展示。東京物理大学で学んだ屋井先蔵氏が発明した、世界初の乾電池です。吹き抜け上部の2Fは見学できません。
「近代の科学技術」のコーナー。19世紀の発明品などが展示解説されています。
展示は「日本の黎明期の科学教育」から「未来への懸け橋」と続きます。理科大卒のノーベル賞受賞者、大村智先生に関する展示などがあります。
展示室のほかに「サロン」があり、エジソンの蓄音機が展示されています。東京理科大学二村記念館近代科学資料館は、ワンフロアの施設で、車椅子ですべての展示が観覧できます。
(本稿は2021年12月に執筆しました)