愛知県常滑市にある古い工場をめぐる歴史の回廊「やきもの散歩道」は、激しいアップダウンがある丘の上の小径です。一般的な車椅子利用者には標準的な「Aコース」の散策はお薦めできません。ご自身や介助者の体力の範囲で、無理のない散策をお楽しみください。観光情報で紹介されている主な見どころのバリアフリー状況を紹介します。
○陶磁器会館
散策の拠点として紹介されている「常滑市陶磁器会館」は、2023年6月時点ではバリアフリーな施設ではありません。無料駐車場には身障者用駐車スペースが設けられていますが、そこから近いメインエントランスは階段構造で段差回避スロープはありません。車椅子では横にある通用門のような出入口を利用します。また館内のトイレにはバリアフリートイレはありません。
○とこなめ招き猫通り
常滑駅方面からアクセスすると、とこなめ招き猫通りは緩やかな傾斜路を上がりながら散策できます。もっとも車椅子で観光しやすいスポットです。
○とこにゃん
常滑のシンボルである巨大な招き猫「とこにゃん」は、急坂が上がった北山橋の横にあります。車椅子では辛い傾斜路です。
○廻船問屋瀧田家周辺
観光案内では「やきもの散歩道」唯一のバリアフリートイレがある施設として紹介されています。2023年6月時点では、がけ崩れの影響で「でんでん坂」からのアクセスルートになっていました。この坂は車椅子では通行できない急坂です。
○土管坂
もっともメジャーな観光スポットですが急坂です。車椅子での散策はお薦めできません。坂の下から見上げる観光をお薦めします。したがって坂の上にある土管坂休憩所の車椅子での利用は困難です。
土管坂の登坂をあきらめれば、登窯広場方面へは車椅子でなんとか通行できる傾斜路を通り移動できます。
○登窯広場・展示工房館
登窯広場はほぼフラットで水琴窟は車椅子で近付けます。
展示工房館は2フロアで2Fへは階段のみです。また1Fの展示は一周回って鑑賞しますが、途中の通路が狭く車椅子では通行できません。車椅子では1Fを部分的に鑑賞する見学になります。
登窯は車椅子で近付けます。ただし一周観察コースは段差路で、車椅子では通行できません
○散歩道後半のバリアフリー状況
登窯広場から先が、推奨されている「Aコース」の後半になります。後半はいっそうアップダウンがきつくなります。喫茶「MEM.」の先は下りの急坂です。
窯元「晴光」などがある付近が唯一フラットなエリアです。その先は上りの急坂で、「いちき橋」の先は下りの急坂です。
常滑市の「やきもの散歩道」は車椅子向きではありません。体力の範囲で無理のない散策をお薦めします。
(本稿は2023年7月に執筆しました)