やんば天明泥流ミュージアム 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

やんば天明泥流ミュージアム

2021年4月開館。群馬県長野原町の吾妻川沿い、八ッ場ダムの近くにあるミュージアムです。

1783年、江戸時代の天明3年に浅間山が大噴火。吾妻川に泥流が流れ込み、流域の村々を襲い、約1,500人の犠牲者がでる惨事となりました。流域は岩石、泥、瓦礫などにより、3ⅿから4ⅿの土砂に埋まり、遺体や家財道具などが東京湾や利根川河口の銚子に流れ着いたと伝えられています。これが「天明泥流」です。

八ッ場ダム建設工事に伴い、1994年から26年間にわたり、大規模な発掘調査が行われ、縄文時代から江戸時代までの遺跡が重層的に発見されました。「天明泥流」を中心に調査の成果を紹介し、当時の状況を体感する施設が「やんば天明泥流ミュージアム」です。

アクセスは車が便利です。来館者用の無料駐車場があり、身障者用駐車スペースが2台分用意されています。

やんば天明泥流ミュージアム

駐車場からミュージアムに向かいます。「やんば天明泥流ミュージアム」は傾斜地にあるので、駐車場からエントランスまでアップダウンがあります。

やんば天明泥流ミュージアム

車椅子利用で気を付けるポイントはこの区間です。階段路を回避するスロープが設置されています。スロープ路に入る手前の路面の傾斜が見た目よりも急です。車椅子は後ろ向きで下りることをお薦めします。帰りも同じルートなので、短い距離ですが急坂を上がることになります。

やんば天明泥流ミュージアム

エントランス手前の左側に建つのは、明治44年築の小学校の旧校舎です。八ッ場ダム水没地から移転されました。

やんば天明泥流ミュージアム

旧校舎は無料公開施設で、内部には旧小学校関連資料及び町の郷土資料などが展示されています。

やんば天明泥流ミュージアム

入口に段差があり、靴を脱いでスリッパに履き替えて見学します。段差回避スロープは無く、旧小学校は車椅子での内部見学は出来ません。

やんば天明泥流ミュージアム

ミュージアムの内部はバリアフリー仕様。エントランスは幅広い自動ドアです。

やんば天明泥流ミュージアム

入館すると総合案内があります。「やんば天明泥流ミュージアム」は有料施設ですが、入館料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が半額に減免されます。一般入場券は自動販売機で購入しますが、障がい者減免措置を受ける場合は、総合案内のスタッフに障害者手帳を提示して、現金で支払います。

やんば天明泥流ミュージアム

見学ルートの最初は「天明泥流体感シアター」の鑑賞です。天明時代の吾妻川流域に生きた村民の日常生活と、浅間山の噴火、そして天明泥流に襲われるまでを、10分超の映像で再現します。大画面があるシアターに、動かせるクッションシートが配置されている構造なので、好きな場所から車椅子で鑑賞できます。スタッフの誘導に従い、鑑賞してください。良く出来た作品です。これを見ると天明泥流の理解が深まります。

やんば天明泥流ミュージアム

次に展示室に向かいます。入口は自動ドア、展示室内は段差のないバリアフリー仕様です。

やんば天明泥流ミュージアム

最初の展示は「ガイダンス」、そして「よみがえる人々のくらし」と続き、天明泥流の全体概要、発掘された江戸時代の生活道具などが展示解説されています。

やんば天明泥流ミュージアム

次の展示は「うばわれた日常」。天明泥流の被害の凄まじさが理解できる出土品や古記録が展示解説されます。

やんば天明泥流ミュージアム

そして「災害の記憶」。先人たちが後世に伝えた、災害の記憶が紹介されます。

やんば天明泥流ミュージアム

最後が「テーマ展示室」。出土した土器や石器の展示により、古代からの八ッ場地域の歩みを解説します。

やんば天明泥流ミュージアム

展示室を退室したところに、バリアフリートイレが用意されています。スペースに余裕がある個室で、設備はフル装備です。ユニバーサルベッドはありません。

やんば天明泥流ミュージアム

「やんば天明泥流ミュージアム」はコンパクトな施設ですが、噴火による大災害の実際を深く理解できるミュージアムです。車椅子はエントランス手前の傾斜箇所だけは、慎重に移動してください。

八ッ場ダムに隣接した「道の駅八ッ場ふるさと館」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2021年9月に執筆しました)