2001年に開館した群馬県立館林美術館は、多々良沼公園の整備と一体となって設計されました。北に多々良川、南東に湿地、南西に水田があり、そこに修景池と盛土を施した「水面に浮かび上がる島」が建築デザインのコンセプト。美しい美術館です。
館林美術館は、群馬県立美術館としては高崎の近代美術館に次いで2館目の美術館です。独自色を打ち出すために、親しみやすく、かつ当時の相場としてはコスパがよかった「フランソワ・ポンポン」の作品と資料がコレクションの中心になりました。
別館「彫刻家のアトリエ」は、ポンポンの故郷であるフランスのブルゴーニュ地方の農家の納屋をイメージして設計されています。
別館内のアトリエは1933年、ポンポンの死後直後に撮影されたアトリエの写真をもとに、蒐集したオリジナル資料と再制作した模刻品などで再現されています。
車椅子からみた、美術館の主な施設のバリアフリー状況を紹介します。
多々良駅から徒歩20分の案内。アクセスは車が便利です。多々良沼公園利用者用と一体化した、来館者用の大きな無料駐車場が用意されています。
身障者用駐車スペースは一般駐車場とは違う場所、タクシー乗り場と共用で、美術館エントランスの横にあります。一般駐車場の先、一般車両は進入禁止エリアに車を進めます。
エントランスの近くに5台分の身障者用駐車区画が設定されています。スペースに余裕があるので、さらに数台を駐車可能です。
身障者用駐車スペースからなだらかなスロープを通り、エントランスへ向かいます。
一般駐車場を利用した来館者も、最後はこのスロープからエントランスに向かいます。駐車場から池の横の通路を通りスロープに近づきます。
通路からスロープに合流します。
正面がエントランスで、右側の建物は展示室1です。
エントランス周辺のバリアフリー状況です。今回取材時は「フランソワ・ポンポン展」が開催されていました。事前予約は不要で、美術館入口で検温と手指消毒を行い、簡単な記帳をして入館します。
美術館のエントランスホールは広い空間で、受付があります。群馬県立館林美術館の観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。受付で障害者手帳等を提示して、無料観覧券を発券していただきます。
バリアフリートイレは、美術館内にある4か所トイレの内、受付に近い場所にあるトイレ2か所にあります。別館とレストランのトイレにはありません。
下の写真は展示室2に近いバリアフリートイレです。スペースはやや狭い個室ですが、車椅子は入ります。ウォシュレット付き便器が備えられています。
館内に段差は無く、すべての展示室は車椅子で観覧できます。展示室1は南向きの大きなガラス面がある半独立構造で、フランソワ・ポンポンの作品など、彫刻作品を中心に展示されます。美しい外観が魅力です。
展示室1への屋内アプローチです。入口で観覧券を提示して入室します。
ガラス張りのギャラリーに沿って、展示室2から4が連続して配置されています。車椅子での観覧に問題はありません。展示室4は、企画展によっては、窓から風景を観ることができる構造です。
展示室4の先から自動ドアを出て、別館「彫刻家のアトリエ」へ向かいます。外に出ると、美術館の建物を背景にした美しい公園エリアが広がります。
彫刻家のアトリエの出入口は、重い木製の手動ドアです。今回取材時は、そこに常駐しているスタッフが、車椅子をみてドアを開閉してくれました。
館内にワークショップと再現されたアトリエがあります。アトリエは車椅子で見学できます。
彫刻家のアトリエの外観と周囲の風景が見事です。ややラフな舗装路ですが、森の中に散策路があります。
彫刻家のアトリエの外壁は、石灰岩の乱積漆喰仕上げです。
屋根はフランス瓦。森の中に佇む彫刻家のアトリエを車椅子から観ることができます。
弧を描くギャラリーは200ⅿ。エントランス方面、身障者用駐車スペース側に、ミュージアムショップとレストランがあります。
ギャラリーを利用しているので、空間としては幅があまりありません。少し混雑していると、ミュージアムショップ内の車椅子での移動は苦戦します。ミュージアムショップにはフランソワ・ポンポンの作品などオリジナル商品が数多く販売されています。
レストラン「エミール」は、2021年1月にグランドオープンしました。館林の人気店「城内食堂」の姉妹店です。ワッフルプレートなどが人気メニュー。今回取材時はティータイムで、ウェイティングがかかっていました。
窓からの風景が美しいお洒落なレストランです。
群馬県立館林美術館は、美しい景観と、親しみやすい近代美術、現代美術を楽しめる、バリアフリーな美術館です。
「館林つつじまつり」のバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ご参照ください。
(本稿は2021年11月に書き直しました)