山梨市 根津記念館 車椅子見学ガイド バリアフリー情報

東武鉄道などの社長を務め「鉄道王」として知られる実業家、初代根津嘉一郎氏の実家である根津家一族の屋敷が、「根津記念館」として公開されています。住所は山梨県山梨市正徳寺。周囲の住居の多くは「根津」の表札がかかっています。

昭和7年から10年にかけて整備された屋敷なので、基本構造はバリアフリーではなく、車椅子ではすべてを見学することは出来ません。しかし平成15年から5年の歳月をかけて再整備された施設なので、部分的にはバリアフリー化されています。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

山梨市 根津記念館

根津嘉一郎氏は万延元年(1860年)に甲斐国山梨郡正徳寺村の農家に生まれました。根津記念館の屋敷が整備されたのは1932年から。したがって嘉一郎氏が72歳のときです。生まれ育った生家、そのままの姿ではありません。

施設の解説によると、この屋敷には3つの機能があります。第一は「迎賓館」。「青山荘」がその中核施設でした。第二が「地主経営の場」。大地主であった根津家の仕事場として役割。そして第三が「居住空間」です。

山梨市 根津記念館

3つの機能を有する屋敷を実際に整備したのは、甥の根津啓吉氏。嘉一郎氏は「関与した」と紹介されています。そして2003年に、根津家から山梨市に寄贈され、2008年から根津記念館として公開されています。

山梨市 根津記念館

アクセス方法です。徒歩圏に駅はありません。山梨市駅からタクシーで5分の案内です。来館者用の無料駐車場があります。

山梨市 根津記念館

駐車場の場所は記念館の裏側で、普通車25台、バス2台を収容します。身障者用駐車スペースは1台分、もっとも記念館よりの場所に屋根なしで用意されています。

山梨市 根津記念館

車で来館される場合、記念館北側の道路は狭いので運転に注意してください。対向車とのすれ違いに苦労する道幅で、両脇には蓋のない用水路があります。大型バスは記念館南側からのアクセスになります。

駐車場から記念館の入口までは、100ⅿほどの距離があります。

山梨市 根津記念館

駐車場から記念館外側を約三分の一周して入口に向かいます。入口は国登録有形文化財「長屋門」です。正面からみて門の右側に受付窓口があります。

根津記念館は有料の施設ですが、観覧料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。受付に障害者手帳等を提示して減免措置を受けます。

長屋門の周囲は舗装路面で、段差はありません。車椅子で問題なく入館できます。

山梨市 根津記念館

根津記念館内の路面は、車椅子がひっかかるタイプの砂利路面です。場所により砂利の深さに多少の違いはありますが、ほとんどの場所で車椅子のタイヤがスタックして動かなくなりました。砂利路面に突入する場合は、前輪を浮かす、あるいはバックで進むなどの工夫が必要です。

長屋門から先の砂利路面には、2系統の舗装通路が整備されています。まっすぐに伸びる舗装通路は屋敷の玄関前まで。左に伸びる舗装通路は展示棟「八蔵」の入口付近まで整備されています。

山梨市 根津記念館

バリアフリートイレは、長屋門から左に伸びる舗装通路の先に独立棟で用意されています。外見の印象よりも内部は綺麗です。

山梨市 根津記念館

トイレ内はスペースに余裕があり、ウォシュレット付き便器、オストメイトが備えられています。ユニバーサルベッドはありません。

山梨市 根津記念館

トイレの先に「旧第八倉庫」の外観と内装を再現した展示棟「八蔵」があります。八蔵への入口に4段あります。その先まで進むと、段差回避スロープ構造になっている施設です。

山梨市 根津記念館

しかし、舗装通路が段差入口までしか整備されていません。そこからスロープ地点までは、車椅子で砂利路面を通行しなければなりません。この箇所の砂利は深く、通常走行ではすぐに車椅子が動かなくなりました。様々なテクニックを用いて何とか砂利路面をクリアしましたが、砂利が苦手な人は通行が難しいかもしれません。帰り道も同じルートです。

山梨市 根津記念館

段差を回避して入口まで行ければ、展示棟「八蔵」内はバリアフリー仕様です。展示室は常設展示室と企画展示室があり、根津嘉一郎氏の人生を知ることができます。常設展示室の入口に展示されているピアノは、嘉一郎氏が山梨の全ての小学校に寄贈したピアノの1台ということです。

八蔵の段差回避スロープがある正面に「土蔵」があり、土蔵内に根津家に関する資料が展示されています。土蔵の入口までは、深い砂利路面を通行しなければなりません。また土蔵は段差構造です。車椅子では、無理をせずに、八蔵付近から外観を見学することをお薦めします。

山梨市 根津記念館

長屋門から正面に伸びる舗装通路を進むと、旧主屋および青山荘の玄関手前につきます。

山梨市 根津記念館

その先の玄関までのアプローチが、幅が広い段差構造です。段差の高さは低く、段差と段差の間が、車椅子が着地できる幅があるので、一段ずつ車椅子で段差を乗り越えて玄関まで行くことができました。

しかし車椅子ではここまでです。玄関内は段差構造で、スロープはありません。旧主屋と青山荘の内覧が根津記念館の見どころですが、現時点では車椅子対応設備はありません。

山梨市 根津記念館

青山荘側に庭園が築かれています。庭園に直接入ることができる通路は、大きな岩が敷かれたデコボコ路で、かなり無理をしないと車椅子で通行できません。

山梨市 根津記念館

庭園の手前、長屋門の右側の広いスペースに、「初代根津橋の親柱」「旧主屋の基礎」などが展示されています。この一帯は砂利路面で舗装通路はありません。車椅子では無理のない場所からの見学になります。

山梨市 根津記念館

長屋門の正面からみて右側に、門の構造をそのまま活かしたミュージアムショップがあります。ドアは木製で手動。ドアの下には小さな段差がありますが、車椅子で乗り越えることができました。

山梨市 根津記念館

ショップ内では、根津記念館あるいは東京の根津美術館の紹介ビデオが放映されています。またオリジナルポストカードや山梨の名産品などが販売されています。床面にデコボコはなく、通路は車椅子が通行可能な幅なので、その気になれば車椅子で買い物ができるショップです。

車椅子での見学には制約がありますが、根津記念館は観覧料の障がい者減免制度があり、バリアフリートイレが整備されている施設です。

観光のついでに立ち寄れる、山梨市の農産物直売所「JAフルーツ山梨直売所八幡店」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年4月に執筆しました)

トキワ荘マンガミュージアム 車椅子見学ガイド バリアフリー情報

東京都豊島区の「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」は、2020年に開館した車椅子で見学ができる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

トキワ荘マンガミュージアム

落合南長崎駅から徒歩5分。東長崎駅からは同10分。椎名町駅からは同15分の案内です。ミュージアムの周辺はアップダウンが少なく、どの駅からのルートも極端な坂道はありません。一般来館者用の駐車場はありませんが、大型バス用と身障者用は用意されています。

トキワ荘マンガミュージアム

通常は駐車場の出入口が閉鎖されています。身障者用駐車場の利用は事前予約制です。スペースは2台分あり、無料で利用できます。

トキワ荘マンガミュージアム

現時点ではコロナ対策で入館は事前予約制です。ネットから20分単位の時間枠で入館を予約します。

入館料は無料ですが、企画展は観覧が有料です。企画展観覧料には障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。なお観覧料、障がい者減免制度の適用は、企画展によって異なることがあるそうなので、企画展毎に確認してください。

トキワ荘マンガミュージアム

大きな敷地を活用した施設です。バスと身障者用の駐車場と一般公開されている公園エリア、そして再現建築された2階建てのトキワ荘があります。

トキワ荘マンガミュージアム

公園エリアには新しく公衆トイレが造られ、バリアフリートイレが用意されています。

トキワ荘マンガミュージアム

公園エリアは固くてフラットな未舗装路面です。公園エリアを通り、ミュージアムのエントランスに進むには、車椅子で未舗装路面を通りますが、一般的な車椅子なら問題なく通行できます。ただし雨上がりは慎重に車椅子を進めてください。また敷地の端を進めば、ほぼ舗装路面だけを通行してミュージアムのエントランスに進むことができます。

トキワ荘マンガミュージアム

公園側からみて、建物右側がトキワ荘マンガミュージアムの通常の出入口です。ここにいるスタッフに、事前予約をした時間と氏名を告げます。スタッフが予約一覧表をみて、確認します。これで入館手続きは完了です。

通常の出入口は段差構造で、ミュージアムの内部は土足禁止です。一般来館者はここで靴を脱いで下駄箱にいれて、階段を利用して2F常設展示フロアに上がります。

トキワ荘マンガミュージアム

車椅子用の出入口は、建物の左側にあります。そこまでは緩やかな傾斜のスロープが用意されています。

トキワ荘マンガミュージアム

スロープの先に出入口があります。手動ドアですが、ミュージアムのスタッフが開閉して下さいました。

館内は土足禁止なので、ここで館内用の車椅子に移乗するか、車椅子のタイヤを拭くかをします。受付スタッフに相談してください。

トキワ荘マンガミュージアム

ミュージアムは2フロア構造です。車椅子出入口から館内に入った正面にエレベーターが1基あります。かごのサイズは一般的な大きさで大型の車椅子でも収容可能です。

トキワ荘マンガミュージアム

バリアフリートイレは1Fに用意されています。

トキワ荘マンガミュージアム

スペースは一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。

トキワ荘マンガミュージアム

2Fは往時のトキワ荘の内部を再現しています。中央部に廊下があり、その両脇に部屋を配置。各部屋に展示がある演出です。

トキワ荘マンガミュージアム

車椅子で廊下を移動しながら、各部屋の展示を見学することが出来ます。

トキワ荘マンガミュージアム

天井板の模様も再現したということ。とてもよく出来た再現展示です。

トキワ荘マンガミュージアム

漫画家たちの生活シーンとともに、当時の街の様子が紹介されています。

トキワ荘マンガミュージアム

トイレの再現展示があります。

トキワ荘マンガミュージアム

共同炊事場まで再現されています。

トキワ荘マンガミュージアム

1Fは企画展示室とマンガラウンジがあります。有料の企画展の受付は、エレベーター乗降口の正面です。企画展示室の出入口は自動ドア。室内はフラットな構造で、車椅子で問題なく観覧できます。

マンガラウンジ内の通路幅は、あまり余裕がありません。混雑すると車椅子での移動は苦戦します。マンガラウンジに併設して、小さなミュージアムショップがあります。

一般来館者はマンガラウンジから段差のある出入口に戻り、退館します。車椅子は車椅子用出入口に戻り、退館します。

トキワ荘マンガミュージアム

トキワ荘は屋外から建物の裏側が見学できます。フラットな舗装路面を通り、裏に回ると、窓と手摺り、非常階段などが見学できます。

トキワ荘マンガミュージアム

外観もよくできた再現建築です。

トキワ荘マンガミュージアム

徒歩でも、車でも、トキワ荘マンガミュージアムは車椅子でアクセスできます。内外の展示は、段差回避ルートを利用すれば車椅子から見学できます。

東京にあるユニークな博物館を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2020年12月に執筆しました)

日立鉱山跡 日鉱記念館 車椅子見学ガイド バリアフリー情報

茨城県日立市の日立鉱山跡地にある、JX金属グループの企業資料館です。日立鉱山は1981年に閉山。日鉱記念館は1985年に開館しました。昭和の建築なので、段差構造の建物。車椅子で見学ができる本館内の展示は限られます。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

日立鉱山跡 日鉱記念館

○駐車場の状況

記念館は山中にあります。日立駅からタクシーで20分の案内。ルートの途中で、日立の大煙突を眺めることができます。

来館者用の無料駐車場があります。正門から車で入ると、最初に第二駐車場があります。ここからはまだ長い距離の坂道を上がるので、車椅子利用者はその先にある第一駐車場を利用して下さい。身障者用駐車区画が屋根なしで2台分用意されています。

日立鉱山跡 日鉱記念館

○本館受付へのルート

駐車場から受付がある本館へ移動します。この間はフラットな舗装路を通ります。車椅子での移動に問題はありません。

日立鉱山跡 日鉱記念館

本館の入口は段差がありますが、迂回スロープが用意されています。

日立鉱山跡 日鉱記念館

本館の出入口は介助者がいないと苦戦するタイプの手動ドアです。

日立鉱山跡 日鉱記念館

館内に入るとエントランスホールがあり、ロビーと受付があります。見学は無料です。今回取材時は、コロナ対策で事前登録予約制でした。事前予約がない人は、その場で入館者登録を行います。

日立鉱山跡 日鉱記念館

○バリアフリートイレの状況

本館の1Fにトイレがあります。バリアフリートイレは一般トイレとは別の場所、会議室の中です。会議室の扉を開けて室内に入ります。

日立鉱山跡 日鉱記念館

部屋の奥の何も表示がないドアがトイレの入口です。

日立鉱山跡 日鉱記念館

ドアを開けると、綺麗なバリアフリートイレがあります。ユニバーサルベッドはありません。初めての方はまず分からないので、スタッフの誘導を受けてください。

日立鉱山跡 日鉱記念館

○本館展示室のバリアフリー状況

本館展示室内は段差構造です。車椅子で見学可能なコーナーを紹介します。

「①JX金属グループの歴史」コーナー内に段差はありません。車椅子で見学可能です。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

「②模擬坑道」は階段を下ります。車椅子見学はできません。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

「③日立鉱山の発展」は、車椅子用の昇降機があります。スタッフに操作をお願いする装置です。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

「④鉱山町のくらし」も、2つ目の車椅子用昇降機で移動できます。この昇降機もスタッフに操作をお願いします。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

昇降機があるのはここまでです。車椅子ではここから昇降機2台を乗り継いで、入口に逆走して退室します。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

階段でしか上がれない2Fの最初の展示は「⑤日立の大煙突」で、このコーナーの入口に展望窓があります。ただし窓から大煙突は見えません。

日立鉱山跡 日鉱記念館

そして2Fの「⑥JXグループの現況」が最後のコーナーです。一般見学ルートは、ここから階段で1Fのエントランスホールに戻ります。

日立鉱山跡 日鉱記念館

○屋外展示の状況

本館の見学が終わると、次は屋外展示です。今回取材時は「旧久原本部」方面は工事中で立入禁止でした。

日立鉱山跡 日鉱記念館

巨大な骨組みは「第一竪坑」。明治39年から閉山になる昭和56年まで、鉱山の大動脈として活用されました。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

その横に展示されるのは「大型さく孔機」。これで地中を掘り進みました。

日立鉱山跡 日鉱記念館

次にある建物は「巻揚機室」で、巨大なマシンが屋内にあります。

日立鉱山跡 日鉱記念館

ただし建物出入口に段差があり、車椅子では無理をしないと中に入れません。

日立鉱山跡 日鉱記念館

○鉱山資料館のバリアフリー状況

最後の見学施設が鉱山資料館です。昭和19年に建設された木造のコンプレッサー室をそのまま使用した資料館ですが、車椅子ですべての展示を見学できます。

日立鉱山跡 日鉱記念館

出入口は手動ドアですが、横開きの引き戸なので、それほど苦労せずに車椅子で出入りできます。大きなデコボコはありません。

日立鉱山跡 日鉱記念館

資料館内の床はほぼフラットで、見学コースは全域車椅子で移動できます。

日立鉱山跡 日鉱記念館

館内には「鉱石標本室」があり、石の展示があります。ここも車椅子で問題なく見学できます。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

実際の使用された鉱山の器具が展示されます。館内2カ所で自動音声の展示解説が流れ、理解が深まります。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日立鉱山跡 日鉱記念館

また建物自体が、戦局が悪化した時代の貴重なもの。鉄が手に入らない状況で建てられたコンプレッサー室です。見る価値があります。

日立鉱山跡 日鉱記念館

鉱山資料館は第一駐車場に隣接しています。フラットな舗装路を通り、すぐに車に戻ることができます。

日立鉱山跡 日鉱記念館

日鉱記念館の本館は、車椅子での見学は制限されます。しかし鉱山資料館は、すべての見学が可能です。

(本稿は2020年11月に執筆しました)