新井薬師梅照院  車椅子お参りガイド バリアフリー情報

東京都中野区の名刹「新井薬師」は、境内まではフラットですがご本尊は段差の上です。しかし新東京100景に選ばれた名刹の境内を車椅子で移動することは出来ます。現地の状況を紹介します。

新井薬師梅照院

正式名称は新井山梅照院。新井薬師は通称です。都内にありながら趣ある名刹です。駐車場に関して何の案内もありませんが、境内の2か所が適当に停めることができる駐車スペースになっています。ただし「悪質な無断駐車は警察に通報・・」という掲示があります。参拝時に限った利用を厳守してください。

本堂は段差の上。スロープ対応はありません。8のつく日は本堂で護摩法要がありますが、こちらも畳の上に座ります。車椅子利用者にとってハードルの高い参拝になります。ご本尊は「眼病」のご利益が有名。また「子育薬師」として信仰を集めています。

車椅子では段差の手前からのお参りになりますが、境内には他に見どころがあります。幾つかご紹介をします。

境内の南側が山門です。この門は趣があります。そして驚くほどの桜の古木が参拝者を出迎えます。

本堂の他に、薬師堂、不動堂、鐘楼などが境内に配置されています。いずれもバリアフリーではありませんが、境内の中央部から車椅子で全体を眺めることは出来ます。

新井薬師梅照院

境内北側の区画にまわると、聖徳太子像が建っています。少年期の太子の像です。新井薬師は西新井大師と同門同派のお寺です。真言宗豊山派の寺院で薬師如来と如意輪観音がご本尊ですが、太子信仰の流れもあります。仏教を導入して国内を治めた太子の徳を偲ぶ像です。聖徳太子像は車椅子で近くに行くことができます。

水をかけて洗い清めながら「おねがい」をする「おねがい地蔵」はお参りする人が絶えません。車椅子で「おねがい」エリアにたどり着くのはやや難がありますが、境内一人気がある地蔵様です。絶えることなく「おねがい」をしている人がいます。

新井山梅照院はバリアフリー寺院ではありませんが、車椅子で移動可能な範囲だけでも、お参りに訪れたい趣がある名刹です。

近隣の東京都指定名勝「哲学堂公園」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2017年10月の取材に基づいています)

天狗のパワースポットに車椅子でお参り 大雄山最乗寺 バリアフリー情報

創建は1394年。神奈川県南足柄市の「大雄山最乗寺」は、山中に建つ大寺院で参道や境内は段差構造、車椅子での正規の参拝は困難な山寺です。

大雄山最乗寺

ただし車でアクセスして、短い急坂を通行できれば、車椅子で境内に入ることができ、階段の下から本堂をお参りすることができます。天狗伝説の山、自然があふれるパワースポット大雄山最乗寺。車椅子でお参り出来る範囲を紹介します。

大雄山最乗寺

参道が整備されていますが、車椅子では全く通行できない段差路です。合計で250台を収容する参拝者用の無料駐車場があります。車椅子では車でアクセスします。年末年始など、駐車場が使用できない時期の車椅子参拝は不可能です。

大雄山最乗寺

山中の寺院なので境内全域が傾斜地です。そのため駐車場は段々畑のような構造で8か所に分散して配置されています。

大雄山最乗寺

見る限り、どの駐車場にも身障者用駐車スペースは設定されていません。車椅子利用者は最も高い位置にある、境内に最も近い駐車場の利用が便利です。この最上部駐車場には駐車区画が41台分設定されています。

大雄山最乗寺

この最上部駐車場が最も人気があるので混みます。満車の場合や、車椅子での乗降に必要な広いスペースが確保できないことがあります。その場合は、一つ手前か、一つ奥の、2番目に高い位置の駐車場を利用してください。2番目駐車場から最上部駐車場への坂道は、車椅子でなんとか通行できる傾斜です。ただし駐車場間をつなぐ道路は一方通行なので、最上部駐車場まで行くと、手前の駐車場に引き返すのがたいへんです。

大雄山最乗寺

最初から最上部駐車場はあきらめて、手前の2番目駐車場を狙うのも作戦です。2番目駐車場の屋根付き区画は寺の関係者用で、参拝者用には22台分の駐車区画があります。

大雄山最乗寺

特にヒンジドアを全開にして乗降したい車椅子利用者は、手前の2番目駐車場に、スペースに余裕がある駐車区画があれば、そこを利用するのもお薦めです。

大雄山最乗寺

車椅子で駐車場から境内に向かうルートの難所は、最上部駐車場から境内へ向かう急坂です。距離は短い坂ですが、角度はあります。元気な介助者が必要な急坂です。帰りは、車椅子は後ろ向きで下りることをお薦めします。

大雄山最乗寺

この急坂を上がると信徒会館の横にでます。ここから先はひどい傾斜路はありません。舗装路面を通行して境内に向かいます。

大雄山最乗寺

境内に入ったところにバリアフリートイレがあります。

大雄山最乗寺

広いスペースの個室で、設備はシンプルなトイレです。

大雄山最乗寺

トイレの横を通過すると、総受付である「白雲閣」の前に出ます。そこから見える限りのフラットな境内が、車椅子で移動できる範囲のすべてです。

大雄山最乗寺

白雲閣は段差なく入館できます。また前にあるお浄めは、介助者がいれば車椅子で利用できないことはありません。

大雄山最乗寺

フラットな路面の一部は石畳風ですが、デコボコはありません。車椅子で問題なく移動できます。

大雄山最乗寺

お札やおみくじの頒布がある「尚宝殿」の入口は、段差解消されています。車椅子で中に入ることが出来ます。御朱印は白雲閣で受付しています。

大雄山最乗寺

「碧落門」の境内側は、かなりラフですが、いちおう段差解消されています。

大雄山最乗寺

その横に「初代大下駄」の案内版があります。

大雄山最乗寺

ラフなスロープを上がり、碧落門の下まで行くと、車椅子から初代大下駄を見ることができます。

大雄山最乗寺

案内板の横には梅の古木。花がほころび始めていました。このように、境内にある桜や楓などの風情は、車椅子から堪能できます。

大雄山最乗寺

本堂前のお浄めも、介助者がいれば、車椅子から手を浄めることができます。

大雄山最乗寺

フラット面以外は、車椅子での参拝は困難です。本堂は段差の上。車椅子では階段の手前からのお参りになります。

大雄山最乗寺

書院も段差の上です。

大雄山最乗寺

境内のフラット面を外れるとすべて段差の上、または下です。

大雄山最乗寺

なんらかの手段で本堂の高さまで上がったとしても、「結界門」方面へは段差路が続きます。

大雄山最乗寺

現在の大下駄「和合下駄」までは、車椅子で行くことは出来ません。

大雄山最乗寺

大雄山最乗寺はバリアフリーではありませんが、車でアクセスすれば、車椅子で境内に入ることが出来ます。そして天狗のパワーとあふれる自然を感じることができる名刹です。

南足柄市の「アサヒビール神奈川工場」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2022年2月に書き直しました)

京都 清水寺・金閣寺・三十三間堂・三千院 車椅子観光バリアフリー情報

古都京都は、バリアフリー化に積極的に組んでいる観光都市です。京都の玄関口、JR京都駅は、改装が進みバリアフリーな駅に生まれ変わりました。車椅子利用者にとって、京都へのお出かけのハードルは下がっています。

もうひとつ特筆すべき点は、ほとんどのタクシーの運転手さんが、介護のトレーニングを受け、車椅子ユーザーにも適切な対応をしていただけることです。日本一車椅子でタクシーを利用しやすい街は京都ではないでしょうか。

京都観光のバリアフリー情報は世の中に溢れています。観光名所ごとの基本的なバリアフリー情報は簡単に入手できると思いますので、バリアフリー化されていますが、それでも少し気を付けるポイントがある、4つの観光名所の状況を紹介します。

○清水寺

清水寺は車椅子での通行が苦戦する坂の上にあるので、アクセスはタクシーが便利です。運転手さんの話では「車椅子のお客さんを乗せたタクシーだけが許させる一番近い」場所、拝観料を支払う窓口の近くまでタクシーで行くことができます。

清水寺は、清水の舞台をはじめ境内を車椅子で一周できるルートが1パターンだけあります。出入口も1か所だけがバリアフリーで、他の出入り口は段差があります。清水寺は、最初に戻るルートで、所定のルートで一周する、という範囲においてバリアフリーです。したがって車椅子では、他の観光客とは違う、入口に戻る動線になります。

清水寺

○金閣寺

金閣寺は駐車場、車寄せ、段差箇所のスロープ設置と、各所がバリアフリー対応されています。砂利道を移動する必要はありますが、金閣寺は車椅子で見学できます。

ただし金閣寺の裏までは行けますが、そこまでが限界で、裏山の観光ルートは段差と階段があり、車椅子では他の観光客と同じルートは通行できません。そこから引き返す観光になります。

金閣寺

○三十三間堂

三十三間堂は、目の前までタクシーで行くことができ、堂の入口までバリアフリーに移動できます。屋外からの外観見学は車椅子で問題なくできます。観音像が並ぶ屋内へも、スロープがあり車椅子で入ることができます。

堂の内部の観覧は、原則として堂の入口で備え付けの屋内参拝専用の車椅子に乗り換えます。自分の車椅子のタイヤを軽く拭いて堂内に入ることは、原則禁止です。車椅子の乗り換えができない障がいのある方は、事前に相談されることをお薦めします。

三十三間堂

○大原 三千院

三千院は、大変面白いバリアフリー状況です。一般情報では「バリアフリー」となっている場合が多いようですが、一筋縄ではありません。

アクセスは、大原のバスステーションから、あるいはその周辺の駐車場から、一般観光客が通るルートで移動しようとすると、強烈な上り坂を通ります。お店が並ぶ楽しい参道ですが急坂です。段差は回避できますが、力強い介助者がいても車椅子では通行が辛い急坂です。

一般車両が進入できる終点地、もっとも三千院に近い、標高の高い所にある駐車場までは車で行けます。ここにマイカーを停めるか、ここまでタクシーで行くかをお薦めします。そうすると、急坂を回避して車椅子で三千院の入口に行くことができます。

三千院内部は、傾斜地に頑張ってスロープが造られています。努力賞を上げたいスロープです。またスロープ路に面して独立棟のバリアフリートイレが設置されています。ただ傾斜が強く、普通の車椅子利用者ではとても通行できないスロープ箇所があります。

三千院の建物の中へは段差があり、車椅子は屋内には入れません。屋外スロープ上からの参拝になります。

三千院からは、バリアフリーに取り組むという強い意志が伝わってきます。車椅子での観光は簡単ではありませんが、チャレンジは可能です。

大原 三千院

歴史ある京都の名所は、元々はバリアフリーではありません。車椅子では限界があることを前提にして、京都観光を楽しんでください。

(本稿は2016年に初稿を執筆し、2022年7月に加筆修正しました)