「藝大アーツスペシャル 障がいとアーツ」の後継プログラムとして2019年12月1日に開催されました。車椅子からみたイベント内容と会場のバリアフリー状況を詳しく紹介します。
○有料企画に変更
2011年から毎年開催された「障がいとアーツ」から大きく変わった企画です。
「障がいとアーツ」は無料企画でしたが、「障がいとアーツ」は有料で全席指定です。
各種の障害者手帳保有者は、一般料金の半額「アクセシブル券」で観覧できます。
また介助者1名との並び席になる「ペア券」が購入できます。料金は一般料金+半額料金です。
車椅子席の用意があります。ステージ前の座席が取り外され、今回は8組分のスペースが用意されました。車椅子利用者と介助者1名までが利用できます。介助者は折畳み椅子が用意されます。
また「就学前のお子様の同伴・入場はできませんので、ご了承ください」となっています。
○会場のバリアフリー状況
会場は上野公園藝大キャンパス内の奏楽堂です。
JR上野駅公園口からは、アップダウンの少ないルートで来場できます。
車利用の場合は、身体障害者の利用に限り、事前の許可がとれれば、キャンパス内に駐車することができます。
奏楽堂のエントランスは階段構造ですが、段差回避スロープがあります。
奏楽堂内はフラットで車椅子での移動は可能です。車椅子席までは段差なく移動できます。エレベーターが1基あり、B1から2Fをむすびます。
トイレはB1にあります。男女別トイレの内部に、それぞれ障害者用トイレが1つ用意されています。異性介護では利用が難しいトイレです。
またトイレの洗面施設は、車椅子の足が入る台はなく、車椅子からの手洗いは苦戦します。
○プログラムの概要
3部構成のプログラムです。
第一部は谷川俊太郎氏の詩による「サン=サーンス(動物の謝肉祭)」。演奏は藝大フィルのメンバー、障がいのあるプロのダンサーによるパフォーマンス、視聴覚特別支援学校の生徒と普通小学校の児童による朗読で、14曲の構成です。
第二部は義足のパフォーマーを中心にした藤倉大氏による「Sounding Seven Senses」の世界初演。演奏、音響にもトッププロが参加します。
第三部は第二部の関係メンバーによるトークセッション「音楽と肉体」。作品の製作過程や、各人が考えるこれからのアーツについて、約30分間のトークが行われました。
○「七感で楽しむシアター」は後継ではなく新企画
有料企画に変っただけに「七感で楽しむシアター」のプログラムは、洗練されたプロの表現に進化しています。一般的にいえば正常進化です。
「藝大アーツスペシャル 障がいとアーツ」の一部のプログラムに合った、子供向きの解りやすい企画が無くなったことや、トークショーがあることが、知的あるいはコミュニケーション面で重い障がいのある人にとっては、大きな変化かもしれません。それをどう感じるかは、その人次第です。
これまでの企画の後継ではなく、「七感で楽しむシアター」は2019年からの新企画です。