新東名高速道路のサービスエリア「NEOPASA」は、車椅子で利用しやすいバリアフリー設計で商業施設としても魅力的です。
NEOPASAは現時点で5箇所。「NEOPASA駿河湾沼津」「NEOPASA清水」「NEOPASA静岡」「NEOPASA浜松」「NEOPASA岡崎」のバリアフリー状況を紹介します。
「NEOPASA」とは、新しさを意味する「NEO」、パーキングエリアの「PA」、サービスエリアの「SA」を組み合わせた造語です。
5つの「NEOPASA」はフラットでゆとりあるスペースが共通した特徴ですが、その一方でそれぞれにコンセプトが設定され、個性があります。
○NEOPASA駿河湾沼津～コンセプト「リゾートマインド」
最大の魅力は駿河湾を一望できる景観です。下り線は海側のため、身障者用駐車スペースの横に展望広場があり景観を楽しめます。下り線の外観は青と白で、館内のイメージは海です。
上り線は建物2Fに展望デッキがあり、駿河湾の向こうに伊豆半島が浮かぶ景観を楽しめます。
身障者用駐車区画は2017年から増設工事が行われ、下り線に6台分、上り線に5台分用意されています。
トイレは建物の両端にあり、バリアフリートイレが各2つあります。加えて男女別の中にも車椅子対応の個室があります。
地元名産品を中心にしたショップ、フードコート形式のグルメ、都会的なセンスのパン屋、静岡おでんの売店などが立ち並びます。
フリーテーブルの一部は「思いやりシート」指定。障がいのある人などの優先席に指定されています。
一般用のテーブルとシートは、海を向いた2人掛けテーブル、家庭のリビングのようなフカフカソファーの席など、いくつかのバリエーションがあります。
NEOPASA駿河湾沼津は、新東名の施設で利用できる「MATAKITE（マタキテ）カード」という無料の個人カード発祥の施設です。
ポイントが付くのではなく、うどんを注文すると「ミニ駿河丼」をサービス、おでん屋さんで500円以上買うとおでん一本サービスなど、その場で即効性のあるサービスが付加されるカードです。
SAのサービスカウンターで、個人情報記載項目が一切無い、簡単なアンケートに記入するとその場でカードが発行されます。
○NEOPASA清水～コンセプト「くるまライフ・コミュニティーパーク」
上下線一体型の施設です。
建物はガレージをイメージしたデザインで、車やバイクが展示販売されます。他に関連商品が多数あり、車好き、バイク好きの人のための施設を目指しています。
身障者用駐車区画は上下線とも2台分あります。屋根付きで雨の日でも濡れずに施設を利用できます。
トイレは2か所でバリアフリートイレは計4つあります。
ショップエリア、フードコートエリアとも、通路は広く車椅子で気持ちよく利用できるバリアフリー設計です。
フードコートには車椅子用の席が用意されています。
○NEOPASA静岡～コンセプト「ハートフルオアシス」
山・海の恵み、お茶、お土産品など、静岡ブランドのショップ「しずおかマルシェ」があります。
下り線は「洋」で、上り線は「和」のテイストの施設になっていますが、「洋」といって静岡ブランドなので、やはり「寿司」「しらす」「桜えび」「お茶」などの日本的な商品が主力です。
身障者用駐車区画は上下線ともに3台分あります。トイレは2か所で、バリアフリートイレは計4つあります。
他のNEOPASAと同様に、スマートIC併設、一般道からの利用可、ドッグランが整備されています。また地中熱利用空調など、エコメニューが網羅的に導入されています。
下り線には異彩を放つショップが2軒あります。1軒目は（株）バンダイがプロデュースする「STRICT-G」。店舗のコピーは「ガンダムファンを虜にするデザイン性、機能性を重視したアパレル・ファッション小物を多数取り揃え、モビルスーツの装甲をイメージしたカードケースなど雑貨類も展開」。上り線のSAには、同店舗のTシャツの「自動販売機」だけのショップがあります。
2軒目はサングラス専門店の「i ZONE NEW YORK」。ほとんどが1万円以上の価格帯のサングラスが並ぶショップです。
上り線のSAには、このお店の対となる様なファッション店舗はありません。「洋」のテイストの下り線SAだけにあるお洒落ショップです。
○NEOPASA浜松～コンセプト「音のある風景」
施設の外観はピアノデザイン。下り線は白基調、上り線は黒基調の「ピアノ」です。
身障者用駐車区画は上下線とも2台あります。他の新東名のSAと同様に、トイレは2か所でバリアフリートイレは全部で4つ。CVSあり、ドッグランあり、シャワールーム有りのバリアフリー施設です。一般道からの利用も可能。スマートICが併設されています。
NEOPASA浜松の特徴的な施設は「ミュージックスポット」。下り線は「ローランド」、上り線は「ヤマハ」がサポートする施設です。
ミニコンサートが開催され、下り線には楽器の試奏ができるコーナーもあります。
NEOPASA浜松下りでの、子ども向け人気施設は「音の出る彫像」。パーキング横に彫像が2体あり、音楽・音響が流れる仕掛けです。
地元産物を扱う魅力的なショップは「遠鉄マルシェ」。遠州鉄道の「遠鉄」です。「うなぎパイ」「浜名湖のうなぎ」「遠州灘のしらす」「三ヶ日みかん」そして「浜松ぎょうざ」など。遠州浜松の名産品、ブランド品が揃います。また、これらをいただけるフードコートがあります。
○NEOPASA岡崎～コンセプト「岡崎宿と森のエントランス」
上下線共用の施設ですが、上り線の駐車場から建物をみると「岡崎宿」、下り線駐車場からみると「森のエントランス」というデザインです。
初めて立ち寄られた時は、逆の駐車場に出て施設の外観をご覧ください。上下線駐車場間はフラットで、車椅子での移動は可能です。
身障者用駐車区画は上下線とも屋根付きで2か所に計4台分あり、トイレ棟に雨天でも濡れずに連絡します。またトイレ棟は先端のバリアフリー設計です。
「NEOPASA岡崎」の施設全般、車椅子で快適に利用できます。特筆すべきは通路幅の広さ。これほど余裕のある通路幅のSAはこれまでにありません。
施設は平屋構造ですが、施設中央部に開放的な階段があり、屋上テラスに行くことが出来る設計です。
人気の中心はグルメ店。名古屋名物「味噌かつ」のお店など、高速初出店ブランド、人気の定番ショップが並びます。
フードコートは広く通路幅も余裕があり、車椅子優先席の設定があります。
新東名高速道路のサービスエリア「NEOPASA」は、車椅子で気持ちよく利用出来る、個性的なコンセプトが魅力な施設です。
（本稿は2019年5月に執筆しました）