千葉県市川市中山の住宅地に建つコンパクトな記念館です。市川の地に約半世紀居住した東山魁夷を記念して、2005年に開館しました。建物は魁夷が留学したドイツ風のデザインで西洋庭園を配置。館内には魁夷の人生を紹介するコーナー、作品展示室、カフェ、ショップがある上品な記念館です。車椅子からみた現地の状況を紹介します。
アクセスと駐車場の状況です。京成中山駅から徒歩15分の案内です。車椅子利用者は車の利用が便利です。
来館者用の無料駐車場が用意されています。普通車20台を収容。目立たない駐車区画ですが、身障者用駐車スペースの設定があります。

駐車場から記念館正面入口までの路面は、石畳風のデコボコ舗装です。車椅子に衝撃がくるので、ゆっくり移動してください。

エントランス周辺の状況です。正面入口は自動ドアです。ドアの下に気になる段差はありません。建物内に入ると、すぐに受付があります。市川市東山魁夷記念館の観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。受付で障害者手帳等を提示して、無料観覧券を発券していただきます。

バリアフリートイレは1Fの2か所に用意されています。下の写真は受付の奥にあるトイレです。折れ開きの手動ドアで、スペースはやや狭いトイレですが、一般的な車椅子は入ります。オストメイト、ユニバーサルベッドはありません。

記念館は2フロア構造。エレベーターが1基あります。かごのサイズが大きいエレベーターで、大型の車椅子でも収容します。

展示室の状況です。1Fの展示室は東山魁夷の人生を紹介する通常展の会場。3か月毎程度で展示の入れ替えが行われます。
2Fは作品の展示室。こちらも同様に定期的に展示の入れ替えがあります。
両フロアともフラットでスペースに余裕がある展示室です。車椅子で問題なく観覧できます。

2F休憩室の状況です。八角形の塔の下が休憩室で、魁夷に関する書籍などが置かれています。

ここは空間としては狭く、他に人がいると車椅子は移動できません。誰もいないタイミングを見計らって入室して、八角形の部屋の窓越しからの風景を楽しんでください。

室内で上を見上げた「風見馬」が乗る塔の天井内部です。凝ったデザイン内装になっています。

ショップ、カフェ、庭の状況です。1Fのミュージアムショップは小さなお店。店内スペースや通路に余裕はありませんが、車椅子で買い物ができないことはありません。
カフェはスペースに余裕があるフラットな床面に可動式のテーブル席を配置。車椅子で利用できるお店です。テラス席もあります。

なお以前は1Fの多目的室で、魁夷の人生や作品を紹介するビデオが放映されていましたが、今回取材時は多目的室は閉鎖されていました。
お庭の名称は「KAIIの森」。カフェからの出入口は、通常は片側の扉だけ開錠されていますがそれでは狭いので、両扉を開けないと車椅子は通行できません。駐車場から「KAIIの森」への入口があるので、車椅子ではそのルートが便利です。

様々な植物が植栽された小さなお庭で、一周する舗装散策路が整備されています。

コンパクトな記念館ですが、静かで大人向きの上品な空間があります。市川東山魁夷記念館は、一部狭い箇所がありますが、展示室やお庭は、車椅子で問題なく利用できるバリアフリー施設です。
市川駅南口ある「アイ・リンクタウン展望施設」の詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2021年6月に書き直しました)