軽井沢に2016年に開業した発地市庭(ほっちいちば)は、直売所とそば処、イベントスペースなどがある、車椅子で利用できる郊外型施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します
「発地」は地名で「市庭」は造語です。延床面積は2,000㎡超。ランダム且つ斜めに建つ列柱とうねる大屋根が印象的な外観で、そのイメージは軽井沢の森や浅間山の尾根ということ。南軽井沢のランドマークにふさわしい規模とデザインの施設です。
アクセスは車が便利です。駐車場の入口近くに、屋根付きの身障者用駐車区画が4台分用意されています。
駐車場から施設まで、全く段差のないバリアフリー設計です。施設の周囲はウッドデッキスペースで、車椅子で快適に移動できます。
身障者用駐車区画を起点にして見ると、トイレとイベントスペースがある棟、そば処「香りや」の棟、農産物等直売所棟、そして「そば打ち体験」やテイクアウトコーナー、カフェレストランなどが入る棟と、4つの建物が並びます。
駐車場の反対側は芝生広場で、子供向きの遊具があります。
バリアフリートイレの状況です。身障者用駐車区画に近いトイレに1つ。そして「そば打ち体験」などがある棟に1つ用意されています。どちらにもユニバーサルベッドはありません。「そば打ち体験」棟のトイレはスペースが少し狭いので、広いスペースが必要な人は、身障者用駐車区画に近いトイレの利用をお薦めします。
メインショップ「農産物等直売所」は、フラットな床面に幅広い通路がある、車椅子で買い物がしやすいお店です。
「発地市庭」では野菜のブランド化に取り組んでいます。ブランド名は「軽井沢霧下野菜」で商標登録しています。
軽井沢は朝から発生した霧が野菜を優しく包み込む「霧下気候」の土地。そのため表面が霧に守られ豊富な水分を含んだみずみずしい野菜が育つそうです。地元軽井沢産の野菜が魅力な直売所です。
他ショップのバリアフリー状況です。2021年4月開業の「香りや」は手打ち蕎麦のお店です。可動式のテーブル席でスペースに余裕があるので車椅子で利用できます。
「アトリエ・ド・フロマージュ」は、チーズ工房が手掛けるカフェレストランです。このお店も車椅子で利用できます。
「白ほたるKitchen」は豆腐屋さんによるテイクアウトショップ。「がんもバーガー」などを販売しています。
発地市庭のオーナーは軽井沢町で、運営は民間委託されています。ビジネスモデルは「道の駅」ですが、「道の駅」登録はしていません。軽井沢町のスタッフが、2013年頃より全国の先進事例の研究に励み、計画を練ったとのことです。
軽井沢発地市庭は、車椅子で高品質な軽井沢ブランドの食を楽しめる、バリアフリー施設です。
軽井沢の中心地「旧軽銀座」のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2021年6月に加筆修正しました)