茨城県石岡市の一部有料エリアがある公園です。アップダウンのある丘を活用した施設で、坂道と未舗装路面がある構造。しかし最低限のバリアフリー対応があるので、車椅子で利用できる範囲は狭くはありません。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
アクセスは車が便利です。来園者用の駐車場が用意されています。通常は無料、さくらまつり期間中は有料になります。
風土記の丘の正面入口には、江戸時代の長屋門が移築されています。身障者用駐車スペースはその前に2台分あります。ブルーペイントなどはなく、一般駐車区画3台分を2台で使用する設定です。
長屋門の下はスロープ化された舗装路面です。駐車場から園内へ車椅子で問題なく移動できます。
長屋門の先に、蕎麦自慢のお食事処「曲屋」があります。2021年3月にリニューアルオープンしました。このお店は出入口が段差で、席の7割は座敷席、テーブル席は多くはありません。
そして長屋門を抜けるとすぐに、未舗装路面になります。小石が転がっていますが、路面は固いので、多少の衝撃を我慢できる人なら、車椅子で移動できます。
風土記の丘のメインエリアに行くには「曲屋」の先へと進みます。
少し行くとトイレ棟があり、ここにバリアフリートイレが用意されています。外観の印象よりも綺麗なトイレで、ウォシュレット付きの便器とユニバーサルベッドが備えられています。
もう一つ、有料エリア内にもバリアフリートイレがありますが、スペースが狭く、介護者と車椅子が一緒には入らないトイレです。スペースが必要な人は、このトイレ棟のバリアフリートイレの利用をお薦めします。
金龍橋までの段差回避ルートです。トイレ棟の先には階段路があります。
車椅子向け段差迂回ルートのサインが立てられています。正面からみて左側の方向に進みます。ここの路面は石畳風のデコボコです。車椅子に強い衝撃がくるので、ゆっくりと移動してください。傾斜路に入ると路面の状況は多少よくなります。
迂回路を下りおえると、その先は金山池に架かる金龍橋を渡ります。橋の路面は木製で緩やかなアップダウンがありますが、問題なく車椅子で渡ることが出来ます。
金龍橋を渡った先が風土記の丘のメインエリアです。通路は未舗装路面ですが、端が車椅子用に舗装されています。
左手にあるのは「時の門」。3つの門の下の路面はデコボコで、車椅子では近づけません。車椅子ではメイン通路から眺めてください。
その先の通路も、部分的にバリアフリー改修が施されています。ルートを選びながら車椅子で進んでください。通路は徐々に上り坂になります。極端な急坂ではないので、ある程度の坂道なら通行できる人は移動可能です。
坂の途中に「会津民家」があり、その入口に車椅子マークが掲示されています。
しかし会津民家の周囲はガタゴトした未舗装路面で、民家内は段差構造です。車椅子では無理のない範囲での見学になります。
有料エリアのバリアフリー状況です。坂の上に「古代家屋復元エリア」と「鹿の子史跡公園」があります。古代家屋復元エリアには、様々な時代の、それぞれの用途の家屋が復元されています。ここが有料エリアです。
有料エリアの入園料は障がい者減免制度があり、本人の入園料が無料に減免されます。受付で障害者手帳等を提示して減免措置を受けます。
有料エリアの入口からは、やや強い傾斜の舗装坂道を上がります。古代家屋復元エリアにでると、ほぼフラットな地形になりますが未舗装路面です。固い路面なので、車椅子で移動できないことはありませんが、ルートを選びます。
段差やデコボコが激しいエリアもあり、車椅子ですべてに近づいて見学することは困難を伴います。
鹿の子史跡公園へは、その途中に傾斜の強いデコボコゾーンがあったので、今回取材では車椅子での移動をあきらめました。ちょっと手を加えれば改修可能なので、次の機会では車椅子で移動できるようになっているかもしれません。
獅子頭展望台周辺の状況です。有料エリアから、もう少し坂を上がると、獅子頭展望台がある「ふれあい広場」の高さに出ます。自由広場で大型遊具がある、家族連れが遊ぶ芝生広場です。広場の周囲の通路は荒れた未舗装路面です。
広場の周囲はちょっとした段差があり、段差解消された広場内に入る箇所はとくにありません。広場内に入るとするなら、段差の低い箇所を見つけて、強引に車椅子で乗り越えるしかありません。獅子頭展望台の横に駐車場がありますが、石がゴロゴロしている未舗装路面です。
広場の先にある獅子頭展望台までは階段構造で、段差回避ルートはありません。展望台の中も階段です。
常陸風土記の丘は未舗装路面と坂道を車椅子で必ず通行します。それを前提にした計画を立てて利用してください。
石岡市にある直売所「JA新ひたち野大地のめぐみ」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2021年5月に執筆しました)