セイコーミュージアムは、向島から2020年に銀座並木通りに移転しました。エントランス前に飾られる大型振り子時計は、今や並木通りのランドマーク的な存在です。
セイコーミュージアムは観覧無料。現在は事前予約制です。HPなどから日時予約を行います。
ミュージアム1Fエントランスはフラットな自動ドア。問題なく車椅子で入館できます。大型振り子時計とドア越しに見える1Fの展示室のテーマは「はじまりの時間」。正面右側が受付です。事前予約をしたので、受付で名前を告げるだけでチェックインができました。そして来館記念の缶バッジをいただきました。

ミュージアムはB1 から5Fまでの6フロア構造。各階に展示テーマが設定されています。

階段があるのは1Fと2F間のみ。それ以外のフロア間移動は、健常者も1基のエレベーターを利用します。今回取材時は、エレベーターの混雑で困ることはありませんでした。

エレベーターのカゴは一般的な車椅子と2~3名は入るサイズ。ビルは10Fまでありますが、6F以上はスタッフ専用フロアで来館者がボタンを押してもエレベーターは止まりません。前後両開きのエレベーターですが、B1から5Fまでの出入口は、反対側は利用しない構造です。

バリアフリートイレは5Fに1つ用意されています。出入口は手動の開き戸です。

スペースは一般的なサイズ個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。

フロア別のバリアフリー状況です。2Fはセイコー創業時の歴史の紹介。お客様を大切にしたエピソードを象徴する展示として、関東大震災で焼け崩れた時計が展示されています。

他にも創業者の起業精神が様々な角度から紹介されるフロアです。

車椅子の高さから全く見えない展示はありません。

3Fは古代エジプトの日時計から、水時計、振り子時計など、時計の歴史を紹介するフロアです。

世界の、そして日本の古い時計が展示されます。


時計が実用品から装飾品へと昇華していく様が面白い。価値のある骨董時計がずらりと並びます。

このフロアも車椅子から見えない展示はありません。



4Fと5Fは自社製品の紹介フロア。4Fは1970年代ごろまでのセイコー製品が展示されています。懐かしいブランドが並びます。ややショーケースが高い位置にあり、一部車椅子からは真横から見る展示があります。それでも時計鑑賞に大きな問題はありません。

飾られるアナログ時計は、ほぼすべてが10時8分を指しています。

時計の針がもっとも美しく見える時間なのでしょうか。

5Fは現在に至るセイコー商品の紹介フロア。お馴染みのブランドが並びます。このフロアのショーケースは、車椅子からの目線でしっかり見える高さです。

キャラクター時計も展示。お子様が楽しめるのはこのフロアです。

B1のテーマは「極限の時間」。オリンピックで使用されるストップウォッチなど、精密な測定ができる時計が展示されます。

今回取材時は、山縣選手が記録した100m走の日本記録がフューチャーされていました。ケース内展示の高さは低く、すべての展示品が車椅子から鑑賞できます。

車椅子が苦手な「縦型」の施設ですが、スムーズにエレベーターを利用できたので、ストレスなく全館を観覧できました。セイコーミュージアムは、展示手法に車椅子利用者への配慮があるバリアフリーミュージアムです。
東京にあるユニークな博物館を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2021年8月に執筆しました)










