東京都千代田区の「ホテルニューオータニ」庭園は、江戸時代初期からの記録が残る日本庭園です。車椅子での散策可能ルートは限られます。庭園内のバリアフリールートを紹介します。

日本庭園への入園は無料で、自由に出入りができます。日本庭園への出入口は計3カ所あります。車椅子で利用出来るのは「ザ・メイン」棟「宴会場階」の出入口です。

ガーデンコート2Fの出入口からは、階段を上がるルートになります。

「宴会場階」の出入口からお庭に出ると、最初にある岩が「赤玉石」です。佐渡島の金山から運ばれた逸品で、砕くと金がでると言われています。この岩は記念撮影ポイントで、車椅子で近付くことができます。

車椅子で通行できる散策路を進むと、右側に「枯山水」の庭が広がります。くっきりと砂に箒で波の線が刻まれています。

「枯山水」の庭は「ザ・メイン」棟「宴会場」の前になります。

「枯山水」の先に進みます。「枯山水」のお庭と「清泉池」のつなぎ箇所にある、枯山水に薄く水を張ったような池の中にある大木の化石が「佐渡の化石」です。
伝承によると、400年以上前に、この地が加藤清正公の下屋敷だったころにあった大木の根が、そのまま化石になった石。車椅子から見ることができます。
この方向の散策路で、車椅子で進めるのはここまでです。この先は段差があります。

ここから先は快適なバリアフリールートではありませんが、多少のデコボコや傾斜路を通行できる人は、池の周囲まで車椅子で進むことができます。

「佐渡の化石」の手前から「清泉池」中にかかる赤い橋が「太鼓橋」です。小さな段差や橋上が急カーブのため、車椅子で渡るのは苦戦しますが、無理をすれば渡れないこともありません。

橋の手前からでも「清泉池」の景観を楽しむことができます。

餌場に人が立つと、風格のある真鯉、錦鯉がゆうゆうと泳いで寄ってきます。

この橋の上は、記念撮影ポイント。新郎新婦、結納式の二人、七五三のお子さんなど、次々にプロカメランの撮影が入ります。撮影中は皆さん通行を遠慮するので、「太鼓橋」の両脇には撮影待ちの人が溜まります。

「太鼓橋」を渡った先の左手に「清泉池」から流れ落ちる滝「大滝」があります。落差6mもある滝で、数多くの巨石を組み合わせて造形されています。

ニューオータニ日本庭園でのハイライトですが、段差路のため滝壺には車椅子では行けません。

滝壺の上の「清泉池」側から、車椅子で覗きこみ鑑賞します。

「清泉池」の先に直線的に進むと段差があり車椅子では通行できません。

右側に伸びる通路を進むと、フラットな路面ではありませんが決定的な段差はなく、もう少し先まで車椅子で進むことができます。

上り坂を進むと「石心亭」まで決定的な段差はありません。

「石心亭」の出入口は、小さな段差がある構造です。

「清泉池」の周囲の通路を進むと、創業者の像が建つ地点までは車椅子でいくことができます。

その先は段差路なので、車椅子では同じルートを引き返します。

「もみじ亭」は庭園内に建つ、事前予約制の一軒家レストランで、鉄板焼きなどが楽しめます。このレストランの周囲は、その名の通り紅葉が綺麗な一角です。

ここに車椅子で向かうには、四谷方面からアクセスします。「ザ・メイン」と称される、ホテル本館の脇にある日本庭園に繋がる歩道を進みます。ニューオータニの敷地のお堀寄りの道です。

この歩道は快適なバリアフリー路面ではありません。傾斜、スロープ、デコボコやゴツゴツがある歩道です。それでも普通の車椅子利用者なら通行可能です。

日本庭園内の「もみじ亭」までは、車椅子で行く事ができます。その先は段差路で、車椅子では日本庭園内へは入れません。

またこのルートの途中にある「なだ万本店」は、店舗の出入口に段差があります。
ホテルニューオータニの日本庭園内は、ごく一部ですが車椅子で散策ができます。車椅子で庭園の全景を楽しむなら、ホテル上層階の施設内からになります。
隣接する「東京ガーデンテラス紀尾井町」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2019年10月に執筆しました)