奈良薬師寺は白鳳時代に建立された古寺ですが、東塔以外はすべて焼失し、現在ある構造物は昭和以後に再建されたものがほとんどです。薬師寺全体、想像するよりもバリアフリーですが、車椅子ではお参りが難しい箇所もあります。現地のバリアフリー状況を紹介します。

アクセス情報です。電車の駅からも近く、大きな有料駐車場の用意もあります。駐車場は機械ゲートの前金方式で料金の障がい者減免制度はありません。身障者用駐車区画は用意されています。車椅子での利用に大きな問題はない、フラットな駐車場です。
駐車場から薬師寺に向かいます。この歩行者ルートは舗装されてフラット、少し距離はありますが車椅子で移動できます。
駐車場の横に公衆トイレがあり、バリアフリートイレがあります。清掃されて実用に耐えるトイレですが、現時点では設備はやや古いトイレです。
薬師寺に向かう途中に「休ヶ岡八幡宮」と「孫太郎稲荷神社」があります。駐車場から100mほど進むと、薬師寺南門の南受付に到着します。
受付で拝観手続きをします。薬師寺の拝観料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が半額に減免されます。
境内「白鳳伽藍」エリアに入ります。最初にあるのは「中門」で、段差箇所にはスロープがあります。中門の両サイドに「東塔」と「西塔」があり、正面に「金堂」がある配置です。スロープで上る中門の中から見る薬師寺は、見事な景観です。

「白鳳伽藍」エリア内の拝観ルートは、ほとんどが舗装路です。車椅子が苦手な砂利路面を通る必要はほぼありません。
国宝の薬師三尊像が鎮座する「金堂」は、1976年に復興しました。「金堂」内へはスロープを通り入ります。薬師三尊像を車椅子で拝観できます。
金堂内は一周できる構造で、薬師三尊像以外にも拝観すべき像が数多くあります。特に薬師三尊像の裏側エリアは必見です。時間に余裕をもって参拝してください。
「食堂」は2018年の新築で、設計がバリアフリーを意識しています。今回参拝時は特別公開中でした。車椅子での拝観に大きな問題はありません。
食堂前は有名な拝観スポットで、多数のハスの鉢が置かれています。このエリアは舗装路なので、車椅子でハス鉢の鑑賞ができます。

今回参拝時「西塔」が特別公開中でした。現時点での薬師寺内の決定的なバリアポイントはここです。西塔内へのルートは階段のみで、車椅子では拝観できません。
国宝の「東塔」は現在解体修理中で、2020年に完成予定です。
「白鳳伽藍」の北受付から出て、更に北へ進むと「玄奘三蔵院伽藍」があります。ここは公開期間しか拝観できません。この院は1991年の建立。車椅子での拝観は可能です。
「東塔」以外は新しい伽藍ですが、薬師三尊像をはじめ国宝級の像は存在感があります。新旧織り交じった独特の世界が薬師寺の魅力です。そして想像以上にバリアフリーです。

法相宗の大本山「薬師寺」は、ほぼバリアフリー寺院。薬師三尊像は車椅子で参拝できます。
(本稿は2018年6月の取材に基づいています)