東京都台東区上野公園、国立博物館(トーハク)の特別展「正倉院の世界」とミュージアムシアターでのVR作品「正倉院」を車椅子で観覧しました。現地のバリアフリー状況を紹介します。
特別展「正倉院の世界」は2019年10月14日から11月24日の開催。ミュージアムシアター「正倉院」は2019年10月9日から12月22日までの上映です。
トーハクへはJR上野駅公園口から向かうと、アップダウンが少ないルートでアクセスできます。現在公園口は改良工事中です。連絡橋の完成後は更にバリアフリーになる予定です。
身体障害者手帳をもっている人に限り、トーハクの駐車場が利用できます。事前予約が推奨されています。利用する場合はトーハクに電話で問い合わせてください。
特別展「正倉院の世界」とミュージアムシアター「正倉院」は、障がい者減免制度があります。障害者手帳の提示で本人と介助者1名の観覧料が無料に減免されます。
どちらも受付で手帳を提示する運用です。ミュージアムシアターは観覧を希望する上映時間の観覧券が発行されます。開場は上映時間の5分前です。
会場は平成館2Fです。一般来場者はエスカレーターを利用。車椅子ではスタッフの誘導によるエレベーターの利用になります。
平成館の1Fと展示会場の2Fにバリアフリートイレが各1つあります。ややスペースが狭いトイレです。広いトイレを借りたい場合は、本館B1の多機能トイレがスペースに余裕があるトイレです。
第1会場と第2会場に分かれて第1章から第6章までの展示です。
「国家珍宝帳」など平面的な展示品のほとんどは、ショーケース内に傾斜をつけて展示されています。車椅子からの低い目線でも、鑑賞できます。
大型の展示品、立体的な展示品は、問題なく車椅子から鑑賞できます。
展示会場内の通路はフラットでスペースに余裕があり、車椅子で移動できます。
「五弦琵琶」の展示は混雑するので、行列ができるスペースがあり、順番で鑑賞する運用です。車椅子で順番待ちの列に並ぶことはできます。
全体的に車椅子での鑑賞に問題のない展示です。今回取材時、会場は混雑していました。その状況では、壁面ケース内の小さい展示物の車椅子での鑑賞は苦戦します。それでも順番を待って鑑賞することは出来ました。
第1章「聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物」のコーナーは、「国家珍宝帳」など平面的な展示品が壁面ケース内にある展示が多く、混雑時の車椅子観覧は苦戦します。
第2章以後は、大型の展示品が多く車椅子での鑑賞はそれほど困りません。
第5章では小型の工芸品の展示がありますが、展示室内の中台ショーケースを用いて360℃鑑賞可能なので、混雑時でも車椅子から見やすい展示です。
第6章の後半は写真撮影エリアで、大画面による動画放映もあります。スペースに余裕があり、車椅子で鑑賞しやすい展示です。
混雑時は第1章の鑑賞をどうするかが、車椅子利用の最大のポイントです。あまり執着せずに、第2章から先をしっかり鑑賞するのも作戦です。
ミュージアムシアターは東洋館のB1にあります。東洋館のバリアフリートイレは1Fにあります。B1にはありません。
観覧には上映時間指定の観覧券が必要です。トーハク正門のチケットセンターかミュージアムシアター前の受付で手続きを行います。
開場は上映の5分前。車椅子利用者は最初に案内をしていただけるので、開場前にシアターに着くことをお薦めします。上映時間は約35分間です。
車椅子用の鑑賞スペースが、最前列に1席分用意されています。その横に一般シートがあるので、介助者と並んで鑑賞できます。
正倉院の内外の様子と五弦琵琶の紹介を中心にしたプログラムです。特別展「正倉院の世界」の観覧よりも先に、ミュージアムシアターで「正倉院」を観覧したほうが、より特別展の内容を深く理解できるかもしれません。
国立博物館の特別展「正倉院の世界」とミュージアムシアターでのVR作品「正倉院」は、車椅子で楽しめるプログラムです。特別展は混雑に注意して下さい。
別稿で「東京国立博物館 東洋館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報」と「東京国立博物館 平成館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報」を掲載しています。ぜひご覧ください。